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インドネシアの非正規雇用
こんにちは。
今日のテーマは、インドネシアの非正規雇用についてです。
インドネシアの非正規雇用について、以下にまとめました。
①非正規雇用の高い割合
②教育水準による格差
③ジェンダーによる不平等
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①非正規雇用の高い割合
インドネシアの労働市場では、非正規雇用が非常に大きな割合を占めています。2019年のデータによると、全労働者の約57%、つまり7,408万人が非正規雇用に従事しています。この高い割合は、インドネシアの経済構造と密接に関連しています。特に農村部や都市部の零細企業では、非正規雇用が主流となっています。例えば、ジャカルタの露天商や日雇い労働者、ジャワ島の小規模農家などが典型的な例です。これらの労働者は、社会保障制度や労働法の保護を受けにくく、経済的に脆弱な立場に置かれています。この状況の背景には、急速な人口増加に対して正規雇用の創出が追いついていないこと、また新自由主義的な経済政策により労働市場の柔軟性が重視されてきたことなどがあります。
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②教育水準による格差
インドネシアでは、教育水準と非正規雇用の間に強い相関関係が見られます。2022年のデータによると、小学校卒業者の約80%が非正規雇用に従事している一方、大学卒業者では約19%にとどまっています。具体的には、ジャカルタやスラバヤなどの大都市では、高学歴者が多国籍企業や大手現地企業で正規雇用されるケースが多い一方、地方出身の低学歴労働者は建設現場や家事労働などの非正規雇用に従事することが多くなっています。この格差の背景には、教育を受ける機会の不平等や、高度な技能を要する正規雇用の不足があります。また、都市部と地方の経済格差も大きな要因となっており、地方からの出稼ぎ労働者が都市部で非正規雇用に従事するケースも多く見られます。
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③ジェンダーによる不平等
インドネシアの非正規雇用には、顕著なジェンダー格差が存在します。女性は男性よりも非正規雇用に従事する割合が高く、賃金も低い傾向にあります。2019年のデータでは、男性の平均月給が305万ルピア(約204ドル)であるのに対し、女性は279万ルピア(約187ドル)となっています。例えば、繊維産業では多くの女性が非正規雇用の工場労働者として働いており、不安定な雇用条件や低賃金に直面しています。また、家事労働者や介護労働者など、いわゆるケア労働の分野でも女性の非正規雇用が多く見られます。この状況の背景には、伝統的な性別役割分担意識や、女性の教育機会の制限、さらには労働法制における女性労働者の保護の不十分さなどがあります。また、出産や育児によるキャリアの中断が、女性の非正規雇用を増加させる一因となっています。これらの特徴は、インドネシアの労働市場における構造的な問題を示しており、政府は非正規雇用者の保護や正規雇用の拡大に向けた取り組みを進めていますが、依然として多くの課題が残されています。
以上です。それでは皆さん良い一日を。