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ウサギとカメ 

    ある日、ウサギとカメは「本当の自分を見せる」ことをテーマにした大会に参加することにした。
    ウサギは自信満々で、カメは少々緊張しながら準備を始めた。

    ウサギは心の中で「これで勝つ!」と決意し、まずは自分の毛皮を脱ぐことにした。「これが本当の私だ!」と叫びながら、彼女はふわふわの毛皮を脱ぎ捨てた。すると、ピンクの皮膚が露わになり、その瞬間、体がふらつき、彼女はその場に倒れてしまう。外見を変えることで、彼女は自分の強さを失ったのだ。

    一方、カメも決心した。「ぼくも自分を見せるべきだ!」と考え、自分の甲羅を外した。彼は殻を外すと、ひょろひょろの肉体が現れ、血の跡が見えた。「これがぼくの本当の姿!」と胸を張ったが、その姿は周りの動物たちには衝撃的だった。

    観客たちはざわめき、ウサギとカメは一瞬、互いに目を合わせた。どちらも自分をさらけ出すことの恐怖に直面していたのだ。

    その時、賢者のフクロウが飛んできて、二人に言った。「本当の姿は見た目だけではない。君たちの価値は、内面にあるんだ。自分を偽らず、心を表現することが大切だよ」

    ウサギはその言葉に気づき、倒れていた体を起こした。「私が本当に見せたかったのは、強さや自信ではなく、私の心だったんだ!」と叫んだ。

    カメも同様に、自分の弱さを受け入れ、「ぼくの本当の姿は、自然とのつながりや支え合いだ」と気づいた。

    こうして、ウサギとカメは見た目を超えた真実を見つけ、互いの存在を尊重し合う友情を築くことができた。


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