
俺は鬱だー!
車椅子に乗り、半身麻痺の父は、大声でそう喚く。
脳内出血時の損傷箇所が大きくて、リハビリを頑張るも、結局、歩くこと叶わず。
ただ・・好きこそものの上手なれ。違うかw
生来、口の達者な、いや、饒舌、多弁、父が口を開けば誰もが時に感動で、時に
唇かみ締めて・・去ったという、その性格が幸いしてか
はたまた、言語療法士さんが、とびっきりの(父好みの)
スレンダーな若い美女だった為か、
言葉だけは元に戻ったのだった。(いや・・回復、実に早かったw
筆談時の父の病室は・・静かだった。今は昔ー既に5年経過なり。
半分の顔面が麻痺ゆえに垂れ、口角もだらりと垂れた父
リハビリ用の素敵な機械で、コロコロすれば、むしろ病む前より若返ったではないか。
わたしと義姉は・・「あの機械・・欲しいよね。お父さん、肌がピンと若返ってる」と
顔見合わせ哂ったものだ。
父の口癖・・機嫌が悪いと叫ぶ。
「だからー俺は鬱だ!死にたいのだ!が、死ねんたい。死ぬ両手も両足も無い。
ところで・・アンタ、車椅子を坂道から転がしてくれんか」
また始まった。以前、転倒し溝にはまり込んだ時
「怖かった、死ぬかと思った。あのまま側溝で死ぬんは厭やった~」と
ホームの方やわたしに照れ笑いし
「もうせん、絶対にせん。」と約束したのに。
あ~ぁ、車椅子にセンサーつけられて(脱走しない為)、おまけに杖代わりの棒も取り上げられて(喧嘩は先手必勝だと・・棒を施設内で振り回した為・・)
今日も父は元気に
口角泡飛ばし・・俺は鬱だと叫んだ。
早朝から毎日電話。
「はやく来んか~っ!」
「お父さん・・鬱病だと電話しないわ」
「そうか、なら、俺は・・ポジやのうて、ネガか?ネガたい、最悪にネガだ!」
と切り替えた。
お父さん・・わたしが鬱ですってば。
もう・・
日記;覚書