原風景
ー夏ー
蝉の声
蝶、蛾、山ミミズ、蛇、
兄はクワガタが好きで
わたしがカブト虫が好き
苔むした石段、岩
朝靄
夢のように拓かれた平地、
杉の木立、差し込む光
山の頂上に吹く風は涼やかで
祖母の握る塩だけのおむすびは美味しくて
祖父母と過ごした夏休み
水道水より今ある如何なる銘柄のお水より
美味な山の水
いくら駆けても階段上り下りしても疲れることなく
いや、疲れたから、夜はあんなに熟睡したのだろう
悪夢など知らなかった子どもがお臍出して眠った
同じく、無防備な兄も笑顔で傍らに眠った
あれから何十年経ったのか
お祖父ちゃんを亡くしたお祖母ちゃんの年齢に
わたしはどんどん近付いています
あなた方によって
あなた方と過ごしたかの地に
抱かれ
愛され
今があります
わたしは生きています
もう少し ・・・頑張らなきゃですね
小さな声で・・ハッピバースデーとぅ~み~・・・