朱なる微笑
移ろいゆく日常の中
失ったものと得たものと
秤にかけて嘆くは阿呆らしく
今わたしが持つ全てを愛し
カタチの無い遺失物
去り行く残像に
哀憐よりは
もう失うことは無いのだと
安堵の溜息つき
頑なな童のまま
笑顔で明朗に
呑気でいいね
したたかだね
悲喜こもごもなんて
あんなことこんなこと
虚像じゃない
騒音に隠れた彼らの実を見出し
嗚呼 今もこれからも
わたしは
関わったもの全てを愛すのだと
奪われぬ朱たれ、と誓う
朱を奪うものがあるとすれば
それはわたりなり
まだ胸の芯に
わたしの赤は留まっているのだ
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