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ジェーン・スーさんを初めて見た日
大抵の電車は遅延する。
かといって早く着きすぎるのも嫌なのだ。
「15分あるし、お腹空いてるの嫌だから何か食べよう」と立ち寄った丸亀製麺。まだピーク前ですんなりと注文できた。ここの良いところは、注文から支払いまでほとんど立ち止まらないところだ。席に着くまではとても順調。本当は10分で食べて店を出たかったのだが、早食いだけはできない。
半分食べ終えたところで残り時間は9分。素晴らしいじゃないか、やるじゃん私。そしてなんと4分を残して完食し、店を出ることに成功した。
店の入り口には注文のために外まで続く行列。こういうの見ると嬉しくなるよね、ナイスタイミング自分。
駅までは徒歩30秒、目的地の駅までは10分の乗車時間だ。ちょっとぐらいの遅延ならば大丈夫。ゆっくり会場に向かっても開演まで15分の余裕がある予定だ。
だが、今の時刻は18時18分。
どうしてだ?
こういう時に限って遅延するんだよね、わかってるわかってる。だから仕事も早めに切り上げてあんなにうどんも頑張って食べたのに!
講演会の開始は18時30分で、最寄りの駅から会場までは徒歩6分というところだ。土地勘が若干あるのを頼りにほぼ走るしかない。
今日はとてもとても楽しみにしていたジェーン・スーさんの講演会。最近は全国各地でお話をされているため、いつか今住んでいる場所でも講演会をするのではとチェックしていたのだ。
最寄り駅の到着は18時23分、ギリギリじゃないか〜
出口を間違わないように、出来る限りの最短距離で。いそいそと歩いていると、仕事帰りの雰囲気があるおじさまに、おばさまが。どうやは私たちは同じ目的地に向かっているようだ。
「私も、スーさんの講演会行くんですよ」
と、心の中で話しかける。
見たところ私よりも、ふたまわりは年上のようだ。負けへんで!精神で3人は会場に向かう。3人だと思っているのは私だけだが。おふたりとも歩くのが早くて全く追いつけない。
大人は歩くのが早い。
やっと辿り着いたと思ったのだが、想定外のことが。会場はなんと2階。階段をせっせと昇り、係員の誘導によって席に着いたのは開演の2分前。ヒヤヒヤした〜と思いつつ、ぴったりだったな!とも思い、謎の達成感に満たされた。
前を歩いていたはずのおふたりは、会場までの矢印になかなか気付かず、更には階段で苦戦していた。うっかり追い越してしまった。
大人は誘導の矢印と階段に弱い。
座席がお尻に馴染む前には開演のアナウンスが。
今回の講演会についての紹介があり、それを終えるとお待ちかねのあの人が。
初めての生、ジェーン・スー!
素敵な色のワンピースを着ていて、なんて存在感なんだ!
かっこいいよ、かっこよすぎるよ!
普段推しているアイドルに対するような気持ちになって初めて気付く。
私、今、目がキラキラしてる!
そう思う程に魅力的な講演だった。
話の流れも例えもわかりやすく、心を掴むことばの数々に圧倒されっぱなし。スーさん、さすがです。
「そんな視点で見たことがなかった!」と思ったのは、『女性 ミニデザート付き』のウィメンズデー。
それは女性が『二級市民』として見られていて、『お子様ランチ』を食べさせられているみたいなものだと。
確かに、それは気付かなかった。
当時は収入の少ない婦人が、どうすれば満足して食事ができるだろうかと試行錯誤した結果かもしれない。しかし今の女性であれば、食べたいデザートは自分で選ぶし、一口で食べ切れるスポンジケーキよりも自分の好きなものをたくさん知っているだろう。そして、その代金を支払う能力も持っているのだ。
より一層、好きが増したライブ(講演会)帰りに、いつかスーさんとお話しできる日が来たらこの日のことを話すんだろうなとほくほくした。