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015.庭を耕して野菜作り

  今年も野菜作りに精を出した。ロンドンに住んでいる時もアロットメント(Allotment)と呼ばれる区が所有する菜園を借りて野菜作りをしていたが、デボンに住み出してからは自分の家の庭が広いので一部を耕して野菜作りをしている。引っ越してきた時には庭全体が芝生だったが、奥の方を耕して幅2メートル、長さ5メートルぐらいのプロット(Plot=区画)を4つほど作り、ワイフのジルと2つづつ使っている。

私のプロットでは日本の野菜が主流

 私のプロットではタマネギやジャガイモといった通常の野菜はもちろん、日本のキュウリやキャベツ、カボチャ、枝豆、大根、ゴボウ、カブ、長ネギ、三つ葉、絹さや等、いろいろな野菜を育てている。もちろん商売でやっているわけではないので、量は少ないし、また豊作の際には近所の人や日本人の友達に分けている。野菜の種はほとんど日本へ帰った時に買ったり、友達が帰国した際に頼んだりしているが、最近は英国のガーデンセンターでも絹さや、水菜、枝豆、小松菜などの種を買うことが出来る。もっとも、日本で日本の野菜の種を買っても長ねぎはイタリア産だったり、枝豆はアメリカ産だったりするので、原産地はどこでも良い様である。ワイフのジルはイチゴやラズベリー、レタス、トマト、ズッキーニ、その他多くの豆類を育てており、夏の間は野菜を買う必要がないほどに収穫できる。
 デボンの家はほとんどの家に大きな庭が付いているので、庭の一部を耕して野菜を作っている人が多い。あちこちにあるガーデンセンターに行けば、野菜や花を育てるための道具や種、苗、肥料等がたくさん揃えられている。私はロンドンのアロットメントで使っていた道具類を持ってきたので、買い揃える必要は無かったが、それでも肥料にするホースマニュア(Horse Manure=土と混ぜた馬糞)やその他水じょうろやバケツなどは揃えた。
 我が家の庭は小川に面しており、低い部分は冬になると大雨でよく洪水になる。春の収穫のために植えたキャベツやソラマメが水浸しになってしまうことがあるが、この洪水が肥沃な土を運んでくるので野菜の栄養になっている。また、この小川のために土壌は砂地で柔らかく、大根やゴボウといった根野菜に適している。適していると言えば、我が家の畑の土は酸性で日本の土と似ており、日本の野菜作りには適している。毎年ゴボウは良くできる。洪水は困りものだが、我が家では恩恵を受けている面もある。

洪水が肥沃な土壌に

 デボンで畑づくりを始めてから多くのことに気づいた。ロンドンでは野菜作りには天敵が多かった。先ず大の天敵はナメクジと蝸牛である。せっかく育てたキャベツやレタスが食べ荒らされてしまう。キャベツなどは中の方の葉までナメクジが入り込んでいるので、1枚1枚はがしてナメクジのいないことを確かめて良く洗ってから使わなければならない。レタスや小松菜、パクチョイなどの葉野菜はひどい時には茎しか残っていない状態であった。
 デボンにもナメクジや蝸牛はいるのだが、被害甚大というほどではない。ほとんどいないと言っても良いくらいである。ナメクジや蝸牛を食べる鳥がたくさんいるからだ。ブラックバードは殻のある蝸牛の殻を割ってたべるし、ロビンやシジュカラ等はナメクジや小さな虫を食べてくれる。その他我が家の庭にはいろいろな鳥が訪れる。餌があるからだが有難いことだ。
 デボンでは自宅で野菜を作っている人はほとんどの人が化学肥料を使わないオーガニック栽培をしている。我が家もオーガニック栽培である。肥料には前述のマニュアや野菜ゴミのコンポスト、落ち葉を腐らせた腐葉土などを使っている。家庭菜園の作物は形が悪かったり、傷が付いていたりするけれど、味には関係ないし、何よりも安心して食べられる。スーパーで売っている野菜は何種類もの化学肥料を施し、殺虫剤を噴霧し、防腐剤に漬けた物も多くある。その点自宅で育てた野菜は見た目は悪くても安心して食べられる。

枝豆

 

絹さや

しかし、自分での野菜作りは子供を育てるようなもので、結構手間がかかる。肥料を施すだけでなく、夏には水をやらなければ萎れてしまうし、肥料を施すと雑草が勢いよく育つので草むしりをしなければならないし、蔓(つる)や茎で育つ野菜には棒や竹で柵や棚を作ったりしなければならない。かなりの手間がかかるがそれなりの報酬がある。私の場合には安心して食べられる食料を確保するだけでなく、良い運動となるので健康維持にも欠かせないし、土をいじるのは精神的にもリラックス出来るという効果もある。(以下続く)

オーガニックな栽培

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