事実婚夫婦相続権ゼロ違憲訴訟の判決 延期 2月21日(金)13:10

中野亜里と川根眞也は30年にわたる事実婚夫婦でした。2021年1月9日、中野亜里は大東文化大学国際関係学部教授の現職のまま、すい臓がんで亡くなりました。享年60歳でした。
ところが、中野亜里の実の妹、中野○○は「中野亜里の遺産はすべて、私のものである」と、川根眞也が中野亜里の預金から引き出したすべてのお金の返金を求めて裁判を起こしました。

 2年半続いた裁判の、1月31日(金)13:10が判決予定日でした。
 一昨日、神戸地方裁判所から連絡があり、裁判所の都合で判決期日の延期が申し入れられました。本日、協議の上、2月21日(金)13:10、神戸地裁215法廷での判決申し渡しと、延期が決まりました。

 これは、昨年10月の衆議院選挙で、自民党、公明党の議席が過半数を割り、少数与党体制になっている中、選択的夫婦別姓制度の法制化が今国会で議論になっていることと関係がある、と思います。

 先週金曜日1月24日に通常国会が始まりました。野党第一党の立憲民主党の野田佳彦代表は、今国会の重要課題として、①「裏金問題」を中心とする政治改革、②選択的夫婦別姓制度の導入、を掲げています。

 1月26日(日)放送のインターネット番組「ReHacQ(リハック)」で、石破茂首相は「総裁になる前は(選択的)夫婦別姓にすべきだと思っていた」と思いを吐露しました。党内に反対意見が根強いことから、反対派が主張する旧姓の通称使用を法的に担保する方法について、「各種世論調査で同姓維持や別姓容認より旧姓の通称使用拡大の支持が多い」と指摘、「どちらの考え方にも偏れないなら、折衷案もあり得べしかと思う」と述べています。

-【石破総理が緊急出演】楽しい日本とは?103万の壁は?SNS規制は?夫婦別姓は?総理が本音激白【ReHacQ高橋弘樹】
https://youtu.be/k2jbKFIP--s?si=xPX8XmTqtNcAq4kl
48分から53分の5分間、石破首相が「選択的夫婦別姓制度」について語っています。2025年1月26日。

 これに対し、1/27(月)の衆院本会議で、立憲民主党の野田佳彦代表は「たまには言ったことの実現に、一歩踏み出してはどうか」と皮肉りました。

 1/27(月)の衆院本会議で、立憲民主党の亀井亜紀子議員は「『夫婦同姓』を義務化している国は日本しかない。賛成の方向で早くまとめてほしい」と首相に迫りました。

 これに対し、首相は「子どもの氏(姓)をどう定めるのかなど、様々な考えがある。家族の形態、国民意識の変化、家族の一体感、子どもへの影響など様々な点を考慮して国民の理解が形成されることが重要」と答弁するにとどめました。

 答弁では石破首相は選択的夫婦別姓制度の導入について「国民の関心が極めて高く、いつまでも結論を先延ばししていい問題とは考えていない」と述べ、早期の結論に努める姿勢を示しました。また「家族の一体感や子どもへの影響」も論点だと指摘しました。

 一方、公明党は昨日、1/28(火)、選択的夫婦別姓の導入に向けたプロジェクトチーム(PT)の第1回会合を国会内で開きました。斉藤鉄夫代表は「公明党の案を細部まで詰めてから、自民党と与党の合意形成を図りたい」と述べ、制度導入に向けて賛否が割れる自民をけん制しました。「基本的に法制審の答申に従って早く法制化すべきだ」(斉藤代表)との立場で、子どもの姓の決め方など答申と過去の公明案で差異がある点を中心に検討を進める、とのこと。PT座長を務める矢倉克夫参院議員は「できるだけ早く公明の考えをまとめなければいけない」と語っています。

−每日新聞 2025年1月28日 17:53 配信「公明、選択的夫婦別姓導入に向けPT初開催 斉藤代表、自民けん制」

 自民党が、旧姓の通称使用拡大で逃げようとしているのに対して、連立与党の公明党が選択的夫婦別姓制度の法制化に前のめり。野党第一党の立憲民主も前のめり、という政治状況が始まったばかりだから、裁判官も判決文が書けないのでしょう。

 この後、2週間くらいの国会、政治情勢を見て、裁判官も判決文を書きたいのではないか、と推測します。

 しかし、まだまだ、国会で選択的夫婦別姓制度問題が、どちらの側に転ぶか、分かりません。女性が自分の人生を自分らしく生きるために、今国会の状況を改めて注視したいと思います。

 私たち、中野亜里と川根眞也は1991年1月27日に結婚パーティーを開くときに、お互いが自身の姓を保ったままの事実婚を選択しました。中野亜里は現代ベトナムの政治と外交の研究者でした。結婚の時には中野亜里はすでに4冊の本を著していて、また、論文も数本書いていました。もし、「中野亜里」が「川根亜里」になれば、その学術研究の業績としては、「Ari Nakano」と「Ari Kawane」は別人ですから、それまでの研究業績は別人のものとなります。つまり、それまでの研究業績はゼロとなるのです。中野亜里は1985年ピースボートで初めてベトナムに入ったのですが、それ以降3年と空けず、ベトナムの現地を視察し、共産党幹部、ジャーナリスト、文学者、大学研究者などに取材をしています。ホテルを予約するときに誤って「Ari Nakano」で予約した場合、パスポートの名前が「Ari Kawane」であれば、ホテル側から「あなたの予約はない」と宿泊を拒否されます。世界広しといえども、夫婦同姓を強制しているのは日本だけです。「通称制度」などベトナムでは通用しません。

 選択的夫婦別姓制度を主張している株式会社サイボウズの代表取締役の青野慶久さんは、結婚時にパートナーの方の姓「西端」に変えています。そのために、海外出張の時はトラブルを避けるために、「Yoshihisa Nishibata」の戸籍通りのパスポートと一緒に、結婚前の「Yoshihisa Aono」のパスポートを持参しています。また、会社と会社との契約時には戸籍通りの印鑑が必要なため、「青野」の印とともに「西端」の印を持ち歩いています。

 自民党の言う「旧制を通称として利用できる法整備の拡大」など、学問の世界やパスポート、会社と会社との契約にはまったく無効です。石破首相の「各種世論調査で同姓維持や別姓容認より旧姓の通称使用拡大の支持が多い」は、恣意的なアンケート項目により誘導された世論調査によるものです。選択的夫婦別姓制度は、「夫婦同姓」を望むカップルには「夫婦同姓」を、「夫婦別姓」を望むカップルには「夫婦別姓」を戸籍として認めるものであり、現状の「夫婦同姓」のカップルを否定したり、壊したりするものではありません。また、戸籍制度に夫婦それぞれの別の姓を記載できるようにするだけであり、戸籍制度を破壊するものでもありません。

 以下のFNNのアンケートには、恣意的に「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用を拡大する」という選択肢を作り、それが一番多かったという世論調査になっています。上記の「選択的夫婦別姓制度」についての説明はありません。石破茂首相はこの世論調査を利用して、「旧制の通称利用拡大」でお茶を濁そうとしています。

-「選択的夫婦別姓制度で「“同姓”維持 “通称”使用拡大」45%・「賛成」38%・「反対」15%…男女別・支持政党別にクロス分析【FNN1月世論調査】」
2025年1月20日

 一方で、婚姻にともなう姓の変更に不便や不利益を感じている女性が多数いる、という事実が見過ごされています。内閣府が行った「家族の法制に関する世論調査(令和3年12月調査)」では、婚姻した場合の名字・姓に対する考え方を国民に聞いています。そこでは以下のように聞いています。「婚姻によって、夫婦のどちらかが必ず名字・姓を変えなければならないことになっています。このことにより、名字・姓を変えた人に何らかの不便・不利益があると思うか」と聞いたところ、「何らかの不便・不利益があると思う」と答えた者の割合が52.1%、「何らの不便・不利益もないと思う」と答えた者の割合が47.5%となっています。さらに、「何らかの不便・不利益があると思う」と答えた者(1,503人)に、「何らかの不便・不利益があると思うとの意見で、不便・不利益になると思うものは何ですか。」と聞いたところ、「名字・姓を変更した側のみに名義変更の負担があるなど、日常生活上の不便・不利益がある」を挙げた者の割合が83.1%と最も高く、以下、「仕事の実績が引き継がれないなど、職業生活上の不便・不利益がある」(34.5%)、「実家の名字・姓を残せなくなることなどから、婚姻の妨げになる」(27.9%)、「自己喪失感が生じたり、プライバシーが公になったりすることにより心理的負担が生ずる」(13.5%)の順となっています。(複数回答)

―3ページ目-家族の法制に関する世論調査(令和3年12月調査) 内閣府 世論調査
https://survey.gov-online.go.jp/r03/r03-kazoku/2-2.html

厚生労働省が取りまとめた「人口動態統計」によれば、婚姻の際に夫の姓を選択した割合は以下のとおりです。
  令和 元年 約95.5%
  平成27年 約96.0%
  平成22年 約96.3%
  平成17年 約96.3%
  平成12年 約97.0%
  平成 7年 約97.4%
-法務省 選択的夫婦別氏制度(いわゆる選択的夫婦別姓制度)について
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji36.html

 すなわち、上記のような姓が変わることの不利益を95%の女性に押し付けているのが、現在の夫婦同姓制度です。FNNの世論調査は、こうした夫婦同姓制度の弊害について一切触れない、犯罪的な世論誘導であると思います。そして、石破茂首相はそれを利用した方便で現状を逃げ切ろうとしています。

 中野亜里はすい臓がんで2021年1月9日に享年60歳で急逝しました。父、母はすでになく、私たちには子どもがありませんでした。唯一の肉親は亜里の妹の中野〇〇でした。

 中野〇〇は葬儀(札幌でZoomで開催された)に出席せず、メッセージを送っただけでした。その1月半ばには弁護士を選定し、1月21日に川根に電話をかけてきたときには「あなたは事実婚だから、中野亜里の遺産はすべて私が相続する」「印鑑と通帳をすべて私に送れ」でした。弁護士と打ち合わせ済みで、中野亜里の遺産のすべてを自身の手中に収めるべく、電話をかけてきたのだと思います。中野〇〇は、未だに中野亜里のお墓参りもしていません。

 中野〇〇は2021年8月に私たちの住んでいた埼玉県川口市のマンションの半分は、自分のものであると神戸地裁に訴えて、マンションが売却できないように仮押さえをしました(2021年8月17日決定)。

 中野〇〇は2022年3月17日に、川根が中野亜里の預金から引き出した1750万円の全額の返金を求めて、川根を訴える裁判を起こしました。
川根が引き出したお金は、中野亜里の葬儀費用、大東文化大学の中野亜里研究室からの蔵書、研究資料の運搬、ベトナム語文献の目録づくり、中野亜里追悼集の出版予定費用等に費やしています。今後も、「中野亜里文庫」を設立する費用にあてたい、と考えています。今でも、中野亜里研究室の蔵書と研究資料は、埼玉県川口市のマンションに保管してあります。

 ちなみに、中野〇〇は、大東文化大学側から、中野亜里の蔵書と研究資料について聞かれた時に、「処分して構わない」と答えています。
 中野亜里が書いた遺言書はありますが、そこには印鑑はありませんでした。川根が中野亜里に医師からの余命宣告「末期がん、余命1,2ヶ月」を伝えたのは2020年12月30日でしたが、当時、河野行革担当相が印鑑廃止を訴えて取り組んでいました。その夜中から翌日12月31日にかけて中野亜里が書いた遺言書には「亜里名義試算について・キャッシュカード、クレジットカードすべて4196、〇〇と眞也で相談して自由に使ってほしい」と書いてありました。この当たり前のことを中野〇〇がまさか破るとは思っていなかったのでしょう。中野亜里は遺言書に署名はしたものの、印鑑は押しませんでした。
しかし、中野〇〇はこの遺言書には印鑑がないから無効である。また、中野亜里は、川根眞也に遺産を遺贈するつもりはなかった、遺産はすべて中野〇〇のものである、と主張しています。

 現行の家族法では、生前に別れた事実婚カップルには財産分与の権利を認めています。しかし、死別した事実婚カップルの残された配偶者には一切の相続権を認めていません。現行の民法がそうなっているからです。現行の夫婦同姓強制制度は明治31年からで、それ以前は夫婦別姓でした。夫婦同姓は日本の伝統でも何でもありません。しかし、明治時代に決められたこの家族法はさまざまな矛盾を抱えていて、現状で事実婚夫婦を生み出す要因になっています。家族法こそ、現在のカップルが幸せに生きられるように、変えるべきです。

<参考>
被告 川根眞也 準備書面(4)  2023年2月20日
https://x.gd/2EcPp

 私たちは30年間の事実婚夫婦でした。法的婚姻関係がないために、相続権ゼロということがあっていいのでしょうか。法務省法制審議会はすでに1993年に「民法の一部を改正する法律案要綱」を答申しています。1991年の結婚パーティー以降に、もし選択的夫婦別姓制度ができていれば、その時に私たちは法的にそれぞれの姓のまま結婚したことでしょう。政治の怠慢がこの訴訟を引き起こした、と言えます。

 女性が自分の姓で活躍できるためにも、選択的夫婦別姓制度が必要です。また、現在の事実婚カップルに正当な相続権が認められるべきです。

 みなさまには、改めて、裁判期日、勝利報告集会のご案内をいたします。今後の動向に、ご注目下さい。

ホームページ
故 中野亜里と川根眞也の30年にわたる事実婚夫婦 相続権ゼロ違憲訴訟
https://masakikito.com/kawane/index.html
※ 訴訟の概要と裁判資料が掲載されています。

           2025年1月29日
              川根眞也

アドレス不明

アドレスが見つからなかったか、メールを受信できないアドレスであるため、メールは 9100tkyn9142blm@ezweb.ne.jp に配信されませんでした。
リモート サーバーからの応答:

550 <9100tkyn9142blm@ezweb.ne.jp>: User unknown


---------- Forwarded message ----------
From: "川根眞也" <workofarinakano@gmail.com>
To: "川根眞也 内部被ばくを考える市民研究会" <kawane@radiationexposuresociety.com>
Cc:
Bcc: 9100tkyn9142blm@ezweb.ne.jp
Date: Wed, 29 Jan 2025 12:28:00 +0900
Subject: 事実婚夫婦相続権ゼロ違憲訴訟の判決 延期 2月21日(金)13:10
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