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インドネシアとLGBTQ
こんにちは。
今日のテーマは、インドネシアのLGTBQについてです。
インドネシアでLGBTQの方に会ったことがありますが、彼らは社会的にかなり抑圧されている印象でした。今回はインドネシアとLGBTQについて、以下にまとめました。
①法的・社会的な差別と抑圧
②保守的なイスラム教の影響
③活動家の努力と国際的な圧力
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①法的・社会的な差別と抑圧
インドネシアでは、LGBTQの人々に対する法的・社会的な差別が深刻化しています。全国レベルでは同性愛を直接的に犯罪化する法律はありませんが、地方レベルでは差別的な条例が存在します。例えば、デポック市では2017年にLGBTQの権利を制限する条例案が提出されました。また、政府高官や宗教指導者によるLGBTQ差別発言が相次いでいます。2016年には高等教育相が大学でのLGBTQ学生組織の禁止を示唆し、国防大臣はLGBTQ運動を「核爆弾より危険」と発言しました。このような発言は、社会全体でのLGBTQへの偏見を助長しています。結果として、LGBTQの人々は日常生活で深刻な差別に直面しています。就職や住居の確保が困難になるケースや、家族から排除されるケースも報告されています。一部の調査では、LGBTQの若者の約60%が学校でいじめを経験したと報告されています。
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②保守的なイスラム教の影響
インドネシアは世界最大のイスラム教徒人口を抱える国であり、保守的なイスラム教の価値観がLGBTQの権利に大きな影響を与えています。特に近年、イスラム保守派の政治的影響力が増大しており、LGBTQに対する社会の態度を硬化させています。例えば、インドネシア最大のイスラム組織であるナフダトゥル・ウラマーは、LGBTQの人々の「強制的なリハビリ」を提唱しています。また、インドネシア精神科医師会が同性愛やトランスジェンダーのアイデンティティを「精神疾患」と公言するなど、医療分野でも差別的な見解が示されています。こうした状況下で、LGBTQの人々の多くが自身のアイデンティティを隠して生活することを余儀なくされています。ある調査では、LGBTQの回答者の約80%が自身のセクシュアリティを家族に打ち明けていないと報告されています。
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③活動家の努力と国際的な圧力
厳しい状況にもかかわらず、インドネシアではLGBTQの権利のために活動する団体や個人が存在します。これらの活動家は、教育や啓発活動を通じて社会の理解を促進し、法的保護を求める運動を展開しています。例えば、ジャカルタを拠点とするArga Ganesha Foundationは、LGBTQの若者向けのサポートプログラムを提供し、年間約500人の若者を支援しています。また、オンラインプラットフォームを活用した匿名のカウンセリングサービスも登場し、月間約1000件の相談を受け付けています。国際的な人権団体や外国政府からの圧力も、インドネシア政府のLGBTQ政策に一定の影響を与えています。2016年の反LGBTQ発言の高まりに対しては、国連人権高等弁務官事務所が懸念を表明し、インドネシア政府に対応を求めました。これらの活動や国際的な圧力により、一部の政府関係者や知識人の間でLGBTQの権利に対する理解が徐々に広がりつつあります。しかし、社会全体の態度を変えるには長期的な取り組みが必要であり、現状ではLGBTQの人々の権利は依然として脆弱な状況にあります。
以上です。それでは皆さん良い一日を。