異時層西方外典 Part5
このnoteはアナザーエデンの追加コンテンツである西方外典の二次創作になります。本編とは違う歴史を歩む西方もといメリナ様を見ていただければと思います。西方外典をクリアされた方で二次創作に配慮のある方に向けてのものとなっております。西方外典をクリアされていない方は特にご注意ください!!
※Part4の続きになります。
2人での飛行も問題なく行え、この地を後にする決意を固めたミストレア達は、旅の準備をしていた。
アルド「なにか手伝えることはないのか?」
ミストレア「いえ 特にはありません ですが…そうですね 本を書くためのインクが心許なくなって来ていますので この植物の実を取って来て頂けますか? ちょうどアルドが現れた辺りにあるはずです」
アルド「この実だな いくつくらい必要なんだ?」
ミストレア「3個程で大丈夫ですよ」
アルド「分かった 取ってくるよ」
ミストレア「ありがとうございます」
…………
セゼ「あのお人好しにも困ったものだな 私たちに任せて休んでおけばいいものを」
ミストレア「ふふ そうですね でも不思議と私たちに無理に気を使っているという感じはしません セゼも悪い気はしない そうですね?」
セゼ「ああ そうだな 悪い気はしない」
数十分後……
アルド「取ってきたぞ これで良かったかな?」
ミストレア「ありがとうございます これだけあれば大丈夫です」
セゼ「こちらの準備もちょうどできたところだ 出発するとしよう」
ミストレア「…そうですね 行きましょう 彼らに会いに!」
アルド「え!?」
セゼ「ああ そうだな…お前ならそう言うと思っていたよ」
アルド「俺はてっきり すぐメリナを助けに行くものだと思っていたんだけど…」
ミストレア「なぜそうなるのですか?」
アルド「だってあれだけメリナのことを思ってたから…」
ミストレア「メリナのことを思っているからこそです 今も彼らが同じ思いであれば メリナを助けたとしてどうするのですか それにもし彼らがメリナを探しにあそこを出ていたとしたら…」
アルド「そうだな ごめん ミストレアは本当によくメリナのことを考えているんだな 」
セゼ「同じ翼人だからという理由だけで 元籠の亡霊の私を受け入れたんだぞ 数年間一緒に暮らしたメリナを思わないはずがないだろう」
アルド「本当にそうだな……でも」
ミストレア「でも??」
アルド「あ 悪い そういう意味じゃなくてだな ミストレアはメリナを助けた後のことまで ちゃんと考えてるんだって思って」
ミストレア「あ! 言われてみればそうでした 」
アルド「気がついてなかったのか」
ミストレア「お恥ずかしい」
セゼ「ふふっ 私たちはこれから どこに行くかも どうやって助けるかも分からない旅に出るんだ 少し先の事を考えたっていいじゃないか 」
アルド「それもそうだな」
セゼ「さて そろそろ出発しよう いいな?ミストレア」
ミストレア「……はい 行きましょう」
こうして断罪派の作った村の場所に降り立ったミストレア達だったが、彼女達が目にしたのは想像していたそれとは全く異なっていた……。
ミストレア「これは一体 そんな…彼らが来なかったのは…まさか…」
セゼ「どうやら私たちを気に掛ける余裕すら無くなった ということだったらしいな 」
アルド「全く人の気配がないぞ…本当にここがミストレア達の言っていた場所なんだよな?」
ミストレア「この辺りから来ていたのを見ただけですし 場所が違うのかも知れません ですが」
セゼ「そうだとすれば こんなにも住居跡があるのはおかしい それに 最近移転したとしてもテントや食器類は持っていくだろう」
ミストレア「そうですよね では一体ここで何が…」
セゼ「それを考えるのは目的を果たしたあとだ 私たちには奴らに割いてやる時間はないぞ」
ミストレア「セゼ…… 確かにそうですね 気になりはしますが まずはメリナを助けなければなりません」
アルド「俺もそう思うよ でも次はどこに行こうか」
セゼ「もちろん北側にあると言う教会とやらだ だが もう少し情報が欲しいところだがな…」
ミストレア「確かにそうですね 私たちが住んでいた村以外のことはほとんど知りませんし…アルドが持ってきてくれた本がまた教えてくれればありがたいのですが…」
アルド「そんな都合良く教えてくれたらいいんだけど…」
話しているとまた本が光出した
アルド「まさか…」
そしてまた本から声がした
【指定座標への移動を確認しました 情報を復元します】
セゼ「あの時のように記述が復元されたということなのか?」
アルド「そうみたいだな 白紙だったページになにか書かれてるぞ」
無事に彼らの村に辿り着けたようですね。この村のことも含め、色々と気になることがあるとは思いますが、まずはここから北西の方向にある集落に向かってください。メルロ区と呼ばれている小さな集落です、彼らならきっとあなたたちの力になってくれます。
過去の私たちへ ミストレア
ミストレア「やはり私の字です 今度は北西にあるメルロ区へ行け ということでしょうか」
セゼ「そのようだな そうと決まれば 私はなにか使えるものがないか探して来るとするよ」
アルド「俺も一緒に行くよ ここまで運んで来てもらったんだし 少しは働かせてくれ」
セゼ「お前はここでミストレアと待っていてくれ 魔物が出てくるかもしれない それに奴らが隠れている可能性もある 1人だと対処できないかもしれないからな」
アルド「でもそれだとセゼも危なくないか?」
セゼ「元とはいえ私は 籠の亡霊として1人で生きていたんだ 対処法はいろいろとある 」
ミストレア「心配はいりませんよアルド セゼは強いのですから」
アルド「ふたりがそう言うなら そうさせてもらうよ」
セゼ「決まりだな」
セゼはそう言い残し探しに行った。
アルド「なぁミストレア ただ待っているのもなんだし ひとつ聞いてもいいか?」
ミストレア「はい なんでしょう?」
アルド「エルの唄ってどんな唄なんだ?」
ミストレア「エルの唄ですか そうですね 私たち翼人に代々伝わる唄です 歌うには高い魔力が必要とされています…… 今考えるとあの子が歌えたのはなぜだったのでしょう… 」
アルド「どういうことだ??」
ミストレア「説明が不十分でしたね すいません 私たち翼人の魔力は この翼に宿るとされています そうだとすればなぜあの子は歌えたのでしょう? 当時は一緒に歌えることが嬉しくて深く考えていませんでした…」
アルド「メリナも高い魔力を持っていたという事なのかな?」
ミストレア「そういうことだと思います しかし…」
アルド「まだ気になることがあるのか?」
ミストレア「エルの唄にはなにか力があるのでしょうか? そうでなければあの子が囚われている理由が分かりません 」
アルド「確かにそうだな なにか聞かされてないのか? 代々伝えられてきたんだろ?」
ミストレア「いえ それが エルの唄は伝わっているのですが なんのために歌われていたかも どんな力があるのかも 伝わっていないのです」
アルド「そうだったのか でも歌っていると周りに変化とかはなかったのか?」
ミストレア「そういえば 毎日歌っていたので 気にしたことがありませんでしたね ここで歌ってみましょうか」
アルド「ここで??」
ミストレア「ええ エルの唄を歌えたのは私だけでしたから ここでならなにか変化があるかもしれません」
アルド「そうだったのか それじゃあお願いするよ 単純に聴いてみたいしな」
村の跡地にミストレアのエルの唄がこだまする、それが意味するところを知らぬままに、知らぬがゆえ届けてしまったことさえ知らずに……