ククルス・ドアンの島(劇場版ファーストガンダム)の感想メモ

※ネタバレ有り。筆者は鑑賞時点でファーストを数年前にテレビ版で履修済みのにわか。ジオリジンは敬遠中……。思うままに書き綴っただけの自分用のメモ的な記事です。
 正直見て良かった映画ではある。いい意味で。
 まずジオン軍五人の精鋭部隊、褐色のサザンクロスがとても格好良くて気に入った。膝の星もヒートサーベルを振り回すザクも最高だし、キャラクターのバランスもいい。だからこそ彼らを一方的に殺戮するシーンは衝撃と共に悲壮感でいっぱいだった。彼らはあまりに呆気なく死んでいき、裏切り者ドアンとのバックストーリーも要件のみでほとんど語られないまま塵となった。この映画で重要なのはきっと語られないということなのかな、と。ハッピーエンドのはずなのに主題歌(完璧なイントロ)が流れると戦争の悲しさ、本来の意味での死人に口なしということが重々しく頭の中に響くのだ。そしてアムロは明日も戦争に身を投じていく。ファーストをまた観たくなったね。三部作で見ようかな。

 万人受けはしないだろうし、戦災孤児たちの生活の掘り下げが少し冗長で、やろうと思えば1時間半でも同じ内容でできたのではないかと考えたりもした。しかし執拗に子供達を軸に描き抜いたのは、単に子供に向けて共感を呼ぶためや守るべき尊き日常を表現したかっただけではなく、子供達こそがククルス・ドアンという人間の全てであり彼らを通してドアンという人間が描かれていたのかもしれない。
 ドアンがアムロに「仲間と戦うことになっても子供たちを守れるか?」と問うシーンがある。これ、アムロに戦う者としての覚悟(強さ?)を問いながら後のドアン対サザンクロス戦を暗示している。つまりドアンは(かつては?)アムロ程度に仲間思いの兵士だったということを表していると思う。まあ隊を全滅させる必要があったのかはしばらく議論されるかもしれない。というか、だからこそあのオチなのかな。ドアン自身が戦おうとするからいけなかったということなのか。アムロを自己言及的に描いていたのもこのオチにつなげるためなのかも。
 あと今更語る必要ないとは思うけどアムロってクソ良いキャラだなと思った。あとガンダムが超かっこよかった。しかしあまりにも戦争の道具なんだよな白い悪魔……。
 また、原作履修勢であるため気にならなかったが改めて振り返ると、「赤い彗星級の戦士であったドアンが軍を裏切り子供たちを戦争から遠ざけ養育・教育している理由」という重大な真実すら口で説明されない。マジで観客自ら読もうとしないと何も分からない中身のない映画になってしまうかもしれない。ここら辺で評価を落とすなら説明不足と言っていいレベル。

まとめ
 岡田の人が原作の方の解説で言ってた気がするが、ガンダムシリーズ(の主に一話)の全否定を地で行きつつアムロが悲しみを背負い続ける選択をするという作品。ある意味アムロが他の主人公と一線を画す部分(ソフトに言うと個性)が顕著に表れた神回の、神回たる要素を上手く抽出していた。
 語りすぎず観客に考えさせる作りは子供向けに「(戦争)悲しいねバナージ」をやる上で良いとは思うがもうちょっと喋ってくれてもいいのよと感じる語り具合でした。あー、UC2楽しみだなー……。


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