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[読書録]コンビニ人間(村田沙耶香 著)

居心地のいい場所は人それぞれ

 主人公は幼い頃から周りとの価値観が合わない女性。その価値観のズレに悩み、自分の居場所を見つけられずにいました。

 大学生になり始めたコンビニバイト、コンビニ店員として決められたことをこなしているときは、世間から見て「普通の人間」になれたと思え、そこが居場所になった。
 ただし、一歩外にでると、「普通の人間」とは、どんな人かさっぱり理解できずにいた。
 また、年齢を重ねるといわれる結婚や出産も彼女を悩ませるのだった。
 そんな女性が悩みながら彼女なりの人生を歩んでいく話しです。

 価値観というのは、人それぞれで、いい学校、いい会社、結婚、出産、男だから、女だからと、「一般的」価値観を押し付けられることに苦しんでいる人も多いと思います。
 そんな人は、主人公の生き方に共感できる部分があると思います。解決策ではないけれど、「一般的」な価値観に合わせなきゃと苦しむ人の寄り添う本です。
 興味持たれましたら、読んでみてください。

 第155回芥川賞受賞作

生きづらさとどう向き合うか

 「同調圧力」この言葉を理解したのは働き始めたことだと思う、どこかで聞いたこの言葉から、学校の教室が連想されたことを覚えています。
 価値観の違う人たちが教室に閉じ込められ、一部の空気を作る人たちや流行がこの同調圧力を生み出していくそんな感じが嫌だったこと、似たような経験をした人も多いと想像します。
 私はこの圧力の薄い方へと進んできているように思います。社会人でも同調圧力はあると思いますが、幸い今は圧力の薄いところにたどり着いたようです。

 noteの記事で紹介してきた、「心配事の9割は起こらない」、「#シンFIRE論」や「幸福論」と記事にはしていませんが「嫌われる勇気」などは、まず自分に目を向けよう的なメッセージを受け取れる本で、私もこれらの考えを取り入れようしています。
 また、主人公の女性は一般的な価値観とのズレに悩んでいますが、「正欲」では多様な価値観について考えさせられる本ですので、この女性にも読んでもらいたいですね。

 価値観について思い出したエピソードがありました。
食堂で喧嘩をしている大学生の一人が、「俺たちの友達でそんなことをいうやつはいない」と言って相手の言い分を否定していました。これを言った彼の中では彼の友達が価値観=一般的・常識で、目の前の相手の価値観は一般的・常識ではないといっているのです。どんだけ狭い常識なのだろうと思ったし、目の前の相手が自分と同じ価値観を持っているのだと決めつけていることに驚きでした。
 一方で、自分の価値観だけが正しいという風に思ってしまうと彼のように喧嘩になってしまいやすいなと思ったので、一歩引いて、客観的に抽象的にものごとをとらえられるといいかもしれません。


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