合格小論文とは何か?(高度情報処理試験編)
高度情報処理試験(論文系)は超難関
高度情報処理試験は難関試験です。特に、小論文試験は厳しい試験だと言えます。受験された皆さんも、こんな経験はありませんでしたか?
✅一体、何を書けば合格するの?。。。
✅何をどう、準備したらいいのか、、、
✅合格論文って、どんな論文なの?
✅ちゃんと書けてたはずなのに、なんで、B!!
✅文才がないから、合格できないぃ。。。。
本当に難しい試験だと思います。私は、システム監査試験を、10連敗しました。それでも諦めず、チャレンジを続け、今では、小論文の執筆指導をしています。高度情報処理試験の小論文は、答えが見えぬ試験だといえます。でも安心してください。その抑うつを佐々英流が、打ち砕きます。
今年こそ、小論文を突破したい。そんなあなたに、『合格小論文とは何か』をお伝えします。『合格小論文とは何か』を知ることは、非常に重要です。というのも、このイメージがないと、どこに向かって、小論文を書けばいいのか分からないからです。私が、システム監査試験で10連敗した原因は、まさにこれでした。私は、『合格小論文とは何か』を正しく認識できておらず、10年間、迷走を続けていたのです。
このブログを読めば、『一体、何を書けば合格するの?』といったあなたの悩みが解消します。『合格論文の姿』を明確にイメージできるのです。!!
高度情報処理技術者の対象像
高度情報処理技術者とは、どのような人物でしょうか?IPAは、試験区分毎に、その対象者像を明らかにしています。ここでは、プロジェクトマネージャーに対象者像をチェックしてみましょう。
ここから、プロジェクトマネージャーの人物像が見えてきますね。
①専門分野を持っている
②システム開発プロジェクトの責任者
③プロジェクト計画を立案できる
④要員や資源を確保する
⑤計画(予算、納期、品質)の達成に責任を持つ
⑥プロジェクトを管理、運営する
言い換えると、プロジェクトマネージャーとして、既に実務を行っており、十分な経験がある人を国が、認定するわけです。プロジェクトマネージャーとしての業務遂行能力の高さをチェックしているわけです。
このように、実際の業務で既に一定の成果を上げている人を認定するのが、高度情報処理技術者試験です。
小論文試験の有無
次に、高度情報処理試験には、小論文試験が課されるものと、そうでないものがあります。なぜ、こんな違いがあるのでしょうか?実は、この違いにこそ、『合格小論文の姿』を解くカギが潜んでいるのです。小論文の有無で分類するとこのようになります。
有:
システムアーキテクト(SA)、
プロジェクトマネージャー(PM)、
ITストラテジスト(ST)、
ITサービスマネージャー(SM)、
システム監査技術者(AU)
無:情報処理安全確保支援士(SC)、
ネットワークスペシャリスト(NW)、
データベーススペシャリスト(DB)、
エンデベッドシステムスペシャリスト(ES)
この2系統を、一般的には、論文系とじゃない方といった漠然とした分類で呼ばれています。もう少し、明確なネーミングが欲しいところです。この2種類の試験区分をよく見比べてみましょう。有の方は、『~マネージャー』という名称が目立ちますね。一方、無の方は、『~スペシャリスト』が多いです。
つまり、小論文が課されてるのは、『マネジメント系』なのです。小論文が課されない系統は、『スペシャリスト系』と言えます。
事例問題の解答例から見えてくるもの
なぜ『スペシャリスト系』には、小論文が不要なのでしょうか?この謎を解くには、『スペシャリスト系』の午後の事例問題の正解例をチェックするのが早道です。例えば、ネットワークスペシャリストの解答例です。
解答例:『MACアドレスに対応付けたIPアドレスを割り当てる』
はい、もう技術者そのものの雰囲気が漂っていますね。そうです、スペシャリスト系では、特定の技術について、正確な知識があることを要求されているのです。正解が、ひとつしかないタイプの試験だと言えるでしょう。このため、小論文のような自由記述の試験方式には、不向きなのです。従って、事例問題を、技術論で解くタイプの試験になっているわけです。つまり、受験生の技術レベルを正確に判定することを目的とした試験だといえます。
これに対し、『マネジメント系』の試験でも、午後1は、スペシャリスト系と似たような事例問題が出題されます。プロジェクトマネージャーの解答例です。
解答例:『操作性に関する要望を仕様に反映させるため』
どうですか?先ほどのネットワークスペシャリストの解答例と比較すると、実に、あいまい模糊としていますね。 つまり、事例問題では、受験生のプロジェクトマネージャーとしての実力レベルを、正確に判定することはできないのです。マネジメント系の午後の事例問題は、実は読解力を試しているのです。
もちろん、『マネジメント系』の世界にも、正解と言える考え方はあります。例えば、プロジェクトマネージャーであれば、プロジェクトマネージメントのスタンダードな考え方が、『PMBOK』という文書にまとめられています。では、これを丸暗記すれば、プロジェクトマネージャーになれるのでしょうか。答えはノーです。『PMBOK』は、あくまでスタンダードであって、実際のプロジェクトを管理していくには、プロジェクトの状況に応じて、工夫する必要があるのです。こうした状況を、事例問題として出題し、状況に応じた解答ができるかどうかをチェックしているわけです。
このように、午後の事例問題を解析することで次のことがわかるのです。
『スペシャリスト系』:技術論の世界であり、明確な正解が存在する
『マネジメント系』 :状況に応じて調整する。正解がない世界
この違いが、小論文試験の有無につながります。すすなわち、『マネジメント系』の実力を推し量るには、小論文形式でないと難しいわけです。
『マネジメント系』の小論文試験の実例
では、実際の小論文試験の概要を、見ていきましょう。令和5年のプロジェクトマネージャー試験です。テーマは、プロジェクトマネジメント計画の修正です。続いて、テーマに関する考え方などが、A4半分くらいの分量で、ぎっしりと書かれています。その上で、設問ア~ウまで、どこに何について、書けばよいか、指示されています。受験生は、2時間で、最低でも2,200文字の小論文を書き上げる必要があるのです。また、『あなたの経験と考えに基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。』の決まり文句が、実は超重要です。ここに、『合格小論文の姿』が、集約されているともいえるのです。
『合格小論文の姿』とは
高校受験や大学受験の小論文では、設問通りでバランス感覚がある小論文が、合格小論文でした。
しかし、高度情報処理試験での小論文は、ここにもう一つ、大きな柱が入ります。業務遂行能力のアピールです。採点者は、小論文から、受験生の業務経験をチェックして、業務遂行能力のレベルを判定しているのです。プロジェクトマネジャー試験であれば、プロジェクトマネージャーとしての業務遂行能力を高いレベルで、身に着けていることを、小論文の中で積極的にアピールする必要があります。かなり、高度な小論文作成技術がないと、合格できない仕組みになっているわけです。 ここで、小論文試験の注意書きに、再度、登場してもらいましょう。
『あなたの経験と考えに基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。』
この文は、『あなたの経験と考えに基づいて、論述せよ。』と『設問ア~ウに従って論述せよ。』とを合成した文です。さて、どちらに軸足がありますか?前半が主です。後半は文の中でも従としっかり明記していますね。もちろん、設問ア~ウに従った論述でないと、合格はしません。ですが、それ以上に、経験と考えに基づく論述であることが、求められているわけです。そして、これこそが、『合格小論文の姿』なのです。
つまり、高度情報処理試験の『合格小論文』とは、受験区分の経験を、猛烈にアピールした論文なのです。