入門英文法(ササエル式 入門英文法とは何か?)
グーテンターク。合格サポーターの佐々英流(ササエル)です。今回は、ササエル式 入門英文法とは何かについて、お伝えします。結論から言うと、ササエル式 入門英文法とは、英語を道具として使うための英文法であると同時に、英文法という題材を使って、論理的思考力を鍛えるためのものなのです。
✅ササエル式英文法の目的
ササエル式英文法を始めて、数か月が経過しました。方向性もかなり、定まってきましたので、ここで一度、ササエル式英文法とは何かを、明確にしてみます。まず、目的です。これは、他のササエル式シリーズとは、一線を画すものです。というのも、ササエル式英文法は、合格を直接的にサポートするものではないのです。その証拠に、入門英文法と名付けています。
これは、一体、どういうことでしょうか?例えば、ササエル式合格小論文であれば、小論文試験で合格を勝ち取って頂くことだけを、目指しています。例えば、ササエル式の小論文の型というものをお伝えはしていますが、それが適切でない場合は、受験する試験問題の特性に合わせた指導をさせて頂いています。つまり、何が、なんでも、志望校への合格を最優先するというスタンスなんです。正しい小論文の書き方ではなく、どうすれば、合格点を取れる小論文が書けるかに、特化しているといってよいでしょう。
一方、ササエル式入門英文法は、こうした、何が、なんでも合格というスタンスはとっていません。そもそも、オススメ教材も、関先生の『入門英文法の核心』です。つまり、大学受験の基礎レベルですね。もちろん、他でもない、本書を選択したのには、理由があります。丸暗記を否定している点で、私の考え方に近い参考書だからです。
そして、この大学入試基礎レベルの英文法こそ、英語を道具として使うために必要な、文法知識だと考えるからです。そうです。この英語を道具として使うための英文法をお伝えすることが、このササエル式入門英文法の主目的なんです。
✅従来の英文法の問題点
ただ、単に入門レベルの英文法を学ぶことで、英語を道具として使える英文法になるわけではないですね。それであれば、市販の参考書で十分であり、ササエルの出る幕はないわけです。
では、ササエルは一体、英文法を通して、何を伝えようとしているのでしょうか?その答えを探るヒントは、英文法の問題点にあります。
まず、英文法の問題点とは、英文法自体の問題点というよりは、むしろ、受験英文法としての問題点だと考えます。それを記したのが、以下の記事です。
この記事で指摘した受験英文法の問題点は、以下です。
①正解がある
②不正解がある
③英分法になっている
④文字面だけを追っている
⑤暗記中心
⑥後ろから訳し上げる
ざっくり言えば、受験英文法とは、試験に合格するための英文法であり、英語を道具として、使うための英文法にはなっていないということです。ただ、これらは英語を道具として使うという立場から、受験英文法を眺めた時の問題点であって、英文法自体を否定するものではありません。
あくまで、英語を道具として使うための英文法とは何かを考えるにあたって、受験英文法のどこに手を加えればよいのかを、あぶりだしたにすぎません。
✅理想的な英文法とは何か?
では、英語を道具として使う目的にあった、理想的な英文法とは、一体どのようなものでしょうか?先ほど挙げた受験英語を反面教師として考えてみましょう。
①失敗よりも、とにかく使うことを重視する
正解、不正解という概念は、一旦、取り払うべきだと考えます。つまり、文法的な誤りに対して、寛容だということです。例えば、『Let’s us go.』という誤りを含む文でも、意味が通じれば、まずは良しとするわけです。もちろん、目的は試験で点を取ることではなく、英語を道具として使うことだから、取りうる姿勢ではあります。この目的においても、文法的にもパーフェクトな英文は、確かに理想的ではあります。ですが、必須ではないんです。コミュニケーションが成り立っていれば、まずはOKなんです。失敗してもいいんです。そこから、上達していけば、全く、問題ありません。
そもそも、英語は受験用の科目ではなく、コミュニケーションを中心とした演習科目であるべきかもしれません。運動能力が、失敗を繰り返しながら、練習することで、伸びるのと同じように、英語も、失敗を繰り返しながら、使っていくことで、伸びるもののはずなんです。
②ネイティブフィーリングを探求する
英文法は、英分法と揶揄できるほど、細かく、ルールを分けています。確かに、こうしたルールを覚えておけば、試験でも点を取りやすくなります。ですが、英語を道具として使うという目的からは、こうした細かいルールに詳しいことは、却って、足かせのようにも感じられます。例えば、完了形には、継続、完了、経験の3つの用法があると学びます。ですが、『ここは経験にあたるから、完了形を使わなくては。』などと発想する人は、皆無なのではないでしょうか?それよりも、『Have you ever ~』で『~したことある?』くらいのチャンクを覚えたほうが、実践的でしょう。
こうした、英分法に陥る背景として、英語の文字面のみを追っているからだと考えます。ですが、英語は、文字である前に、音として発声される言葉なのです。しかも、日本語と比較しても、イントネーションやリエゾン、母音もあいまい母音に自在に変化するなど、ダイナミックに変化する言語です。こういった部分も考慮に入れなければ、生きた英文法とは言えないのではないでしょうか?さらに、英分法のように分けて、考えるだけではなく、発音やイントネーションなど全体をトータルで考えていくという新しいアプローチを試みることで、新たな世界が見えてくるのではないかと考えるのです。
そうした試みが、『完了形は感情形』といった記事を生み出しました。合っているかどうかは分かりませんが、皆様の視野を広げるきっかけになれば幸いです。ササエルは、この試みに期待を込めて、『ネイティブフィーリングの探求』と呼んでいます。つまり、ネイティブが、英語に対して、無意識に感じている感覚を言葉にしていこうという試みなのです。
ただ、こうした試みは、正解がないものです。場合によっては、ただの自己流に陥る可能性もあります。ただ、暗記中心の受験英文法から脱却し、英文法を深堀りすることで、ネイティブの考え方に迫っていくという、論理的思考は、同時に発想系、思考系の訓練にもなっています。例えば、なぜ現在形で未来のことを表すことができるのか、こうした疑問を見つけ出し、探っていくことが、受験生にとってもよい訓練になるものと考えます。この点で、英文法という教材は、まさに宝の山なのです。
③英文のまま意味をとる
受験英語では、『英文和訳』という分野があり、そのテクニックのひとつとして、『後ろから訳し上げる』というものがあります。そうでなくても、英語は日本語とは語順が異なるので、自然な日本語に訳すには、語順を変える必要があります。
ですが、ネイティブが語順を変化させて、意味を取るようなことは、絶対にありえないことですね。ネイティブは、英文を頭から、語順通りにインプットして、意味をとっているんです。実に、当たり前のことです。この当たり前のことを、受験英文法は、忘却しているようにも感じられます。
当然ながら、英語を道具として使うなら、ネイティブと同じ方法で英文の意味をとる必要があるんです。つまり、こういうことです。『It is easy to study English.』を、『英語を学ぶことは、簡単です。』と訳してはいけないんです。もちろん、受験英語なら、これが正解ですよ。ですが、英語を道具として使う人は、『そりゃ簡単ですよ、英語を学ぶのは。』と意味をとる必要があるんです。できれば、日本語を介さないほうが、理想的です。『It is easy to study English.』という、英文のまま、意味がとれることが、ベストです。
オススメの方法があります。英文を日本語に変換するのではなく、イメージに変えて認識するんです。『Could you waite a little ?』なら、頼んでいるイメージを思い浮かべましょう。意味理解から、日本語を排除していくんです。
✅まとめ
まだまだ、始まったばかりのササエル式英文法ですが、その方向性は大体定まってきました。一言で言えば、英語を道具として使うための英文法を目指しているのです。従って、受験英文法で培う、正解探しの技とは、一線を画していると言えます。
そして、実践を重視し、ネイティブの考え方を探り、ネイティブと同じく、英文を頭から理解していくことを目指しています。さらに、その営みの過程で、英文法を題材に、論理的思考を鍛えていくのです。
そして、こうした営みは、やや遠回りかもしれませんが、受験英語の正解探しにも、必ずやプラスに働くことでしょう。ササエルは、そう信じているのです。