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愛猫

この子は、雨降る真冬に居た。

妹であろうか同じ長毛の白い猫と二人、身体震わせ、

我が家の傍で蹲っていた。

こんな雨の夜に捨てなくても良いものを・・


愛猫

美しい白猫、ゴージャスな毛並みにブルーとグリーンの混じった瞳。
ちんちらと何やらのハーフだったのか?
妹は少し鼻べちゃの、ベルシャ猫の面差し。
純粋種にあらざる仔猫だから、その何某は捨てたのだろうか。
命名:この男の子、ナポレオンw 女の子、エリザベス。
(そこで笑わないで下さい!)
エリザベスは近所の猫好きさんが欲しがったが、
兄妹を引き離すことは非情な気がして、柔らかく断った。
・・・にも関わらず、私の不在中、家人が黙ってそのお宅にあげたことを後に知る。
しばし・・不穏な沈黙の日が続いたことはロム諸氏、想像に難くないでせう。
私は、勝手に彼女を私の意志に反し、ナポレオンと引き離した家人の行為を
絶対に赦せなかったのだ。

ナポレオンは動かず鳴かずただ座っている猫であった。
声が出ないのか?と懸念したものの、お風呂で身体を洗った日、
嘘のように大きな声で
「うぎゃ~~~っ!」と、私に抗議した。
「喋れるのね!ナポさん!」 あぁ、嬉しかった。愛しかった。
我が家の愛猫シリーズ
少しずつ書き記すことにする。

彼はお風呂以外、まず鳴かない。
温和、運動神経・・猫とは思えぬほど、悪かった(笑
当然、飛び上がれる高さを、彼のスキル欠如により躓き、その下に居たエリザベスの
上にドスン!と落ちる・・・
彼女も普段は無口。その時ばかりは、兄(弟?)に、「ふぎゃ!」と抗議の鳴き声あげたのであった。
ナポレオンが死んで既に20年・・・
庭に墓標が増えた。
猫を看取る度に、金輪際、猫と暮らさぬ!と決意するも、遂行不能。
何故か・・猫が迷い込む。いや、弁明は女々しい。
里親探しの会場にすら、私は猫に会いに行ったのだから。
ナポさんの名を記した墓標の裏面に書いた
私の感謝の言葉も風雨に晒され判別不能となった。