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鉱物資源大国インドネシア

こんにちは。
今日のテーマは、鉱物資源大国インドネシアについてです。  

インドネシアの鉱物資源について、以下にまとめました。
①豊富な鉱物資源の埋蔵量と多様性
②政府による資源ナショナリズム政策
③環境問題と持続可能性への課題



①豊富な鉱物資源の埋蔵量と多様性
 インドネシアは、世界有数の鉱物資源大国です。特に注目すべきは、ニッケル、銅、ボーキサイト(アルミニウムの原料)の埋蔵量です。ニッケルについては、世界最大の埋蔵量を誇り、その量は約2,100万トンと推定されています。主な産地はスラウェシ島とハルマヘラ島で、世界のニッケル生産量の約25%を占めています。銅の埋蔵量は約2,800万トンで、主にパプア州のグラスバーグ鉱山で採掘されています。この鉱山は世界最大級の露天掘り銅鉱山であり、年間約30万トンの銅を生産しています。ボーキサイトの埋蔵量は約12億トンで、主にカリマンタン島西部で採掘されています。2020年の生産量は約2,300万トンで、世界第6位の生産国となっています。これらの豊富な鉱物資源は、インドネシアの経済発展に大きく貢献しており、政府は資源の高付加価値化を目指しています。


②政府による資源ナショナリズム政策
 インドネシア政府は、自国の鉱物資源を戦略的に活用するため、強力な資源ナショナリズム政策を推進しています。具体的には、2009年の鉱業法改正以降、未加工鉱石の輸出規制を段階的に実施しています。2014年にはニッケル鉱石の輸出を禁止し、2020年1月からは全面的に施行されました。さらに、2023年6月からはボーキサイトの輸出も禁止されています。この政策の目的は、国内での鉱物加工を促進し、付加価値を高めることです。例えば、ニッケル鉱石の輸出禁止後、国内でのステンレス鋼生産が急増し、2020年にはインドネシアが世界第2位のステンレス鋼生産国となりました。また、政府は外資系企業に対して、鉱業権の51%以上をインドネシア企業に譲渡することを義務付けるなど、国内企業の権益確保にも力を入れています。これらの政策は、短期的には輸出収入の減少をもたらしましたが、長期的には国内産業の発展と雇用創出につながることが期待されています。


③環境問題と持続可能性への課題
 インドネシアの鉱物資源開発は、環境問題と持続可能性の観点から大きな課題に直面しています。特に深刻なのは、違法採掘と環境破壊です。例えば、カリマンタン島の金鉱山では、水銀を使用した違法な小規模採掘が広く行われており、河川の汚染や健康被害が報告されています。政府の推計によると、年間約300トンの水銀が使用されており、その大部分が環境中に放出されています。また、大規模鉱山の開発による森林破壊も問題となっています。パプア州のグラスバーグ鉱山では、採掘活動により約230平方キロメートルの土地が影響を受けており、生物多様性の喪失が懸念されています。さらに、鉱山廃棄物の処理も大きな課題です。例えば、スラウェシ島のニッケル鉱山では、年間約4,000万トンの廃棄物が発生しており、その適切な処理が求められています。政府は環境規制の強化や違法採掘の取り締まりを進めていますが、広大な国土と複雑な地方行政の構造が、効果的な監視と規制の実施を困難にしています。持続可能な鉱業開発の実現は、インドネシアの今後の重要な課題となっています。

以上です。それでは皆さん良い一日を。

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