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インドネシアの首都移転

こんにちは。
今日のテーマは、インドネシアの首都移転についてです。  

インドネシアが首都移転を進行させている背景を以下の3点にまとめました。

①ジャカルタの都市問題解決
②地理的バランスの改善と経済発展の促進
③環境変化への対応と持続可能な都市モデルの創出



①ジャカルタの都市問題解決
 ジャカルタは深刻な都市問題に直面しています。まず、交通渋滞が極めて深刻で、経済活動に大きな支障をきたしています。公共交通機関の整備が追いつかないまま都市が拡大したため、ピーク時には徒歩の方が速いほどの渋滞が発生しています。また、地下水の過剰汲み上げによる地盤沈下も深刻な問題です。1970年以降、最大で4メートル以上も地盤が沈下した地域があり、このままでは2050年までに市の一部が水没する可能性があると指摘されています。さらに、人口密集による大気汚染も深刻で、市民の健康に悪影響を及ぼしています。これらの問題は、ジャカルタが元々湿地帯であったことや、急速な都市化に都市計画が追いつかなかったことが原因です。首都機能を移転することで、これらの問題から脱却し、新たな都市計画のもとで持続可能な首都を建設することが期待されています。


②地理的バランスの改善と経済発展の促進
 インドネシアは17,000以上の島々からなる広大な国家ですが、現在の首都ジャカルタはジャワ島西部に位置しています。ジャワ島には国の人口の約60%が集中し、経済活動も同様に偏在しています。この地理的な不均衡は、国全体の均衡ある発展を妨げる要因となっています。首都をカリマンタン島東部に移転することで、国土の中心により近い位置に政治・行政の中心を置くことができます。これにより、国家の発展がより均等に広がることが期待されています。特に、これまで開発が遅れていた東部地域の経済発展を促進する効果が見込まれています。また、新首都の建設自体が大規模な経済プロジェクトとなり、雇用創出や関連産業の発展にもつながると期待されています。総額約4.1兆円と見積もられる移転費用の大部分は民間投資やPPP(官民連携)で賄われる計画であり、これが新たな経済成長の原動力となることが期待されています。



③環境変化への対応と持続可能な都市モデルの創出
 気候変動による海面上昇や極端な気象現象の増加は、低地に位置するジャカルタにとって大きな脅威となっています。新首都の候補地であるカリマンタン島東部は、自然災害のリスクが比較的低く、長期的な持続可能性が高いと考えられています。新首都「ヌサンタラ」の建設計画には、緑豊かな公園や湖、持続可能なインフラ、エコフレンドリーな建築が盛り込まれています。これにより、環境に配慮したグリーンシティとしての新しい首都像が描かれています。一方で、カリマンタン島の豊かな生態系や先住民の生活環境を守ることも重要な課題です。新首都の建設を通じて、経済発展と環境保護の両立を図るモデルケースを作り出すことが目指されています。この取り組みは、急速な経済発展と環境保護の両立に苦心する他の発展途上国にとっても、重要な先例となる可能性があります。


以上です。それでは皆さん良い一日を。

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