帰り道
8月も終わろうとしているのに
夏はいつまでも居座り、秋は困り顔だ。
夏があまりに長いから
太陽まで
いつまでも容赦なく照りつける。
それにしても、もう沈む時間は
とっくに過ぎているはずだ。
月は時間どおりに空高く上ったけれど
あまりの太陽の眩しさに一瞬ひるんだ。
もしかして
自分が時間を間違えたのではないか、と。
…
いや、もう月明かりの時間だ。
間違いない。
控えめに照らしながら太陽に合図する。
ああ、もうそんな時間か。
浮かれた太陽がようやく気づいた。
あまりにも長い夏のせいだ。
空を茜に染めながら
太陽は西へと急ぐ。
紫の静寂が訪れたとき
月はホッとして白い輝きを強くした。
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