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法曹志望B1のための地図

主に京大法学部の法曹志望のB1、B2の方に向けて法曹を目指すにあたってのルートをお伝えします(京大法学部生以外の方も読んで損なことはないと思います!)。私が1.3のB4予備ルートを進んでいる途中なのでこれに関してのポジショントークが多いことはご了承ください。

1.法曹になるために考えられるルート

1.B2予備+B3司法+B4修習ルート

 B2で予備試験に合格し、B3で司法試験に合格し、B4で司法修習に進む(単位を全て取得していないと修習専念義務に反するようです)ルートです。
⭐︎メリット
・一切の寄り道をせずに民間就職の人と同じ年次で就職することができるので、大学に入ったのは法曹になるためだけであるという人にとってはこの上なく素晴らしいルートである
⭐︎デメリット
・高校生の時から法律を勉強していたなど特殊な事情がない限りB2で予備試験に受かるのは困難
・できるとしても大学生活の全てを捨てる覚悟が必要になる
・B4で修習に行くためにはB3までに全ての単位を取り切っている必要がある(要卒単位が残っていたら休学しない限り修習に行けないらしい)が、B2予備を目指しながら般教や専門をフル単していくのは至難の業であり、B4で修習に行かないのなら結局B3で予備試験に受かるルートとそこまで結果が変わらない
・予備校のフルパックを購入するのはほとんど必須(法律科目を大学の授業でインプットしていくことができないから)である

2.B3予備+B4司法ルート

 B3で予備試験に合格し、B4で司法試験に合格し、卒業後司法修習に行くルートです。
⭐︎メリット
・B2予備ほどではないがやはり寄り道なくすぐに社会に出ることができる
・B4予備でロースクールに行かない人のように「無職期間」が生まれない
⭐︎デメリット
・B2予備ほどではないがやはり難易度は高い
・試験期間と短答や口述が被るのでGPAが視力程度になってしまう可能性が高く、その場合就職や留学の際のウィークポイントになる(※留学に関しては学部卒の場合司法研修所の成績の方が重視されることもあるみたいで必ずしも不利になるとは言い切れないみたいです)
・もしもB3で予備合格を達成できなかったらただGPAが低いだけの人になってしまい、他のルートの人に比べて就職やロー入試でかなり不利になる
・予備校のフルパックを購入することが必須とは言えないまでも推奨

3.B4予備+LS2司法(orロー行かず司法)ルート

 B4で予備に合格し、LS2(ローに進学しないなら無職として)で司法に合格、その後ローを退学するか修習を一年遅らせる(ローに進学してない人はそのまま修習に行く)ルートです。私が今現在乗っているルートです。
⭐︎メリット
・B3まで大学生活を楽しみながら在学中予備も達成するという欲張りなことが可能
・B3までに試験期間中だけは頑張っておいて5年一貫型要件を確保しておくとB4ではロー入試の負担が一切なく、単位も取り切っているので専業受験生として予備に集中できて、他のルートよりも予備合格を達成しやすい
・5年一貫型に向けてB3まで試験前には頑張っていると必然的にGPAがめちゃくちゃ高くなるし、大学生活ある程度楽しんでるからいわゆる「ガクチカ」もそれなりできて就活でかなり有利になる
・B4予備を達成できなかったとしてもロー入試でかなり有利だし、LS2のサマクラで無双できる(LS2のサマクラでは学部成績が重視されてるから)
⭐︎デメリット
・ローに行かない場合一年間の「無職期間」が発生してしまい、逆にローに行く場合にはLS3で退学するか修習を1年遅らせるかの選択を迫られる
・周りの民間就活の人らが就活終わって遊び回ってる時に予備の勉強をしなければならないため、精神的にはしんどい(もっともどうせロー入試があるので勉強はしなければならないからB3までに予備合格を達成してない限りこの苦しみからは逃れられない)

4.LS2予備+LS3司法ルート

 LS2で予備試験を受けて予備試験資格でLS3の時に司法試験を受けるルートです。
⭐︎メリット
・予備試験資格で司法試験を受けたらローを卒業せずとも済むためローから脱出したい人には良い
・ウィンターに行けるため在受資格の人より就活の手数が増える
・学部の時にはそこまで勉強せずとも良い
⭐︎デメリット
・ローを脱出したいとかでない限りどうせLS3で在学中受験ができるためそこまで意味がなくなる
・ローの期末試験と短答・口述が被っているため両立がかなり大変で、下手をすれば「二兎追う者一兎も得ず」になってしまう可能性がある

5.LS3司法(在学中受験資格)ルート

 予備試験の勝負には乗らず、順当にLS3で在受資格で司法試験合格を目指すルートです。
⭐︎メリット
・京大の多くの人がこのルートだと思われるため、特殊な努力をせずともみんなと同じことをしておけば足りる
・学部成績さえしっかりとっておけばLS2のサマクラでちゃんと四大や準大手に呼ばれるから就活も不利ではない
・学部時代にそこまで頑張らずとも良い
⭐︎デメリット
・京大の在受資格の司法試験合格率は年度によって割と上下しているのであまり安心できない
・学部成績が良くない限り四大の就活は少し不利
・ちゃんとローを卒業しなければならず、LS3の最後まで司法試験の呪縛から逃れることができない

6.B3で早卒ルート

 B3で早卒してLS3で司法試験合格を目指すルートです。
⭐︎メリット
・予備試験という勝負に乗らずともB4予備の人と同じタイミングで司法試験を受けることができる
・学部成績が良いのでB4予備の人と同様に就活は割と有利である
⭐︎デメリット
・少なくとも5年一貫型でない早卒は学部を中退しなければならず、ローで挫折したら高卒になってしまう(5年一貫型+3年次卒業の場合どうなるかはよくわかりません、すみません)可能性がある
・特に下四法の基礎がおぼつかないままローに入学するのでローの勉強やその後の司法試験の勉強で結構苦労する
・「早卒」であることが就活において有利に働くことはそこまでない(学部成績が良いから有利ということはあるが)
・サークルや部活の引退が4年次の人は選ぶことが憚られるルートである

7.どれがおすすめ?

⭐︎親や周りからの支援が望めない人
 親や周りからの支援があまり望めない場合6.B3早卒ルートでできるだけ早く司法試験を受験することを目指すか3.B4予備ルートでその後ローに進学せずに司法試験を受けるのが良いと思います。B2予備B3予備もロー進学せずとも済むという点では金銭的負担はあまりかからないように思えますが、この場合予備校のフルパックが必要になってきますので、金銭的負担が軽いとは一概には言えないかなと思います。
 ここには書いていませんが一旦ホワイトそうな職場に就職してそこで予備に向けて勉強するというのも一つの選択肢です。もっとも一旦就職しても法曹への熱意が失われない自信がある人でないと結局就職後に勉強を継続するのは難しいかなと思います。
⭐︎親や周りからの支援が望めて四大や準大手、名門中小企業法務を目指す人
 この場合で自分の能力に自信がある方は1.B2予備ルート2.B3予備ルートを目指していけば良いと思います。一方でそこまで自分の能力に自信がない方は3.B4予備ルートで学部成績と予備を両取りしてB4サマクラで無双するか4.LS2予備ルートでウィンターに賭けるか5.LS3在受資格司法試験ルートにおいてLS2のサマクラに賭ける(学部成績が良いことは必須)ことになるのかなと思います。
⭐︎親や周りのからの支援が望めて街弁志望な人
 この場合司法試験前に就活をする必要がないので5.LS3の在受資格で司法試験合格をじっくり目指せば良いと思います。学部のうちはロー入試に支障が出ない程度に目一杯遊びましょう。

2.予備校の要否

⭐︎1.2のルートでB3までに予備合格を目指す場合
 この場合大学の授業よりもはやくインプットを進めていかなければならないので、インプット講座も含めて予備校の講座を受講することは必須だと思います。受講する予備校は伊藤塾、アガルート、加藤ゼミナール等定評あるところならどこでも良いでしょう。フルパックで取ってる人で多いのは伊藤塾だと思いますが安くて質重視なら加藤ゼミナールが良いでしょう。アガルートはその中間ってイメージです。
⭐︎3のルートでB4予備を目指す場合
 この場合少なくともB3までは学部試験の成績を取ることを中心に据えていくため、インプット講座は不要です。授業で指定された基本書がわかりにくい場合には呉基礎本やストゥディア等のわかりやすいインプット本で学習していきましょう(私は呉基礎本を中心に民訴はストゥディア、会社法はリークエ、行政法は基本行政法でインプットしましたがこれについてはまた後日noteを書きます)。
 論証集や過去問集についても市販で良いものを手に入れられるのでわざわざ講座を取る必要はないと思います。論証集なら例えば辰巳の趣旨規範やアガの合格論証集(※公法系は市販されてなかった気がする)がありますし、過去問集はぶんせき本や実戦演習シリーズ、行政法解釈の技法などがあります。
 もっとも、短文事例問題集に関しては市販で解答例付きのものがあまりないので、予備校の講座を取ることが必要かもしれません(強いて言えば伊藤塾の予備赤本かも)。私はアガの重問と論証集だけ買ってました(合計で15万くらいですが出費としては結構痛手でした、、、)。ロープラなど学者の本だけで対応可能といえば可能かもしれないですが、いかんせん解答例がないためここは必要な出費だと思って我慢して予備校に課金するしかなさそうです。
⭐︎4〜6でロー進学を中心に考える場合
この場合は予備校に課金する必要はないと思います。インプットは学部の授業で足りますし、ロー入試は解答例がないロープラ等を中心に学習してても十分受かると思います。論証集に関しても市販されているもので大丈夫です。

3.まとめ

 以上が私が考える法曹を目指す京大生の基本ルートになります。いずれのルートを歩むにせよ場当たり式ではなくきちんと将来を見据えて自分にとって一番良いルートを選択した方が試験も就活も上手く行きやすいと思います。
 最後にルートを選択する上で皆さんが勘違いしやすい点をお伝えしますが、
①予備論文合格は受験生全体のうちの合格率の数値(3%〜4%)から受ける印象よりは容易
②ロー入試は言われてるほど簡単ではない
ということを念頭に置いておいてください。
①に関して、予備論文はとんでもない天才が受かるものと考えている人もいるかもですが、そんなことは全くなくて京大で5年一貫型要件に引っかかるくらいの基礎力があるなら1年弱予備に向けて頑張るだけで十分上位合格を狙えます。一方で、②に関してロー入試は楽勝という言説もありますがそれは過去の話で最近のロー入試は結構難関です。京大の内部生ならば素点平均で75〜78あたりはないと戦えないでしょう。外部生ならば予備論文で惜しいところまで行くくらいでないと合格は厳しいと思います。5年一貫型を目指してロー合格は確保しておくのがおすすめです。

⭐︎追記
 就活についてですが、「予備試験に合格すればどこでも行ける」という思い込みは少し危険です。というのも大手企業法務系は「学歴(ここでは学部がどこかを指します)」と「学部成績」を重要視しているからです。「予備試験合格」のカードがない人でも「学歴」と「学部成績」のカードがある人は割と就活は上手くいっていますが、両方欠けていて「予備試験合格」のカードしかない人は就活であまり上手くいっていないケースが散見されます。その意味で「学歴」と「学部成績」がボーダーラインの人が「予備試験合格」のカードを手に入れると良いブーストになりますが、両者がボーダーラインにすら達していない場合には必ずしも「予備試験合格」がブーストにはならないでしょう。既に「学歴」と「学部成績」を確保している人は無理して「予備試験」のカードを手に入れる必要はないかなと思います。

 最後まで読んでくださってありがとうございました!

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