ガンタンクのような現実の計画機その1
こんにちわ。
第3回(と補足)、第4回にてガンタンクの出力、動力について論考しましたが、今回もその系譜としてガンタンク的な動力の戦車、即ち核動力戦車(原子力戦車)について取り上げます。その1としているのは違う視点でガンタンク的な兵器をその内取り上げるつもりだからです。
■これまでのガンタンクに関する記事
ガンタンクの出力設定はどれが一番現実的なのか|ゼノタ (note.com)
(補足)ガンタンクⅡのスペック|ゼノタ (note.com)
ガンタンクの動力について論考する|ゼノタ (note.com)
核動力戦車というと開発計画があったのは間違いありませんが、何せ配備までに至った国はないのでその情報は極少です。参考にした書籍は以下ですが、例によって十分な情報は書かれておらず、ネット検索でも殆ど見つからないのが実情です。YouTubeなどで取り上げられることもあるのですが。
「ざんねんな兵器図鑑」世界兵器史研究会 [生活・実用書] - KADOKAWA
イラストも同書が出典です。面白いのでお勧めです。
さて、このTV-1のずんぐりむっくりした外観から想像できるように、本車両は車両部前方に核分裂炉を搭載し、核分裂によって発生する熱エネルギーによって外燃式ガスタービン・エンジンを駆動するという仕組みのようです。ガンダム用語っぽく言えば「熱核ガスタービン・エンジン」駆動ということになります。核融合か核分裂化とか、電気駆動もするのかなどの違いがありますが、前回私が想定したガンタンクの動力と殆ど同じです。
そこまでの解説が見当たらないのですが、常識的に考えて開放サイクル(外気を吸い込み、排気する方式)でしょう。一方、核分裂炉(リアクター)で発生する熱を作動流体である空気に伝達する方式としては、炉心に直接空気を送り入れる「直接サイクル」なのか炉心には通さず、間接的に外気を熱する「間接サイクル」なのかの解説は見当たりません。飛行機と違い、戦車であれば核動力化によって十分な航続距離を確保できるため、「間接サイクル」でも良さそうですが、本体が重くなり過ぎて走行に支障をきたす恐れもあり、構造の複雑化も招くことから「直接サイクル」を想定していた可能性もあります。(詳しい方がいれば是非教えて欲しい!)
そもそも搭乗員を放射能から十分に保護できるようになるのかすら怪しむ解説が多いことから、「直接サイクル」で放射能をまき散らしながら走る前提ということなのかもしれません。
一番恐ろしいのは、撃破されて原子炉が損傷したら最悪ケースではメルトダウンを起こすということです。よく宇宙世紀ガンダムにおいてもMSは核爆発を起こすのか否かが議論になりますが、核分裂炉でも基本的に核爆発にはならないのですが、放射能をまき散らすのは間違いありません。
現在の設定ではガンタンクの動力は核分裂炉では無いことになっていますが、メルトダウンのリスクを排除できないことを加味してなのかもしれません。勿論、コアファイターに熱核反応炉を搭載しているのに、車両部は核分裂炉を搭載しているというのはロジカルな説明がつかないということかもしれませんが。
HGUC 1/144 RX-75 ガンタンク - バンダイプラモデルWEB取説 | バンダイ ホビーサイト (bandai-hobby.net)
MG 1/100 RX-75ガンタンク - バンダイプラモデルWEB取説 | バンダイ ホビーサイト (bandai-hobby.net)
今回の記事は基本的に以上ですが、前回の動力の話でもう一段階突っ込んだ疑問について書いておきます。素直に告白するなら以下に記す部分本当に分からない部分です。
『機動戦士ガンダム』のMSやMA、宇宙艦艇はほぼ、熱核反応炉で動くことになっていますが、D-3He反応(Dは重水素、3Heはヘリウム3)を用いることになっています。ヘリウム3はわざわざ木星まで取りに行っていることになっており、木星帰りの男、「パプテマス・シロッコ」を初め、宇宙世紀ガンダムで度々、木星の話が出てくるのはそのためです。
それで何が難しいのかというと、前回記載した通りD-3He反応はその特性から中性子は発生しないことを記しました。実際には同時にD-D反応も発生するので中性子は発生するのですが、発生した(現代物理学における)中性子の運動エネルギーは、「ブランケット」と呼ばれる装置(壁)にて熱エネルギーとして回収されます。しかしながらD-3He反応で発生する荷電粒子は電磁的に封じ込められているのでブランケットにはぶつかりません。これは磁場封じ込め方式を前提としていますが、ミノフスキー・イヨネスコ型熱核反応炉においては恐らく磁場の代わりにIフィールドを用いているということになるので、基本的には核融合で発生したプラズマは磁場封じ込め方式と同じ挙動をすると仮定します。繰り返しとなりますが、中性子は電荷を帯びていないので封じ込めることが出来ないのですが、結果的にその運動エネルギーを熱エネルギーとして回収できるので熱エネルギーを利用して発電なり熱推進なりに活用できるわけです。
となると、一つ浮かび上がるのは、そもそもD-3He反応は核熱エンジンには向かないのではないかという疑問です。(一方でMHD発電を含む直接発電に向いているのは確かです。電気だけに着目するのであればですが。)
中性子はついでに発生するだけで、その熱エネルギーを利用するだけならわざわざ木星までヘリウム3を取りに行く意味が無いのではと。レーザー核融合だと話がかわってくるのでしょうか?
‥投げっぱなしの終わり方ですが今回の記事は以上となります。