![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/172344507/rectangle_large_type_2_37b3a8dc19a8d324e9994475c539ca9a.png?width=1200)
夜に
夜に沈んでいる男が居る
首をうなだれて
思いを沈める
饒舌の中に沈黙する
誰もが語らう夜に
ひとり沈んでいる
男は聡明なる詐欺師である
自己欺瞞と
自己憐憫に浸っている
誰ひとり受け付けず
孤独の夜に沈んでいる
凍える夜に
冷たい地面に横たわる
辺りは人々の声
もう寝る時間だと
母の声
子らは毛布にくるまって
ベッドの中
皆が眠る夜に
寒風の中
冷たい野外に突っ伏しる
土の寝床で夜空を見上ぐ
額に両腕当てて
放り出された事にも気付かずに
思い出せない程の
長い孤独の夜に沈んでいる
やがて日が昇れば
男は群衆に紛れ込む
さあ 小芝居の幕開けだ
その男を見張る女がひとり
いや
誰かが男を見張っている
夜が来るまで見張っている
荒涼たる夜に沈むまで
ねじれた男が
夜に沈んでいる
![](https://assets.st-note.com/img/1738244926-1e30NUFcaKknfLysPmT8hjbR.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1738248687-ijIBdgt4PvWxZ0TaHJwGkERL.png?width=1200)