セレナをNTRれた悲しき男の記憶
これはずっと待ち望んでいたセレナSRを目の前で引かれた悲しき男の記憶……及び追憶の一部である。
Introdaction
時は2022年9月2日(金)
世間ではドラえもんの誕生日一日前であり、僕の中では、中学の頃の辞めてしまった教師と過去に好きだった(三回振られた)女性の誕生日の前日である。
その日は空がどんよりと曇っていたが、気持ちは晴れ晴れとしていた。理由はポケモンカードの新弾白熱のアルカナの発売日だからだ。
新弾発売日とは言えども、普段はこれほど待ち望むことはない。普段なら義務感に駆られながらパックを開けて、なんだかんだで引いた女の子のSRを満面の笑みで眺めるくらいである。
僕がこのパックの発売を特別待ち望んでいたのは、他でもなくあのセレナのSRが収録されるからだった。
セレナは特別思い入れのあるキャラクターだ。
女キャラを選んだのも厳選を始めたのも、友だちと本格的にポケモン(ゲーム)の話をしたのもこのXYからだった。
だからこそなんとしてでもセレナを手に入れたかった。
世界に何千枚?と存在するセレナの一枚を自分のものにしたかった。
……そう思って迎えたあの日、悲劇が起こった。
その1、出落ち
発売日、僕たちロトムカード研究所のメンバーは揃って某ゲームショップに白熱のアルカナを購入しに向かった。
購入制限は一人1BOX。
一見、セレナを引くのは難しそうに思えたが、よく考えればセレナが出るか出ないかのどちらかなので確率は1/2である。確率は50%。二人購入すれば引ける計算だった。
家に戻り、僕たちは各々開封を始めた。
記念すべき日1パック目。
僕がエネルギーつけかえのURを引いている姿を横目に、研究員の一人であるにしざわ(以下、間男とする)が声を上げた。
「SRだっ!」
心拍数が上がった。同時に嫌な予感もした。
僕は間男の顔を殴った。顔面がクリムガンになるくらいに殴った。気絶させたいとも思っていた。
NTRれたエ□漫画の主人公の気持ちはきっとこんな感じなのだろう。同時に、家に帰ってきたら彼女とその荷物がすべて運び出されてしまっていたあの日の記憶がフラッシュバックした。(あの子は今何をしているのだろう)
間男がルンルンで残りのパックを剥いている頃、僕は間男の引いたセレナを見てムラムラムカムカしつつパックを剥いた。奇跡が起こって2枚目のSRが入っていることを期待していた。
結局、二枚目のSRは出なかった。
エネルギーつけかえ自体は悪くない。むしろこれだけ見れば大当たりだ。喜んでいいはずなのに素直に喜べないのはきっと僕の心が弱いからだ(?)
1ボックス開け終わった頃、ポケモンセンターで当選していた1ボックスが家に届いた。
さながらクリスマスプレゼントを開ける子供の如く段ボールに鋏の刃を入れた。箱を出し、手を震わせながらパックを開けていく。
結果はクチートSRだった。
めちゃくちゃ可愛いが、セレナかどうかと問われたらセレナではない。
(目を細めて遠くから見ればセレナのようにも見えるが、やはりそれはクチートなのだ)
こんなんじゃ諦めきれない。
なんとしてでもこの手でセレナを引きたい。
そんな思いを抱えたまま、午前はポケセンのサプライ争奪戦に参加した。
その2、闘い
午後、諦めきれなかった僕はトゥイッターを頼りに白熱のアルカナを探した。
手に入れることができたのは3BOX。帰り際には、間男野郎と一緒に「これでミクリが出たら面白いよなー」なんて話をした。
正直なところ、買えていない人もいる中でこれだけ開けれているのだからその時点で感謝感謝しなければならないが、それとこれはまた別の話。
もしセレナが出なくても、その一枚一枚を大切にしてやろうという寛大な心を持って開封した。僕はポケモンカードが好きだ。
まずは1BOX目。
出たのはレシラムのSR。
炎タイプのポケモンのSRは全体的に映えますが、こいつも例外ではなくかっこいい。レシラムのイラストって左向いてるカード多いイメージある。ヒラメかな?
そして2BOX目。
ホウオウSR。
こいつは元々欲しいと思っていたカード。レリーフ加工もかっこいいし、きめ細やかな色使いがとても美しい。
1000円ぐらいの価値らしいが、もっとつけていいと思う。それぐらい美しい。
そして運命の3箱目。
これが最後の一箱。
泣いても笑っても、ひとまずはこれで終わりだ。
僕はセレナの笑顔が見たい。彼女を大切にしたい。そんな気持ちはきっと運営にも届いているはずだ。
1パック1パック大切に開封する。
10パック。
……まだ出ない。
15パック。
…………まだまだ出ない。
焦りを感じつつも 18パック目に差し掛かった……
その3、みっくみく
「「「マジで!?」」」
その縁が見えた時、僕たち3人は声を合わせてそう言った。
心臓の打つ速度が早くなっていく。手もぶるぶる震えていた。
神様はいる。日頃の行いがいいから、きっと僕の元にもセレナが訪れる。そう思いながらゆっくりとカードをずらしていった。
……え?
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああアヴィyフィgフィyフィfdぎふぃぎygすぎyげ
「みっくみっくにしてやんよ」
僕の頭にその言葉がよぎった。
泡を吹いて倒れる僕。
心肺蘇生をするため、僕の口に舌を滑り込ませる間男。
そしてそれを指を差して笑うえびふらい。
決してミクリが悪いわけじゃない。悪いのは僕とこんな能力にした運営だ。
もしSRを見なければ、そのままパックに戻してさえいれば、まだセレナの可能性はあった。(シュレディンガーのセレナ)
しかし、そこにいたのはセレナではなくミクリなのだ。
とはいえ、ミクリもセレナも同じトレーナーのSRだ。確率で言えば同じなのだから、これは実質セレナを引いたと言ってもいいのではないだろうか?
これが社会である。
この世界に平等は存在しない。誰かがセレナを引いた分だけ、違う誰かがミクリを引くことになる。物欲センサーによって見事フラグを回収させられた僕は、グッと涙を堪えながらミクリをスリーブとマグネットローダーに入れた。
少しの間ショックを感じてはいたものの、やはりトレーナーのSRはイラストが綺麗でそれぞれカッコよく、なんだかんだ言っても見ているだけでとても楽しくなる。(できれば使って上げたいけれど、流石に強い使い方が見つからないため使えないです。ごめん、ミクりん)カード一枚一枚にキャラクターの表情や背景が表れているのもポケモンカードの楽しさの一つだ。
大事にしますミクリ。出てくれてありがとう。
最後に
もしミクリが好きで不快に思われた方がいましたら申し訳ございませんでした。
背景と緑の髪がSR特有のレリーフ加工とマッチしていてとても綺麗です。