人のものが欲しくなっちゃう女③
「話したいことがあるんだけど…、時間取れないかな?優子には内緒で。」
甘い蜜はまんまと彼を手繰り寄せた。
「俺で良ければ聞くよ。どうしたの?」
彼から返信があり、マミちゃんと彼は2人で会うことになった。
マミちゃんは優子ちゃんから事の顛末を聞いたと伝えた上で、決して彼を責めずに彼に寄り添った。
「彼女が精神的に不安定な人だったなんて、相当辛かったよね、私も似た経験があるからよくわかるんだ。しかも異国の地で他言語ネイティブの彼女でしょ?私の想像を越えてるよ。すごく努力してきたんじゃないかなって。それで優子を心の拠り所にしたんだよね?
今、優子を傷つけちゃってすごく苦しい思いしてるんじゃないかなって気になっちゃって…
優子はもちろん大事な親友だし、傷ついてる姿を見るのは私も心臓がぎゅってなる。もちろん、親友を傷つけられて私もすごく怒ってる。
でも、、、同時にあなたのことが心配なのも事実なの。
精神的に不安定な人と一緒にいた辛さって、同じ経験した人じゃないとなかなか理解してもらいにくいから…。
正直、こんなこと思ってるなんて、裏切ってるみたいで優子には言えなくて…。もちろん連絡を取ったことも、今日会っていることも優子には言ってない。
私たちの友情には影響が出ないように考えて動いてるから、そこは安心してほしいんだ。」
辛さがわかるから寄り添いたい、心配している、でも怒っているという自分の気持ちもきちんと伝え、そのうえで2人の狭間で揺れ動いているという気持ちも伝える。だから優子ちゃんには内緒…。
一見正直さにあふれるマミちゃんの言動は彼を信じさせるには十分だった。
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