中小零細企業の組織図を破壊した話
年間売上10億円を超えるには、会社の組織化が必要と言われている。特に社長のワンマン経営で伸びてきた会社が、ある程度の従業員数や会社の規模を迎えた際に、トップの目や声が届きにくくなり、売上が停滞する場合がある。
社長にもよるが、だいたい従業員が40~50名くらいになってくると、もう個々が何をやっているか細かく把握できなくなる。
私もこのタイミングで組織化に踏み切ったのだが、そこで大失敗したという話。
1、組織化(分業化)の落とし穴
組織化を進めるということは、分業化を進めるということである。つまり「ここからここまでは私達がやるから、そこからそっちはあなた達がやってね」がたくさん発生する。
分業化で「効率」は上がるが、業務範囲を超えた「柔軟性」は大幅に下がる。さらに部署ごとの業務量に差がでても、他部署が助けるということがしにくくなり、業務量が多い人、少ない人が発生。つまり無駄が増える。
その上、「ウチらの部署は忙しいのに、あの部署の人と給料が同じはおかしいわ」マインドが勃発。
とはいえ、給料を急に差をつけるわけにもいかず。そのままカオスへ。。。
組織化を進めるということは、人件費を含めた固定費もあがるということ。固定費があがると売上も会社も縮小ができなくなる。後戻りができないし、柔軟な戦略変更もできなくなる。
2、組織化だけが正解じゃない
組織化を進めることが悪いことではないが、会社として勢いがなければ頓挫する可能性が大いにある。ということ。
組織化をして、ガシガシ業務を回し、売上を上げていけるシナリオが見えていれば、すぐにやるべきだと思う。
売り上げが伸びているけど、どうも業務効率に無駄が多いという状態が、組織化を考えるタイミングである。
逆に、売上伸びているけど、手が空いている人材もたくさんいますよの状態で組織化をはかると、さらに効率が悪くなる。私の会社はそこで大ゴケした。
いわゆる人材が増えた膨張状態だったわけで、ここでの組織化はむしろ逆効果だった。
うちの会社は人件費が膨張した状態で売上を伸ばすことができなくなり、そのまま窮地に追いやられた。
その結果、人員削減を進めざるを得なくなってしまった。
まずは、業務量の少ない従業員の業務内容を見直すべきだったのだが、組織図を作ることで、さらに業務範囲を狭めてしまった。
3、組織図ではなく相関図
組織図を作るということは、見えない壁を作るということでもある。
誰が誰の部下で、誰の部下ではないかがハッキリする。つまり部署を超えた仕事にハードルができるということになる。
あの人に仕事を頼むためには、自分の上司にお願いして、あの部署の上司に一旦許可をとって、それからあの人に依頼して、、、の回り道。これ中小零細企業にはいらない手間だと思う。
そこでおすすめしたいのが組織図ではなく「相関図」を作ること。
相関図は壁を作るのではなく、「つながり」を見える化することができる。
誰と誰がどのようにつながっているか、組織図よりもポジティプな関係性が見えるようになる。
また、繋がりが多い人=会社としての重要人物ということにもなるが、それよりも全員が全員とつながっていることが一つの理想ではないかと考える。
そして、その一つ一つの繋がり線に、「どういう関係で繋がっているのか」を記載すれば、新人が入ってきた際に「誰に何を聞けば良いか」もハッキリしてくる。
逆に繋がり線が少ない人は、個人プレーが強くても組織として仕事できているのかと疑問を持った方がよい。少なくともリーダー候補ではない人材または職種と考えられる。
一つ問題は、繋がりが多ければ多いほど複雑な図になることだ。
その解決策は今後の課題です。。。
(たまに銀行などに組織図を求められたりするので、組織図を作っておくことも必要ですが。)