
(98)「年収の壁」について その3(103万円の壁)
「103万円」の数字の出所は税金(税法)です。「103万円」の数字の話は、パートタイマー等(以下で取り上げる「配偶者」や「親族」)自身の所得のみに関係してきます。納税者本人の所得にはあまり関係なく、「103万円の壁」に関係するのは、配偶者控除の対象となる配偶者と扶養控除の対象となる扶養親族の「所得」です。
配偶者に関係する所得控除として「配偶者控除」と「配偶者特別控除」があります。まず「配偶者控除」についての概要は、以下のとおりとなっています。なお、「配偶者特別控除」については、「150万円の壁」で取り上げる予定です。
☆☆☆☆資料4 ~ タックスアンサーNo.1191/配偶者控除/国税庁のホームページより
①概要 ・・・ 納税者に所得税法上の控除対象配偶者がいる場合には、一
定の金額の所得控除が受けられます。
※これを配偶者控除といいます。
②控除対象配偶者となる人の範囲(同一生計配偶者)
・・・ 控除対象配偶者とは、その年の12月31日の現況で、次
の4つの要件のすべてに当てはまる人です。
※なお、平成30年分以後は、控除を受ける納税者本人の合計所得金額が
1,000万円を超える場合は、配偶者控除は受けられません。
1)民法の規定による配偶者であること。
※内縁関係の人は該当しません。
2)納税者と生計を一にしていること。
3)年間の合計所得金額が48万円以下であること。
※その配偶者の所得が給与所得だけの場合は、給与収入が103万円
以下であることとなります。
4)青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受
けていないことまたは白色申告者の事業専従者でないこと。
★★★★資料4はここまで ~
納税者本人の税金の申告の際に「配偶者控除」を計上して、いくらか所得税や住民税が軽減されます。ただし、納税者本人の合計所得金額が1千万円を超えている場合には、「配偶者控除」は計上できません。このような納税者の配偶者は「103万円の壁」を気にする必要はないということになります。なお、「合計所得金額」の意味については、1月26日の第97回の項をお読みください。
次に、税法において配偶者以外の扶養親族を対象とする所得控除に「扶養控除」というのがあります。
☆☆☆☆☆資料5 ~ タックスアンサーNo.1191/扶養控除(抜粋)/国税庁のホームページより
①概要。
1)納税者に所得税法上の控除対象扶養親族となる人がいる場合には、一
定の金額の所得控除が受けられます。
2)これを扶養控除といいます。
②扶養親族に該当する人の範囲
・・・ 扶養親族とは、その年の12月31日の現況で、次の4つ
の要件のすべてに当てはまる人です。
1)配偶者以外の親族または都道府県知事から養育を委託された児童(い
わゆる里子)や市町村長から養護を委託された老人であること。
※「親族」は、6親等内の血族および3親等内の姻族をいいます。
2)納税者と生計を一にしていること。
3)年間の合計所得金額が48万円以下であること。
※給与のみの場合は給与収入が103万円以下。
4)青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受
けていないことまたは白色申告者の事業専従者でないこと。
★★★★★資料5はここまで ~
次回以降で「103万円」の数字を導き出していきます。
今回はここまでです。またよろしければ次回(2月9日予定)もお読みください。