言葉にできない虫
これだけ多くの人に愛される虫は
いないのではなかろうか?
あの頼りなげな飛翔
それに反する
あの明滅の光の不思議さ
夜空に浮かぶあの光
「あの人にこの景色を見せてあげたい。」
「あの人といっしょに見たい。」
ひとのこころの
情感を静かに強く
突き動かす虫は
この季節の
ホタルしかいないような気がする
ああ、こどもたちに
これを見せてやりたい。
あのはかなげな光の飛翔を見ると
いままで歩いた過去と
自分のこれからの未来
終着点がいずれ来るだろうということを
あの闇のほのかな光をみて
厳かな気持ちになる。