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王よ    

そのように白鳥の姿におなりあそばしてもその不遜な嘴、獰猛な狩りする眼光は隠せますまい

そして、何より、わたしという女をその心を知ろうとも近付こうともなさらず

あなたは、生まれ出でての王なのですだから このわたしの悲鳴をご勝手に喜悦とお感じ召される

白鳥に身を変えてもその性根が 高慢が ほら白い羽根の先にまで行き渡っておりますわ

傲慢なる絶大なる力もつ王よ

何故、鷹に追われた白鳥のフリなどなさる

あなたの前では、わたしが逆らえるはずもなかろうに

救いを求めたフリ?
同情で かくも弱きわたしの気をひこうとは!

恥と誇りをお持ちでしたか

身を変えるほうが 恥の上塗りであろうと か弱い身ながら、思いますけれども?

拒めば次は、鷹に追われた鳩にでもおなりか

ああ 鳩では わたしの身体を蹂躙するにはその爪も眼光も足りませぬか

王よ情けなや

堂々と、わたしを犯さばよいものを

あなたのお子を産み 
わたしは お返しいたしましょう

廃墟となりし かの地を笑いましょ