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VRChatで英語が話せるようになる? 現実は甘くなかった話②
前回の記事はこちら
期待と現実のギャップ
VRChatで英語を学び始めたものの、「英語の環境にいれば自然と話せるようになる」というのは幻想だった。 最初はゲームを通じて少しずつ会話に慣れたが、日常会話では政治・ニュース・将来の話など幅広いトピックが求められ、まったく歯が立たなかった。 そこで、「ちゃんと勉強しないとダメだ」と気づき、具体的な学習を始めることにした——今回は、その試行錯誤の話。
まず取り組んだのは語彙力の強化
VRChatでの会話に苦戦した経験から、「まずは語彙力をつければ、もう少しスムーズに話せるようになるのでは?」と考えた。そこで、Amazonでベストセラーだった 『TOEIC L & R TEST 出る単特急 金のフレーズ』 を手に取った。
選んだ理由は単純で、「多くの人が使っていて、レビューも良かったから」
細かい内容は気にせず、「とりあえずやってみよう」と軽い気持ちで取り組み始めた。
「とにかく単語を覚えれば話せるようになる!」 そう信じていた——この時点では。
金のフレーズはコンパクトで読みやすく、何周も繰り返した。暇な時間はラジオ感覚で付属の音声を聞き流し、だいたい 7〜8 割の単語は覚えたと思う。
しかし、次第に飽きてきた。「せっかくだし、ほかの単語帳も試してみるか」と考え、次に選んだのが 『Duo 3.0』 だった。
Duo 3.0 は例文が面白く、読み物としても楽しい。こちらも金フレと同じく音声ファイルを活用し、何度も繰り返し読んだ。金のフレーズと重複する単語も多かったので、スムーズに進めることができた。
この時点で、基礎的な英単語はある程度身に付いた。
TOEICのスコアは上がったが…
英単語を終えた後は、文法にも取り組むことにした。『1駅1題 新TOEIC(R) TEST 文法特急』 と 『新TOEIC(R) TEST 文法特急2 急所アタック編』 を使い、文法の基礎を固めようとした。
このとき、私は「文法特急」で文法を勉強できているつもりだった。しかし、それは体系的に基礎を学んでいたわけではなく、あくまでTOEICの出題パターンに対応するためのものだった。そのため、実際の英会話で文を組み立てる力は養われていなかった。この時点ではまだそのことに気が付いていない。
その後、試しに TOEIC テストを受けてみたところ、点数は 825点 だった。学生時代に TOEIC を受けたときは 290点 だったので、思いのほか高得点で驚いた。800 点以上は英語上級者に該当し、ビジネスシーンで高度な英語運用が可能と巷ではいわれているため、大きな自信がついた。
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最新のTOEICは難化しているらしい
しかし……。
語彙力と文法を強化し、TOEIC のスコアも上がったのに、VRChat での英会話は相変わらずうまくいかなかった。
「こんなに単語を覚えて、文法もやったのに、なぜ話せないんだ?」
TOEIC高得点でも話せない現実
そのとき、はっきりと理解した。
「TOEICで高得点を取れても、実際の英会話では話せないし、聞き取れない。」
もちろん、これまでの勉強が無駄だったわけではない。語彙力も文法知識もついたし、リーディングスピードも上がった。
だけど、VRChatで英語ネイティブと会話すると、それまでの知識がまったく通用しないことに気づいた。
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使用する単語やフレーズが違う(TOEICではフォーマルな表現が多いが、日常会話ではスラングやカジュアルな表現が頻繁に出てくる)
話すスピードが違う(TOEICのリスニングよりも、ネイティブの会話は速くて崩れている)
話題の幅が違う(TOEICではビジネスの話が多いが、VRChatでは趣味やジョーク、文化の違いなど多岐にわたる)
「じゃあ、どうすれば話せるようになるんだ?」
この疑問を抱えながら、次に取り組んだのが 「より実践的な語彙力の強化」 だった。
Distinctionシリーズとの出会い
次に取り組んだ単語帳は 『Distinction』シリーズ だった。この単語帳は、今までのものとは少し違う。
例文がかなり実践的で、使われる語彙も 日常的なイディオム・スラング・句動詞が豊富 だった。
「これは実際の会話で使えそうだ!」 と思い、学んだ表現をVRChatで積極的に試してみた。
すると、ネイティブの反応が変わった。
「どうしてそのフレーズを知ってるの?」
「いい表現だね!」
こう言われることが増えた。
これは自分の英語学習のモチベーションを大きく上げてくれた。
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フレンドのおかげでモチベーションを維持することができた
英語漬けのはずが…まるで成長していない?
暇さえあれば英語を聞き、読んでいた。単語の音声を流し、BBC Learning Englishのラジオを聴き、NetflixやYouTubeは英語字幕で視聴。洋書にも挑戦し、とにかく英語に囲まれる日々を過ごした。内容は理解できなくても、続ければ耳が慣れて自然に話せるようになる——そう信じていた。ネイティブの子供たちが英語を勉強せずに話せるようになるように、自分も“英語漬け”で話せるようになるはずだと思っていた。いわゆる『ながら勉強』という言葉は魅力的だった。
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「Native Camp」 という英会話サービスにも加入していたが、VRChat で気軽にネイティブ英語話者と無料で話せること、さらに予約システムが面倒だったことから、すぐに解約してしまった。
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ある日、ふと思い立って自分の会話を録音してみた。
どれだけ自分の英語が成長しているのか期待しつつ、過去に録音した会話と、今録音した会話を聴き比べてみると…
「まるで成長していない……?」
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聞こえないときは愛想笑いでごまかしている
話し方もぎこちない
自分の意見が言えていない
「こんなに英語に浸っていたのに、なぜ……?」
「英語の環境にいれば自然と話せるようになる」というのは幻想
『自然と話せる』は幻想。わかっているつもりだった。なのに、また信じていた。
「英語学習」とは?
英語ができる人は、必ず取り組んでいるものがある。でも、自分はずっと避けてきた。
正直めんどうくさい。時間がかかるし、すぐに効果が出るわけでもない。
もっと楽な方法があるんじゃないか。
そんな魔法のような学習法を探して、つい目をそらしてしまう。
でも、結局たどり着いたのはこれだった。
「発音」
「文法」
この二つは絶対に避けては通れない「英語学習の基礎」 なのだと、ようやく、それを受け入れるしかないと感じ始めていた。
次回の記事では、そんな過去の過ちを振り返りつつ、英語学習において最も大事だと実感した基礎について 書いていく。また、「話す力をつけるために何をしたのか?」 そして 「どの瞬間に成長を実感できたのか?」 について、詳しく紹介していく。