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【インドネシア】医者の社会的立ち位置

こんにちは。
今日のテーマは、インドネシアにおける医者の社会的立ち位置についてです。  

インドネシアにおける医者の社会的立ち位置について、以下にまとめました。
①深刻な医師不足と地域格差
②階層的な医療システムと医師の役割
③経済的地位と兼業の一般化


①深刻な医師不足と地域格差
 インドネシアでは、医師の絶対数が不足しており、特に地方部での医師不足が深刻です。人口10万人あたりの医師数は約40人程度で、これは日本の約240人と比較して極めて少ない状況です。この背景には、医学教育を受けられる人材の不足や、地方での勤務を敬遠する傾向があります。例えば、ジャカルタなどの大都市に医師が集中し、地方の医療体制が脆弱になっています。政府は地方勤務を義務付ける制度を導入していますが、十分な効果を上げていません。この状況は、医療サービスの質と可用性に大きな影響を与えており、特に地方部での医療アクセスの改善が急務となっています。結果として、インドネシアの医師は都市部では尊敬される職業である一方、地方では貴重な存在として高い社会的地位を占めています。



②階層的な医療システムと医師の役割
 インドネシアの医療体制は、行政区分に準じた階層構造を形成しています。州立病院、県立病院、市立病院、そしてPuskesmas(保健センター)という順で、高度な医療から基礎的な医療まで提供されています。この階層構造の中で、医師は各レベルで異なる役割を担っています。例えば、Puskesmasでは一般的な診療や予防医療を担当し、より高度な医療機関では専門的な治療を行います。この構造は、日本のような開業医制度が一般的な国とは異なり、医師の社会的立ち位置に影響を与えています。Puskesmasの医師は地域医療の最前線で活躍し、住民との距離が近い一方で、高度医療機関の専門医はより高い社会的地位を得る傾向があります。この階層的なシステムは、医師のキャリアパスや社会的評価に大きな影響を与えています。



③経済的地位と兼業の一般化
 インドネシアでは、医師の経済的地位は他の専門職と比較して必ずしも高くありません。特に公立病院の医師の給与は比較的低く、多くの医師が兼業を行っています。例えば、公立病院の医師は最大3か所まで勤務することが認められており、私立病院や個人クリニックでの診療を併せて行うことが一般的です。これは、日本やアメリカなど多くの先進国では厳しく制限されている慣行です。この兼業システムにより、医師は収入を確保する一方で、特定の病院への専念度が下がる可能性があります。また、経済的な理由から医療の質に差が生じる可能性もあります。結果として、インドネシアの医師の社会的立ち位置は、その勤務形態や収入源の多様性によって複雑化しており、単純に高い社会的地位を占めているとは言い切れない状況にあります。

以上です。それでは皆さん良い一日を。

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