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完了形は感情形?


はじめに

 皆さん、こんにちわ。合格サポーターの佐々英流(ササエル)です。今回は、英文法を取り上げます。英文法って、どこか、論理パズルみたいですよね。その上、暗記すべきことも大変多く、英語学習者の関門となっています。しかも、英文法を学べば、学ぶほど、英語を自由に使えなくなるという感覚を覚えるのは、私だけではないでしょう。ネイティブが、こんな面倒なことを考えながら、英語をしゃべっているはずがありません。もっと、自然な感覚で、使いこなしているはずです。そんな、自然な感覚こそ、英文法の本質なのです。ササエルは、そうした英文法の本質に、少しでも近づきたいと、強く願っています。決して、正しい英文法ではありませんが、皆さんの腹落ちの足しになればというササエルのチャレンジ企画であります。

『完了形』の謎

 英文法の学習者に、立ちはだかる壁と言えば、『完了形』ですね。何度、説明を聞いても、ちっとも理解できないといった経験が、誰しもあるのではないでしょうか?『過去から現在に伸びた時間軸で、語られる』などと言われても、正体不明ですよね。まずは、一般的な『完了形』の説明を、確認してみましょう。

一般的な現在完了形の説明

現在完了形は、過去のある時点から現在までの出来事や状態を表す動詞の形式です。具体的には、「have + 過去分詞」という形で表現されます。この時制は、過去から現在までに完了したこと、経験したこと、継続したことなどを表すのに用います。

現在完了形には以下の3つの意味があります:

継続(〜してきたので今は……):
例: “今週は毎日運動しているんだ”
(I have exercised every day this week.)
この場合、過去から現在までの継続的な行動を表します。

経験(〜したことがあるので今は……):
例: “彼女は今年はもう6ヶ国も訪れています”
(She has already visited six countries this year.)
この場合、過去に経験したことを現在に結びつけて表します。

完了・結果(〜し終えたので今は……):
例: “ちょうど終わったよ、今日の宿題”
(I have just finished my homework for the day.)
この場合、過去の行動が完了したことや結果を示します。

現在完了形は日本語にはない表現であり、過去形とは異なるニュアンスを持っています。また、注意点として、現在完了形を使う際には「過去を表す副詞」を一緒に使わないようにしましょう。123

Chat GPT

 さすが、ChatGPTですね。期待通り、教科書通りの優等生解説です。
確かに、英文法問題を解くには、役立つ知識ですが、キングギドラのような3種類の用法に、ボスキャラ感が漂っていますね。『完了形』といいながら、『完了』のほかに、『継続 』と『経験』があるんです。その上、現在形といったい何が違うのか、見分けがつかないですね。例えば、『今週は毎日運動しているんだ』というのは、現在形で言えばいいじゃないか、なぜわざわざ、小難しい『完了形』を使うんかいという疑問を禁じえません。さらに、Chat GPTの『完了形は日本語にはない表現』という解説が、さらに不安を煽ります。こうして、こんな正体不明な『完了形』なんか、とても自分には使いこなせないという絶望感に、初学者は襲われるわけです。この恐怖になんとか、立ち向かう、勇気を持てないのでしょうか?『完了形』の正体を見つけ出すしかないですね。

例によって、発音から

 まずは、『I have exercised every day this week.』の発音から、考えてみます。『アィ エクセサイ エブリディ ウィーク』くらいに聞こえるのではないかと思います。つまり、動詞である『エクサイ 』の前後に、雑音のような『ハブ』と『ッド』が入ってくる感じになります。従って、意味的に重要なのは、動詞なんです。前後の『have』と『PPの語尾』は添え物なのです。一体、この添え物は、何を伝えているのでしょうか?

ここで重要なヒント

 ここで、『完了形』の謎を解く、重要なヒントをお伝えします。アメリカの幼児向け絵本には、『完了形』が良く出現するんです。英文法を学んでいると、後半に出現する『完了形』は、何か上等な表現方法と、勝手に思い込んでいませんでしたか?実は、幼児こそが、愛用する用法だとしたら、見方が変わりますよね。幼児は、大人に比べて、感情をストレートに表現するんです。

我が子も使った完了形

 そんな、気づきを得たある日のこと、我が家の幼児も使ったんです、『完了形』を。もちろん、日本語ですよ。ホームから去っていく電車を見送って、一言。『電車、行っちゃったね。』英訳すれば、『The train has left.』でしょうか。ここから、謎多き『完了形』を攻略していきましょう。彼が、伝えたかったことは、『電車が、ホームから離れていった。』という事実でしょうか?違いますね。『さっきまで乗っていた電車が、去っていって、さびしい。』この気持ちを言葉に乗せて、『電車、行っちゃったね。』と言ったはずです。単なる事実を伝えるのではなく、事実に気持ちを乗せて表現する手段が、『完了形』なのではないでしょうか?だとすれば、『完了形』という言い方は、実に分かりにくいネーミングですね。ズバッと、『感情形』というべきではないでしょうか?そして、『~しちゃた。』という言い回しは、まさに幼児言葉でもあります。これが、動詞の前後の添え物、『have』と『PPの語尾』の正体です。

感情形でパーフェクト

 では、Chat GPTさんから頂いた例文で、『感情形』仮説を検証してみましょう。まずは、『継続』です。『今週は毎日運動しているんだ。』という訳でしたね。ここには、感情が含まれていますね。感情を明示するとこうなります。『今週は毎日運動しているんだ。(すごいでしょ)』バッチリです。
 
 続いて、『経験』です。『彼女は今年はもう6ヶ国も訪れています。』この訳だと、事実を伝えているっぽいですね。少し、感情を入れてみましょう。『今年は、もう6ヶ国も行っちゃってるてよ。(スゲェ)』。単なる事実を伝えるのではなく、感情を乗せているわけです。

 最後は、『完了』です。
『ちょうど終わったよ、今日の宿題(( ´Д`)=3 フゥ)』しっかり、感情が乗ってますね。このように見てくると、3種類に分けることで、試験対策にはなるものの、本質を見失っていたのではと思うのです。ササエルが考える、『完了形』の本質は、言葉の裏で感情を伝える『感情形』だということです。
 
 例えば、有名な現在完了の一文、『Spring has come.』は、単に春が来たという事実を表すのではないのです。春が来たことで湧き上がる歓喜を伝えているのです。

大過去の真実?

 最後に、大過去を取り上げましょう。大過去は、学習者をより深く悩ませる英文法用語です。なにせ日本語では、通常、登場しませんからね。そして、大過去の例として、良く用いられるのが、この英文です。
『When I arrived at the station,she had left for Hakata. 』
この文は、一般的に、こう解説されます。『彼女が去った後に、私は駅についた、つまり、彼女が去ったのは、私が駅に着く前の大過去の出来事なんです。この時間関係を正しく把握しましょう。』と。ですが、本当に、そんな時間関係をお伝えしたいのでしょうか?この時間関係から生じた感情こそを伝えたいのではないでしょうか?つまり、この文を『感情形』で捉えると、『残念、無念』が浮き上がってくるのです。すなわち、『仮定法』のような『たら、れば』ではなく、事実を述べつつ、言外に感情も伝える、その手法が、『完了形』いや、『感情形』なのです。

信じるか、信じないかは、あなた次第です。


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