思いやりのあるパワハラが営業部長たちの連帯感を生む
業界そのものが日本の人口減少により厳しい環境に直面する中、業績を好調に伸ばし続けている会社があります。この会社では、毎月20名の営業部長と役員が集まり、1日かけて営業部長会議が行われます。私も参加させてもらいましたが、「まさにパワハラ営業部長会議!」です。気持ちいいくらいパワハラ全開です!!
会議室に入ると、テーブルには「1」から「20」までの立て札が並んでいます。これは、各営業部の前月の売上額と利益額を総合して評価された順位を示しています。一番貢献した営業部長が「1」の席に、最下位の営業部長が「20」の席に座ります。そして、会議は20位の営業部長から成績発表と要因分析、今後の施策発表から始まります。厳しい質問や指摘が社長や役員から飛び交い、会議室は凍りついた空気に。私自身も緊張しっぱなしで午前中を終えました。
ランチタイム。お弁当が配られましたが、誰も口を利かず、空気は重苦しい。私も「これで本当に成果が出るのだろうか」と疑問を感じていました。ところが、タバコを吸いに席を立つ部長たちをきっかけに、会議室の空気が徐々に変わり始めました。残った部長たちが自然に17位~20位の部長のもとに集まり、会話が始まったのです。
「うちと一緒に来月やってみないか?!」
「うちの部で使ったこの施策、試してみたら?」
話は次第に笑い声を交えた活発な議論に。タバコから戻ってきた部長たちもその輪に加わり、この光景を目の当たりにした私は胸が熱くなりました。これがこの会社の業績好調の秘訣なのか?!と感じました。
厳しい指摘や競争がある一方で、その背景には「仲間として互いを支え合おう」という強い思いやりが根付いていました。厳しい環境の中でこそ生まれる連帯感もあるんだと。これこそが、チームとして成果を上げ続ける原動力なのだと、改めて学ばせてもらった瞬間でした。