季節外れのコブシの夢
季節外れの夢を見た
真白いコブシの花が
ポンッポンッと咲き
いえ、そうした音は実際には発しないのであろうけども
夢のその木にゃ紛れも無く
弾んだ健やかなる白いコブシが咲くのだ
やがてそのコブシたちは、無数の少女の顔になり
満面の笑みと
無垢で無敵な心持ちたるお年頃でありますから
その下から叫ぶ近所の爺様の声に
クックと顔見合わせ笑うのだった
”オナゴの癖に!降りんかー!”
毎度御馴染み、その爺様の顔は
実際知るお顔なのだった
男子は叱らないのに理不尽な、と思うも
木々の上から、あっかんべぇ!と
見下ろすやんちゃな少女、こぶしの小さき魔女っこたち
何故、この季節にこぶしなのか
分からないけども
季節外れの懐古に
明け方しばし浸る
特記事項の何もない日常
あるにはあるにせよ
綴りたくない気分
夢の余韻に
たゆたう時間の心地よさ
あぁ、もうこんな時間
テクマクマヤコンテクマクマヤコン
少女の心はお城、体は迷宮
かの詩人が惑うような
少しはエロチシズム漂う夢を見せとくれ