母;生前覚書
゙お母さん、お誕生日おめでとう!
ぇっと・・何歳になったんだっけ?”
「38歳よ。
わたしは、38歳から年を取らないの。」
遠い昔の記憶、母の名言。
洋装も和装も似合った母の並外れた美貌。
小中学校の保護者会、校長先生筆頭に男性教師達が色めき立ち
母を観に来ていたと、後に知る。
そんな騒動を・・我が兄は恥じ入っていたのだった。
昨日ホームで見た母の明朗さ、思いがけず観た闊達さー
車椅子に乗った老女が、
両手で車輪を回し
片足で廊下を蹴りながら
凄いスピードでわたしの前を
廊下を横切った。
目を疑う。
母だった!
「お母さん!お母さん、何処に行ってるの?」
「はい? カラオケです!」
カラオケは昼からでしょうに。。
美貌の母は
可愛らしく、幼くなった。
わたしは、人生の中で、今ー
最も多くの時を
和らいだ心持ち
母と接している。