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(61)健康保険・厚生年金保険の適用事業所について その5
最後は厚生年金保険だけの適用ですが、次のように船舶も健康保険・厚生年金保険の対象となっています。
☆☆☆☆☆資料80 ~ 健康保険・厚生年金保険の適用事業所/健康保険法第3条第3項、厚生年金保険法第6条第1項
厚生年金保険のみ ~
①「適用事業所」とは、次の各号のいずれかに該当する事業所をいう。
1)船員法第1条(下記の③)に規定する船員として船舶所有者に使用さ
れる者が乗り組む船舶。(第3号)
※「船舶所有者」は、船員保険法第3条(下記の⑤)に規定する場合
にあっては、同条の規定により船舶所有者とされる者をいう。
②前項第3号(上記の①の3)に規定する船舶の船舶所有者は、適用事業所
の事業主とみなす。(厚生年金保険法第6条第2項)
参考までに ~
③この法律(船員法)で船員とは、日本船舶または日本船舶以外の国土交通
省令(省略)の定める船舶に乗り組む船長及び海員並びに予備船員をい
う。(船員法第1条第1項/船員)
④前項(上記の③)に規定する船舶には、次の船舶を含まない。
(船員法第1条第2項/船員)
1)総トン数5トン未満の船舶。(第1号)
2)湖、川または港のみを航行する船舶。(第2号)
3)政令(省略)の定める総トン数30トン未満の漁船。
(第3号)
4)前3号(上記の1~3)にあげるもののほか、船舶職員及び小型船舶
操縦者法第2条第4項(省略)に規定する小型船舶であって、スポー
ツまたはリクリエーションの用に供するヨット、モーターボートその
他のその航行の目的、期間及び態様、運航体制などからみて船員労働
の特殊性が認められない船舶として国土交通省令(省略)の定める
者。(第4号)
⑤この法律(船員保険法)及びこの法律(船員保険法)に基づいて発する命
令のうち船舶所有者に関する規定は、船舶共有の場合には船舶管理人に、
船舶貸借の場合には船舶借入人に、船舶所有者、船舶管理人及び船舶借入
人以外の者が船員を使用する場合にはその者に適用する。
(船員保険法第3条/船舶所有者に関する規定の適用)
★★★★★資料80はここまで ~
上記の資料80の①の1についてですが、これは厚生年金保険のみの取扱いとなります。船員法という法律は“日本船舶または日本船舶以外の一定の船舶に乗り込む船長及び海員並びに予備船員”のための法律です。総トン数5トン未満の船舶、湖・河川または港のみを航行する船舶や総トン数30トン未満の漁船はこの船員法の適用を受けません。(船員法第1条第2項/上記の資料80の④参照)
船員のための公的な保険の法律としては、船員保険法というのがあります。この船員保険には業務災害に対する給付の一部、業務外を理由とする公的医療保険などが規定されています。
以前は公的年金分野も規定されていました。それが昭和61年(1986年)4月に船員保険の中の年金分野に関して厚生年金保険と統合されてこの規定ができました。これ以後の船員は公的年金制度には厚生年金保険に加入しますが、公的医療保険は船員保険に加入することになる場合があります。
今回はここまでです。またよろしければ次回(5月26日予定)もお読みください。