サイクロンと言われたらジョーカーって言う。

昔からコミュニケーションが苦手でした。
「いーれーて」と言うことができませんでした。
仲良くなっても自分から距離をとるような人間でした。
高校デビューしようと高校1年生の時に運動部に入ってみましたが挫折しました。(何かの折に書きます)

そんなコミュ障が経験した思い出。

高校の修学旅行の話です。
一応進学校なので、2年生のころに行きました。(3年生は勉強に専念)
たいして友達はいなかったから、声をかけてくれたグループに入れてもらえました。それだって、たしか5人1グループの決まりだから、4人集まってたところの最後の1人として入れてもらった気もします。

日中のグループ行動はそれなりに過ごしました。
喧嘩するわけでもなく、それなりに雑談して。ただクラスメイトの仲として。

それで良いと思いました。
今後も誰ともそこまで仲良くならずに、ATフィールドを広げながら生きていくことを、疑いもしていなかったです。

夜になり、それぞれ割り当てられた部屋に行きます。
寝る部屋は出席番号順で決まったから、日中のグループではなく、別の人たちでした。

同じ部屋の山口が別部屋の友人たちの部屋に遊びに行くというので私も行くことにしました。
山口とも山口の友人たちとも特別仲が良かったわけではありませんが、行ってみようと思ったのです。

中学校の修学旅行の際、クラスメイトの多くが夜更かしして騒ぎ、先生に見つかり正座させられていた時に私はぐーすか寝ていて、後からそれを知り、それをわざわざ中学校の思い出として授業で絵に描いた思い出がよぎりました。
要は、そういう青春っぽいことをしてみたかったのです。
友達がほしかったのです。

別部屋には山口の友達たちがいて皆でトランプをやることになりました。
ジジぬきだったはずです。
私がJOKERが手元に2枚そろったので、中央に出しました。
その時、奇をてらってこう言ったのです。
「ジョオカアア!」
仮面ライダーWの変身音です。

仮面ライダーW(ダブル) 第01話[公式] (youtube.com)

何いってんの?とだいたいの人たちはなりました。
1人だけ分かり「仮面ライダーの真似でしょ?」となりました。
そこでなぜか、1人だけとても食いついてきたのです。名前を松村とします。

松村「え?何仮面ライダーって」
私「今の仮面ライダーでこうやって変身する」
松村「えちょっと真似してみてよ」
私「え」
松村「いややれって」
え、じゃあ・・・。
無茶ぶりでしたが、オタクな私は悪い気がしませんでした。
深夜12時ごろのホテルの部屋です。
本当は2人で1人の仮面ライダーだけど、1人で変身します。

私「行くぜ・・・フィリップ」
私「ああ翔太郎」
私「サイクロン! ドゥーン」
私「ジョオカアア! ドゥーン」
私「サイクロン!ジョオカアア!」
私「ドゥルルルル!ドゥルルルル!デッデッデン!!ヒュウゥゥゥ…」(音まで言った)
私「さあ・・・お前の罪を数えろ!!」(なるべく2人で話しているように声色を変える)

「え!何これ!何やってんの!!笑 めっちゃ面白いんだけど!!もう1回やって!」

「え、だから・・・・」
もう1回やりました。

私「行くぜ・・・フィリップ」
私「ああ翔太郎」
私「サイクロン! ドゥーン」
私「ジョオカアア! ドゥーン」
私「サイクロン!ジョオカアア!」
私「ドゥルルルル!ドゥルルルル!デッデッデン!!ヒュウゥゥゥ…」(音まで言った)
私「さあ・・・お前の罪を数えろ!!」

松村、大爆笑。
見ていた他の人たちは呆気にとられています。

松村「敵を倒す時はどうすんの?」
私「敵?敵は・・・」
私「ジョオカアア!マキシマムドライブ!はーーー!!ジョーカーエクストリーム!!」
松村「なんだジョーカーエクストリームって!!笑笑」

私「いろいろ姿を変えることができて」
私「ヒート!メタル!」
私「ルナ!トリガー!」
私「で、強くなった時の必殺技は・・・」
この時点で私は良い気になっていました。
自分が好きなものを注目してくれるのが嬉しかったです。
松村が注目したのを待って始めます。

私「エクストリーム!!」
私「プリズムビッカー!
サイクロン!マキシマムドライブ!
ヒート!マキシマムドライブ!
ルナ!!マキシマムドライブ!
ジョオカアア!マキシマムドライブ!!!
はーーーーーーー!!!!」

松村は携帯電話をとってきました。昔なのでガラケーでしたが。
松村「録画するからもう一回変身からやれって」
私「え」
松村「いいからやれって」
私「えー・・・では、やります」
芸人のようにやりました。

私「行くぜ・・・フィリップ」
私「ああ翔太郎」
私「サイクロン! ドゥーン」
私「ジョオカアア! ドゥーン」
私「サイクロン!ジョオカアア!」
私「ドゥルルルル!ドゥルルルル!デッデッデン!!ヒュウゥゥゥ…」
私「エクストリーム!!」
私「プリズムビッカー!サイクロン!マキシマムドライブ!ヒート!マキシマムドライブ!ルナ!!マキシマムドライブ!ジョオカアア!マキシマムドライブ!!!はーーーーーーー!!!!」

松村、2度目の大爆笑。
何がそんなに面白かったのかわかりませんが・・・。一応進学校の高校生が、夜中に仮面ライダーの真似を狂ったように繰り返すなか夜は更けていきました。

宵ごししてもなぜか変身をふられます。

松村「おい!いくぞ!サイクロン!」

私「ジョオカアア!サイクロン!ジョオカアア!さあ・・・お前の罪を数えろ!!」
これでワンセットです。

部屋を出てもそのやり取りは続きました。
いや、修学旅行から帰ってきても、学校でもやり取りをしました。

廊下で急に松村が叫びます。
松村「サイクロン!」
私「ジョオカアア!サイクロン!ジョオカアア!さあ・・・お前の罪を数えろ!!」

帰り際でも、朝っぱらでも松村は叫んできます。
松村「サイクロン!」
私「メタル!サイクロン!メタル!」
たまには亜種もやりました。

こういった謎のやり取りを、毎日やりました。本当に毎日。

松村「なんか飽きたな。他にないの?」
私「えー・・・じゃあビギンズナイトやります。
おやっさあああああん!!!!うおおおお!!ファング!ジョオカアア!うあああああ!!!」
これも松村にはなぜかうけていました。
松村「おやっさんは変身しないの??」
私「するする。
変身。スカル!ドゥンドゥン、キュルルルル…。
さあ、お前の罪を・・・数えろ・・・」

松村「2号ライダーとかいないの?」
私「いるいる。やるわ」
私「変・・・・身!!!!アクセル!!ブーン!!!俺に質問するな!!!」

松村「敵は?」
私「変身!エターナル!さあ・・・地獄を楽しみな!」

最終的には名前も顔も知らない人さえ変身をふってきました。
特に野球部の人たちは悪ノリが好きだったから、ふってくるのが多かったです。
名前も知らない坊主の人「サイクロン!」
私「ジョオカアア!サイクロン!ジョオカアア!さあ・・・お前の罪を数えろ!!」

仮面ライダー好きの後輩が話しかけてくれて、その後輩とは卒業後も毎年一緒に仮面ライダーの映画を見に行っていました。

女子が「サイクロン!」と変身をふってくれたこともありました。

文化祭の時には学年を超えて、学校全体の前で変身をしました。
「おい!エイジ!メダルだ!!」
「わかった!!クール!ビューティー!和!ク!ビ!ワ!クビワクビワ!!」(翌年の仮面ライダーOOOタトバコンボの真似。その時の文化祭のテーマとなぞらえていた)

松村は、最後の方には飽きてきたのか反応も雑になっていたけれど。
私「サイクロン!ジョオカアア!」
松村「なんか最近キレがないな。修学旅行の時の動画見返してるけど、あの時はもっとキレがあったぞ」
いや見返さないで。

松村たちとは今ではほとんど会っていないけど、たまにコミュニティに飛び込める時、あの経験があったからだよなあと思うことがあります。

松村ありがとう。

そして仮面ライダーW15周年、おめでとう。



https://x.com/yukikimisawa/status/1832010108353773746


https://x.com/KR_avex/status/1831891491603783828


数年後、監督とお話できた経験はこちら。

ただのペンじゃなくてプリズムビッカー|アシカ (note.com)

終わり。



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