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秋の空

雨上がりの朝

全ての埃を流し落とした木々
家屋も道路も瑞々しく清らに産まれ

秋の空はあくまで青く果て無く広がり

鱗の雲はきらきら陽を浴び光り

大きく深呼吸すれば
馴染みのある匂いが身体中を満たした

この匂いー

雨が似合う男と
その男を愛したわたしの朝だ

一晩中、ずぶ濡れで
ヒッピーのように薄汚い
男女のシルエット


夜明けと共に
我が腕に
胸に嗅いだ
かの男のボサボサ髪


汗と雨と体臭と
衣服の全てが溶け合って
ついでに
男の涙も憤怒も流し去り

愛しいから香しかったのか

匂いに潜む永遠の記憶は
鮮明で甘美だ

空より
雲より
木々より
太陽より
愛しい髪の匂いー


秋の空