受診
どうも最近頭が重くてですね、ついでに身体までだるいのです。」
〈ふむふむ。
ほほぅ、あなたには、ぐちゅぐちゅ虫が寄生しているようですな。〉
「は?ぐちゅぐちゅ・・虫とは、ぐちゃぐちゃ、じゅくじゅく、ぐにゃぐにゃ、の類でしょうか。」
〈まぁ、お好きな呼び名を選んで宜しい。〉
「では、じゅくじゅく虫と呼びます、わたし。」
〈ビンゴ! じゅくじゅくを選んだ貴女は感度良好!いや、失敬。じゅくじゅくを何故選ばれました?〉
「だって・・熟熟・・熟してしまいましたでしょ、わたし。完熟トマト?美味しいけどギリギリ感、哀愁漂っていません?
何だか心にピタっと治まる感じがするんです。」
〈未熟という熟もありますぞ?〉
「はぁ・・それはとんと考えもつきませんでした。」
〈宜しい、細かいことは横に置いてっと、
この駆除薬を処方しましょう。〉
「虫退治出来るのですか?」
〈勿論ですとも。
長年生きておりますとね、貴女やわたしの様にですな、じゅくじゅく感、いや、虫!健全かつ向上心ある人には巣食うのですよ。ヤツらの好物は、やる気根性踏ん張り負けない強いわ自分!型脳ですからな〉
「は~」
〈一粒、ほら。〉
「あら、すっきり。」
〈じゅくじゅく、ぐにゅぐにゅ、所謂、鬱々虫のウイルスが溜まっておるんですわ。あっはっは。」
「先生はお飲みになったのですか?」
〈その通り!〉
「では一週間分、処方して下さるかしら、服用してみます。」
一週間後ー
「先生!もう~やたら元気になってしまって、なのに、身体が前より鉛みたいに重いのです。
これ、副作用かしら?」
〈まぁね、鬱退治すりゃ、躁来たるは必然!
でもって、貴女の身体は、本来、寄る年波で中古になっとるわけですよ。
今はおそらく、ボーボー虫が寄生しとりますな。〉
「ボーボー虫?」
〈そ、ガーガーでもキキキキでも呼び名はお好きに。〉
「じゃ・・何となく、キキキキに。
いえ、待って!はい!選んだ理由は、嬉々喜々、わたしの精神当て字にしましただけのことですが。」
・・・ってか、既に鬱とか躁とか、口に出してるし、この先生。ま、直より、素敵な呼び名で、アンチ病気、わたしは寄生されてるぞ!的ヒーリングかしらん。
〈飲み込みが早いですよ、貴女。そう、やたらテンション高く愉しく動いても動いても頑張れるぞ、きっきっきっき♪ な感じでしょう。
まぁ、処方してキキキキ虫駆除しても良いのだが、副作用が心配ですなぁ。〉
「今度は何が?何虫が寄生しますの!?」
〈鬱と躁退治すりゃ、必然、分裂虫でしょうなぁ。。
失調虫と呼んでも良いが。〉
「栄養失調?アメーバみたく分裂?」
〈ぶっちゃけ、飼い馴らすのが大変というか、やたら出て来る貴女貴女貴女をですな、統合する本体・貴女の資質にかかっとるわけじゃが。〉
「それって、完全に精神病の域ですよね?ジキルとハイド的、ビリーミリガン的な虫では?」
〈その通り!
どうなさる?お奨めはパカっと頭切開してですな、すっきり別人になる!って大胆・勇気凛々コースを選ぶことですが。〉
「ャです!
虫下し下さいな。ん?・・違う、むぅ。。
効能消えれば、元に戻るってことだわね。放置すりゃ、また熟熟虫が食らいつくっと♪
鬱々で結構!
御機嫌よう、先生。」
『改訂再掲』
*山根あきらさん、みんなのフォトギャラリーからイラストを使わせて頂きます🍴🙏