(58)健康保険・厚生年金保険の適用事業所について その2
前回の資料75の①の1のa~pにない業種の場合には、たとえ従業員が5人以上であっても強制適用事業所ではありません。例えば、5人以上の従業員がいても個人で行っている農業や飲食店、美理容店などのサービス業などは、健康保険・厚生年金保険の強制適用事業所ではありません。
☆☆☆☆☆資料76 ~ 年金記録の「よくある相談事例」/日本年金機構発行のリーフレットより
①働いていれば厚生年金に加入すると聞いています。昭和50 年から3年
ほど旅館で働いていましたが、自分の年金記録を 確認するといつも「な
い」と言われます。記録もれではない でしょうか?
A ・・・ 宿泊業やサービス業の厚生年金保険加入は「昭和61年4
月」からです。
1)厚生年金保険法では、これまで段階的に適用(加入)業種の拡大を行
ってきました。
2)常時5人以上の従業員を使用する宿泊業やサービス業等の法人事業所
が厚生年金保険の強制加入となったのは、昭和61年4月からです。
3)常時使用される従業員数の要件は段階的に緩和され、昭和63年4月
からは法人事業所については、強制加入の対象となっています。
★★★★★資料76はここまで ~
健康保険・厚生年金保険の強制適用事業所である「個人事業所」について、次のような通達が出されています。
☆☆☆☆☆資料77 ~ 行政通達では/厚生労働省ホームページより
①昭和18年4月5日保発第905号。
1)従業員の員数の算定は、その事業所に常時使用されるすべての者につ
いて計算すべきものとする。
2)すなわち、健康保険の被保険者となるべき者はもちろん、(旧)健康
保険法第13条の2(適用除外)によって被保険者とすることができ
ない者であってもその事業所に常時使用される者についてはこれを算
入すべきものとする。
②適用事業所の認定は各事業所単位に適用すべきであるが、その事業所を独
立単位として取り扱うべきかどうかは使用されている被保険者の身分関
係、指揮監督、報酬の支払い等直接の人事管理を受けているかどうかによ
って社会通念上決定すべきものである。
(昭和18年4月5日保発第892号)
疑義照会回答(厚生年金保険 適用) ~ 日本年金機構のホームページより
③健康保険法第3条(適用事業所の定義/前回の資料75の①)第3項の
「常時5人以上」の解釈について。
1)健康保険法第3条第3項第1号(前回の資料75の①の1)におい
て、「次にあげる事業の事業所であって、常時5人以上の従業員を使
用するもの」は適用事業所となる旨規定され、この従業員の員数を算
定するにあたっては、昭和18年4月5日保発第905号(上記の
①)により「被保険者となることができない者であってもその事業所
に常時使用される者についてはこれを参入すべきものとする」ことが
示されている。
2)昭和55年6月6日の内かん(以下、「55年内かん」/現在廃止)
においては、短時間就労者が被保険者として適用されることとなる
「常用的使用関係」にあるかどうかの判断をする基準を示されている
ことから、「常時5人以上の従業員」を算定するにあたっては、55
年内かんにおける「常用的使用関係」に該当する者は算入し、「常用
的使用関係」に該当しない者については算入しないと解される。
『国民年金・厚生年金保険被保険者のしおり』 ~ 日本年金機構発行のリーフレットより
④「常時使用される」とは、雇用契約書の有無などとは関係なく、適用事業
所で働き、労務の対価として給料や賃金を受けるという使用関係が常用的
であることをいいます。
★★★★★資料77はここまで ~
今回はここまでです。またよろしければ次回(5月5日予定)もお読みください。