北部方面隊第二師団
はい、ということで陸海空三自衛隊の島嶼防衛について書きます
(総力戦だから長くなります)
今回の想定は、陸海空三自衛隊の全師団、旅団、護衛艦隊群、航空隊が対象ですので、何部かに分けて解説しようと思います。
今回は北部方面隊 第二師団です。
陸上自衛隊
まずは陸上自衛隊の紹介をしていきます。
陸上自衛隊は九個師団(今後旅団が師団化するので十個師団になる)と六個旅団が日本全国を守っています。
北は北海道、南は沖縄まで広範囲を守っている自衛隊はそれぞれ”方面隊”で区切られており、北海道を担当する北部方面隊、東北地方を担当する東北方面隊、関東圏を担当する東部方面隊、中部、中国四国地方を担当する中部方面隊、九州地方、沖縄を担当する西部方面隊となっており、現在は西部方面隊が一番最前線の防衛ラインになっております。
まずは北海道の北部方面隊の師団と旅団を紹介します。
北部方面隊は二個師団と二個旅団が所在しており第二師団と第七師団、第五旅団と第十一旅団が所在しています。
その中でも第七師団は日本唯一の機甲師団の所在地でありますが、この北部方面隊には冷戦時代、ソ連による北海道侵攻に備えていたことがわかる部隊が多数存在しますので、各師団旅団を紹介します
第2師団
北海道旭川に師団司令部があり、1個即応機動連隊、2個普通科連隊、1個戦車連隊が基幹であり、同連隊の第7師団以外ではこの師団の第2戦車連隊が唯一の戦車連隊となっております。
第二師団の駐屯地は名寄・遠軽・留萌・上富良野・旭川となっており、地図で見ると沿岸部の防衛を担当していることがよくわかると思います。
名寄駐屯地
まずは同師団所属の名寄(なよろ)駐屯地の所属部隊は第3即応連隊(旧第3普通科連隊)第2特科連隊、第2偵察隊、第2後方支援連隊(即応連隊、特科、偵察隊を支援)これらが第二師団隷下であり、第1高射特科団所属 第4高射特科群(北部方面隊隷下)が所属しています。
名寄駐屯地隷属には稚内分屯地、礼文分屯地があり、特に稚内分屯地での役割は宗谷海峡の監視を陸上自衛隊、J/FPS-7による防空監視を航空自衛隊の北部航空警戒管制団所属 第18警戒隊がおこなっており、航空総隊隷下には作戦情報隊が同分屯地に所属している他、海上自衛隊の大湊地方隊の分遣隊がいます(礼文分屯地は稚内分屯地の派遣隊が駐在)
遠軽駐屯地
続いては遠軽駐屯地の所属部隊は第25普通科連隊、第2後方支援連隊所属 第2普通科直接支援中隊が所属しています
第25普通科連隊には”遠軽と言えばスキー”と呼ばれるくらいスキーに強く、また、過去に劣悪な環境で鍛錬をしていたことから”風雪磨人”とも呼ばれており、今も受け継がれています。
(X(旧Twitter)のハッシュタグにも使われている)
装備品は中距離多目的誘導弾や81mm、120mm迫撃砲などがあります。
留萌駐屯地
続いては留萌(るもい)駐屯地です
所属部隊は第26普通科連隊、第2後方支援連隊所属 第3普通科直接支援中隊が所属しています
こちらも中距離多目的誘導弾や81mm、120mm迫撃砲などがあります。
上富良野駐屯地
続いては上富良野駐屯地です
所属部隊は北部方面隊隷下第一特科団所属 第4特科群と第3地対艦ミサイル連隊、第3施設団所属 第14施設群、北部方面後方支援隊所属 第103全般支援大隊、第101特科直接支援大隊(第2直接支援中隊、第5直接支援中隊が所属している)第101施設直接支援大隊(第4直接支援中隊が所属)第102弾薬大隊(第1弾薬中隊が所属)
第2師団隷下 第2戦車連隊、第2対舟艇対戦車中隊、第2後方支援連隊 第2整備大隊(戦車直接支援中隊及び対舟艇対戦車直接支援小隊が所属)
第4特科郡は203mm自走榴弾砲とMLRSを装備していますが、203mm自走榴弾砲の用廃に伴い、2024年に第4特科郡 第104特科大隊が廃止されると共に同特科郡の第131特科大隊も第4特科郡から第1特科郡に編成されるため、第4特科郡は来年度無くなる予定です。
(なお、MLRSが今後どうなるか不明のため退役か退役じゃないかを明言するのは差し控えさせていただきます)
また、第3地対艦ミサイル連隊は88式地対艦ミサイルを装備しており、2023年には第305地対艦ミサイル中隊が新編されるなどしています。
第2戦車連隊は90式や10式戦車を装備しており、過去には74式戦車を配備しており、他には73式装甲車や78式雪上車も配備しています。
更には第2対舟艇対戦車中隊は96式多目的誘導弾を装備しています。
上富良野駐屯地の補給所(弾薬の)分屯地として多田分屯地があります。
旭川駐屯地
続いては師団司令部がある旭川駐屯地です
第2師団隷下の部隊は第26普通科連隊の第4普通科中隊が所属(本隊は留萌駐屯地に所属)第2特科連隊、第2後方支援連隊、第2高射特科大隊、第2施設大隊、第2通信大隊、第2情報隊、第2飛行隊、第2特殊武器防護隊、第2師団司令部付隊、第2音楽隊が所属しており、北部方面隊隷下の部隊は北部方面混成団所属 第52普通科連隊 第2普通科中隊、北部方面飛行隊 北部方面管制飛行隊 第1派遣隊が所属、防衛大臣直轄部隊は陸上自衛隊中央輸送隊 第1方面分遣隊 第2端末地業務班が所属しており、師団司令部らしく、様々な部隊が所属しています。
特筆すべきは第2特科連隊で99HSPこと99式自走155mm榴弾砲を11個射撃中隊として配備していることにあり、北部方面にしか実戦配備されていない99HSPの半分程度をこの連隊が配備しているということになります。
また、火力戦闘指揮統制システム(FCCS)が配備されており、対砲迫レーダーも配備されており、10式雪上車も配備されています。
過去には16個射撃中隊火砲80門を誇る部隊でもあり、陸上自衛隊 最大野戦特科部隊でもありました。
第2後方支援連隊は各駐屯地の後方支援連隊の本隊がこの旭川駐屯地に所属しており、各大型トラックやトレーラー等を配備、更には戦車回収車などを配備しており、野外手術システムや入浴、炊事、洗濯などがあり、MANPADSも配備されています。
第2高射特科大隊は87AWこと87式自走高射機関砲を配備しており、81式短距離地対空ミサイルを配備しており、更には93式近距離地対空ミサイルも配備している為、短、近、機関砲の3つの防空網を構築しており、81式に至ってはC型が配備されています。
防空レーダーはJTPS-P14、低空レーダーをJTPS-P18を配備しており、対空戦闘指揮システム(ADCCS)を配備しており、このADCCSは対空レーダーと対空火器と連接して対空情報が共有され一元的な指揮統制が可能となり、情報集約能力や処理能力や伝送能力が飛躍的に向上するため、撃ち漏らしや重複攻撃を防ぐことができます。
第2飛行隊は…..うん、まあ、一応配備はしてるよ、UH-1Jを四機だけ。
というのも、もともとはOH-6を配備していましたがOH-6の退役に伴いHU-1Jだけになってしまっています。
第2特殊武器防護隊の装備は化学防護車と除染車、生物偵察車などを装備しています。
師団司令部付隊は師団司令部の管理、補給、輸送、警戒等の支援、師団司令部の及び各部隊のための情報の収集・処理業務を任務としています。
そのほかには各駐屯地にシステム通信隊が駐在しており、これは北部方面隊隷下の部隊で北部方面の部隊(第2、第7師団と第5、第11旅団)との通信を確保することが主任務であり、各駐屯、分屯地に派遣隊が駐在しています。
また、ヘリによる映像写真伝送部隊もあるため、ヘリによる被災地の状況を確認することができます。
北部方面隊では東北地方太平洋沖地震の被災状況を首相官邸や災害対策本部に映像と写真を電送するという活動を行った実績があります。
(なお、有事の際はあまり活躍は期待できません。)
第2師団の役割
当時、冷戦下での第2師団の役割は音威子府でソ連軍を”遅滞戦術を使い、じりじり後退しつつ、第7師団やアメリカ軍と合流する”というものでした。
そのため”捨て石の部隊”や”おとり部隊”と言われるくらい北部方面の最前線の防衛部隊です。
そのため、当時からレンジャー隊員や最新鋭装備が集中的に配備されていたといわれています。
そういった理由で、榴弾砲は多くても戦車や対空火器が少ないのは上陸してきたソ連軍を効率よく足止めするには射程が長く高火力の榴弾砲が効果的であり、MLRSも同じで使用弾薬は不明ですが、高火力を発揮し、最前線で足止め、抜けてきた戦車や装甲車、歩兵部隊はこちらも戦車や対戦車部隊、歩兵部隊で対処し、可能であれば榴弾砲やMLRSで吹き飛ばすことで、最前線部隊が安全に後退しつつ、援軍と合流することができます。
また、高射特科部隊が短、近、機関砲なのは後述する師団や旅団が関係していると思います。
短距離地対空誘導弾である81式短SAMは航空機を対処すると考えられ、理由としてはHAWK中距離SAMを掻い潜ってきたら次は短SAMの出番であるためです。
といっても81短SAMは随伴することはできないので(某Gaijinのゲームみたいにはできない)どこかしらに展開し、ADCCSからの情報を得て目標を攻撃すると考えられます。
93式はほぼMANPADSと変わりませんが、8発の弾数があるので、航空機、ヘリどちらも対処可能と考えていいでしょうし、部隊に随伴して対空防御もできます。
87式も同様で、部隊随伴の対空火器として、対ヘリや対航空機のためです。
そのため、上陸してきたとしても対処はできますが、一番良いのは上陸される前に海に沈めてしまうのが一番です。
そのためにあるのが、88式地対艦ミサイルがあり、これで敵の揚陸艦ごと地上部隊を海に沈めてしまおうということです。
これが冷戦時代の第二師団の役割です。
しかしながら、現在ではロシア軍の北海道侵攻の可能性が低くなってきており(ウクライナ侵攻の件もあるため)現在では機動師団に改編し、これまでの任務とは違い、北海道の防衛の最前線から全国に展開できるように、16式の配備などを進めつつ、部隊の廃止を進めていますが、今もなお、ロシアによる侵攻に備えているのがこの第二師団です。
以上が第二師団の紹介になります。
抜けているところもあると思いますが、なにとぞ….