【インドネシア】繊維業界の不況
こんにちは。
今日のテーマは、インドネシアの繊維業界の不況についてです。
最近のニュースでも取り上げられていましたが、好景気なインドネシアでも繊維会社の破産が起きているみたいです。その背景を以下にまとめました。
①グローバル経済の不確実性と需要減少
②原材料価格の高騰と生産コストの上昇
③国際競争力の低下と市場シェアの縮小
①グローバル経済の不確実性と需要減少
世界経済の不安定さが、インドネシアの繊維業に大きな影響を与えています。2022年2月のウクライナ侵攻以降、世界的な景気後退懸念が高まり、主要な輸出先である欧米諸国からの発注が激減しました。また、インフレーションの影響で消費者の購買力が低下し、ファッション製品への支出が抑制されています。これにより、インドネシアの繊維製品の需要が大幅に減少しました。例えば、インドネシア繊維協会(API)の報告によると、2022年の繊維製品輸出額は前年比で約15%減少したとされています。特に、欧米向けの輸出が大きく落ち込んでおり、一部の工場では生産ラインの停止や従業員の一時帰休などの措置が取られています。
②原材料価格の高騰と生産コストの上昇
世界的なサプライチェーンの混乱と原油価格の上昇により、繊維産業の主要原材料である綿花や合成繊維の価格が高騰しています。インドネシアは原材料の多くを輸入に依存しているため、この影響を大きく受けています。例えば、2022年前半には綿花の国際価格が前年比で約30%上昇し、ポリエステルなどの合成繊維の原料価格も20%以上上昇しました。これにより、インドネシアの繊維メーカーの生産コストが大幅に増加しています。さらに、インドネシア国内のエネルギー価格や人件費の上昇も、生産コストを押し上げる要因となっています。一部の中小企業では、コスト上昇分を価格に転嫁できず、利益率が大幅に低下しているケースも報告されています。
③国際競争力の低下と市場シェアの縮小
インドネシアの繊維業は、ベトナムやバングラデシュなどの新興国との競争が激化しており、国際市場でのシェアを失いつつあります。これらの国々は、より低い労働コストや政府の積極的な産業支援策により、競争力を高めています。例えば、2022年の世界の衣料品輸出市場において、インドネシアのシェアは約1.5%にとどまっており、ベトナム(約6.5%)やバングラデシュ(約6%)に大きく差をあけられています。また、インドネシア国内の繊維産業の設備の老朽化や技術革新の遅れも、競争力低下の一因となっています。政府の調査によると、国内の繊維機械の約40%が20年以上前のものであり、生産効率や品質面で国際競争力を失っているとされています。これらの要因により、インドネシアの繊維業は厳しい状況に直面しており、産業全体の構造改革と新たな成長戦略の構築が急務となっています。
以上です。それでは皆さん良い一日を。
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