企業と嘘(1)
企業が「嘘」をつくのはよく見る風景だ。例えば、メーカーであれば、検査データーの数値を改ざんして、本来出荷してはいけない製品を市場に出荷したり。世間からすれば、「なんでそんなことするの??」という気持ちだと思う。
他方、企業の内側から見ると、「嘘をつけば物事が平穏無事に収まりそうだけど、つかない場合は、色々めんどくさいことが発生しそう」という状況になった場合、前者を取るということが、結構普通にあるように思う。これは、今まで複数のメーカーで品質保証業務(特に顧客クレーム対応)に携わった経験からくる実感だ。なお、社風や社員教育がしっかりしていて、「嘘や隠し事は絶対ダメ」の意識が、個々の社員まで浸透・徹底している会社も存在はする。ただし少数派だと思う。
私自身も、嘘はついたことがある。現時点では「ビジネスで嘘は絶対ダメ」と思っているのだが、以前は、「実害を及ぼさないような『小さな』嘘」は、少しくらい構わないんじゃないか」、くらいのスタンスだった。例としては、不良品に対する顧客クレームがあった際、原因と対策を顧客に説明する際に作り話をしたことだ。
ちなみに、企業が、何か問題を起こした後、「原因調査・再発防止策の報告」の中に嘘を混ぜたり、隠し事をするのは、一般論としてありがちだと思う。報道を見ても問題を起こした会社が出す「調査・再発防止報告書」に対し、眉唾に思うことは、誰でもあるのではないだろうか。
次稿以降で、なぜ企業は「嘘」をつくのかを考察していきたい。