占い師の裏工作
直子の死の真相を探っていたみりんは、仲介屋が姉の死に関係しているという情報を掴んだ。
「みりんさんは、占い師としての立場を利用して、鎌をかけたんです」
「鎌?」
「直子さんを殺すように指示したのは仲介屋さんだということを自白させるように誘導しました」
「そんなことができるのか」
「相手を信じ込ませれば、不可能ではないでしょう」
みりんは仲介屋と接触するまでに、仲介屋の周りの人間を占った。
その占いは悉く当たった。
いや、厳密に言えばーーーーー
「当たるように裏工作をしたのです」
「あいつの占い、インチキだったのか?」
「そういう言い方も当てはまるかもしれませんね」
「それで仲介屋の野郎に近づいたってわけか」
「ええ、よく当たる占い師だと信じ込ませれば、あとは思い通りですから」
「これじゃあ、どっちが犯罪者かわからんな」
仲介屋の情報を事前に掴んでいたため、占いを当てるのは容易だった。
仲介屋の仕事ぶりを褒めるような占いをしながら、言葉を引き出していった。
彼は過去に行った悪事を雄弁に語った。
自分がいかに頭が回るか、それで誰を騙したか、どんな人間の人生を台無しにしたかをつらつらと喋ってくれた。
みりんはハラワタが煮え繰り返るのを抑えて、あくまでにこやかに、心地よい相槌を心掛けた。
そしてついに、直子を殺した時の話を語り出した。
「『その場で首を絞めてやろうと思った』って言ってました」
「あの女ならやりかねないな」
「周りには数人の部下が囲んでますから、そんな状況で首を絞めようものならすぐに取り押さえられますから、悔しい気持ちを堪えながら、じっと直子さんの死の真相を聞いたそうです」
「俺ならその場で全員あの世に送れただろうがな」
「僕のところに依頼に来たのはその後のことです」
「ようやく、便利屋様の登場ってわけだな。そうすると、仲介屋への復讐を依頼したんだな」
「ええ。基本的に復讐だなんて物騒なこと、承りませんので、お断りしました。でも、そのあと気になったので個人的に仲介屋さんのことを調査していました。それであなたを見つけたんです」
殺し屋Kの写真を撮影し、みりんに渡したところ、見覚えがあるという。
直子の死の直前、紹介したいと言ってみせられた男の写真にそっくりだということだった。
直子を殺したのは殺し屋Kなのかもしれない。
その真相を確かめるために、殺し屋Kに近づいた。
「仲介屋さんとの繋がりを探ってたんですか、びっくりすることにあなたは仲介屋さんのアジトに捕まってしまいました」
「どこでそんな情報を手に入れるんだよ」
「組織に内通者を潜り込ませておきました。あなたを監視して、情報を得るために」
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