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[読書録]正欲(朝井リョウ著)

価値観が揺さぶられる本

 人それぞれが持つ価値観とは何か、多様性と言って少数派の人を受け入れば問題は解決するのか、多様性に正面から向き合い読者自身に多様性とは何か問いかける本です。

 価値観というと日本では昭和的価値観(男性の場合、いい学校、いい会社、猛烈に働いて、結婚して、家を買って、子供を育てる)がそれにあたると思います。
 ただ、令和においては、ワークライフバランスや生活の質ということや、LGBTQなどの性別についても話題となるくらい、多様性について取り上げられています。
 一方で、上記のように大きく括られない価値観が本書では描かれています。

 自分の持つ価値観とは別の価値観に出会ったとき、違和感を感じる人も多いと思います。中には、それを否定したり、自分の価値観に染めようとしたりする人もいます。

 多様性と言って、他人の価値観を理解したような気になるのではなく、多様な存在を認識しつつ、否定も肯定もせず、ちょうどいい距離感を保とうと努めようと本書を読んで思いました。

著者(デビュー10周年作品、2022年本屋大賞ノミネート作品)


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