(37)国民年金の任意加入被保険者について その3
しばらくの間、話が少し横道にそれます。例えばある方の国民年金の加入履歴が保険料納付済期間と保険料1/4免除期間しかないと仮定します。その方の年金記録のうち保険料納付済期間は、そのまま実期間(実月数)を老齢基礎年金の年金額の計算に用います。
☆☆☆☆☆資料55 ~ 任意加入被保険者の資格喪失について/国民年金法附則第5条(抜粋)
①すべての任意加入被保険者に共通する資格喪失の理由。
1)第27条各号(老齢基礎年金の年金額)に掲げる月数を合算した月数
が480に達したとき。(第5項第4号/その日に喪失)
★★★★★資料55はここまで ~
この「老齢基礎年金の年金額の計算」というのは、今お話ししています任意加入被保険者にも影響があります。老齢基礎年金の年金額の計算によって、その方の年金履歴が「480月」に達した場合には、任意加入被保険者の資格を喪失します。これ以後では「老齢基礎年金の年金額の計算」という表現を用いることにします。
保険料納付済期間としてカウントするのは、厚生年金保険の保険料を納付した月、国民年金の第1号被保険者が保険料の免除や猶予を受けずに国民年金の保険料を納付した月、国民年金の第3号被保険者の期間が含まれます。
一方、保険料納付済期間とは違い、保険料1/4免除期間の取扱いは異なります。保険料1/4免除期間が平成21年(2009年)3月以前か同年4月以後か、さらに保険料納付済期間の長さによって、「7/8」、「3/8」、「5/6」、「1/2」のいずれかを保険料1/4免除の期間(全部または一部)に乗じて得た月数を用います。(この数字の根拠は後日取り上げます)
平成21年(2009年)3月と4月で分けるのは、国庫負担割合が異なるためです。平成21年(2009年)3月まで(以下、「特定月の前月以前」)は国庫負担割合は1/3でした。それが平成21年(2009年)4月(以下、「特定月」)からは、国庫負担割合が1/2に引き上げられました。それによって「老齢基礎年金の年金額の計算」も分けて計算するようになっています。
次に、4つほど数字(分数)が出てきましたが、その数字も国庫負担割合が影響しています。少し長くなりますが、お付き合い下さい。またいくつかの分数なども出てきますので、ゆっくりお読みください。
まず、保険料納付済期間は全期間そのまま実期間(実月数)として老齢基礎年金の年金額の計算に算入することは申し上げました。次に保険料1/4免除期間を「老齢基礎年金の年金額の計算」に反映させるのですが、先に特定月以後の保険料1/4免除期間の月数を反映させます。
ただし、特定月以後の保険料1/4免除期間の月数も2つに分けます。「480月-保険料納付済期間の月数(実月数)」がひとつ目の期間になります。この期間を仮に「A期間の月数」とします。
そして、特定月以後の保険料1/4免除期間の月数(実月数)が「A期間の月数」を超える場合は、その超える月数が二つ目の期間となります。この期間を仮に「B期間の月数」とします。
ひとまずこの2つに分けますが、もし特定月以後の保険料1/4免除期間の月数(実月数)が「A期間の月数」以下であれば、「B期間の月数」はゼロということになります。
最初は、「A期間の月数」に「7/8」をかけて出てきた月数(以下、「7/8に換算後のA期間の月数」)を「老齢基礎年金の年金額の計算」に算入します。ここで「保険料納付済期間の月数(実月数)+7/8に換算後のA期間の月数」が「480月」に達していれば、「老齢基礎年金の年金額の計算」は終わりです。その方は国民年金に任意加入はできません。
そして、「保険料納付済期間の月数(実月数)+7/8に換算後のA期間の月数」が「480月」になっていなければ、「B期間の月数」に「3/8」をかけて出てきた月数(以下、「3/8に換算後のB期間の月数」)を「老齢基礎年金の年金額の計算」に算入します。
こうした計算はまだ続きが、続きは次回にお話しします。
お読みいただきましてありがとうございました。今回はここまでです。またよろしければ次回(12月17日予定)もお読みください。