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合格小論文の書き方(要約編)

割引あり

はじめに

 皆さん、こんにちわ。合格サポーターの佐々英流(ササエル)です。今回は、課題文型小論文で、良く出題される、要約問題の解き方を解説します。なお、ササエル式の要約手順については有料扱いとしています。ですが、拡散頂けば、無料で閲覧できますよ。では、要約とは何かから考えていきましょう。


要約は簡単?

 要約とは、一体、なんでしょうか?ChatGPTに訊くと、このように答えてくれました。

要約は、文章やテキストの重要な部分を抽出し、簡潔にまとめることを指します。主な目的は、長い文章を読み手に伝わりやすくすることです。教育、ビジネス、研究など、さまざまな場面で活用されています。

ChatGPT

 この考え方で、全く問題ないですね。重要な部分を抜き出して、簡潔にまとめるだけでいいんです。つまり、要約するためには、2つの手順を踏む必要があるわけです。それが、『抽出』『統合』です。ササエル式では、この『抽出』と『統合』を、半ば機械的に行うことで、要約文を作成します。確かに、大学入試レベルで出題される課題文は、時に難解だったりします。ですが、聞かれていることそのものは、小学生の国語の問題で目にする『作者の言いたいことは何か?』と同じです。その意味で、要約問題とは、小学生レベルの出題だと言えますね。要約とは、本来、小学生にもできる、簡単な作業なのです。

要約は難しい?

 ところがです。大学受験の練習として、要約問題を解いていただくと、ほとんどの受験生は、イマイチ解答しか書けません。それどころか、受験生の指針となる参考書の要約例すらも、私からみると、イマイチだったりするのです。もちろん、参考書の解答例ですから、答案としては、合格レベルをしっかりクリアできていますよ。ですが、もっと質を上げてほしいと、感じる事例が見つかるわけです。その意味で、私が信頼を置く、参考書をご紹介いたします。正しい、要約事例が載った参考書で学ぶことが、皆様にとって、大事なことだと考えるからです。

 一冊目は、『現代文読解力の開発講座』は、現代文の読解力を身に着けるための参考書になります。ですが、全ての長文に、要旨問題が付属されており、要約の練習として、最適です。そもそも、要約の訓練を行う必要がある受験生は、小論文試験で課題文の要約が出題される場合か、記述式で要約問題が出題される場合に限られます。そうした受験生にとって、バイブルといえる参考書です。

 二冊目は、『慶應の小論文』です。第3版が2024年3月18日に発売予定ですね。慶應大学は、学部によって小論文の出題傾向が大きく変わります。特に、法学部や文学部では、超難解な長文が出題されます。それを設問1で要約し、設問2で小論文を作成するのです。そして、その超難解な長文を、ものの見事に要約してみせているのが本書です。私にとっても、学ぶところが多い一冊です。

良い要約とは

 良い要約は、ひと目でわかります。一読して意味が分かり、具体例や引用などが一切入っていないものが、良い要約です。『統合』ができていれば、一読して意味が分かります。そして、『抽出』ができていれば、具体例や引用が混入しません。ですから、『抽出』と『統合』が、良い要約には欠かせないのです。
 皆さんの要約を拝見すると、質はともかく、『抽出』は行っています。ですが、『統合』がなされていないケースが目立ちます。推測するに、要約=大事なところを抜き出すと考えているのだと思われます。意味が通る文にする『統合』の手順が、抜けているわけです。そこで、ここからは、イマイチ要約事例を原因別にご紹介していきます。わかりやすくするために病気に例えています。ちゃんと、処方箋も付けましたよ。

①精読病

 要約文が、意味不明であったり、意味は分かるもののポイントを外していたりするタイプです。課題文をじっくり読み込む受験生に多く見られるため、こう命名させて頂きました。このタイプに共通する傾向として、『課題文を理解しないと、要約はできない』という神話の信奉者であるということです。確かに、要約するには、まず課題文を読解し、理解することが大事とする考え方もあります。そして、課題文がそれほど難解でない場合は、この方法でも成功するでしょう。しかしながら、慶應レベルの超難解な長文では、この方法は通用しません。時間とスタミナを奪われた挙句、何も理解できないという窮地に追い込まれます。その結果、意味不明な要約や、自分が理解できた部分のみを記した要約が出来上がるのです。重要なポイントの『抽出』ができていないため、確実に不合格となります。処方箋としては、『抽出』は、精読しなくてもできるという事実を知ることです。

②不純病

 ある程度、重要なポイントは押さえているものの、不要な箇所が混じっている状態です。『抽出』が不完全なケースです。不純物の混入具合や、『統合』の状況によっては、合格レベルと判定される可能性が残っています要約を読んで、意味が通じるか否かが、勝負を分けます。こちらの処方箋は、わりと簡単です。何が不純物であるかを知れば、劇的に改善します。というのは、『統合』はできているからです。あとは、『抽出』の質を上げるだけです。具体例や引用は、要約には不要なんです。

③コピペ病

 ある程度、『抽出』はできているものの、課題文をそのまま、コピペしたような状態の要約です。『統合』がなされていないケースです。この場合、一読した時に意味が通じないため、不合格扱いとなるリスクが高いです。ただ、『統合』を理解すれば、劇的に改善します。

④改変病

 『抽出』し、『統合』しているものの、『統合』の過程で、意味を改変させてしまったケースを指します。『統合』は、要約文として意味が伝わるように、修正を加える手続きですが、ここで自分の意見を入れたり、意味を変えたりすると、改変となります。改変の程度によって、合否が分かれます。意味を変えず、読みやすく修正する手法を身に着けることで、改善します。

要約問題にチャレンジ

 イマイチ事例で、失敗ケースをご確認いただいたところで、要約問題にチャレンジしてみましょう。以下の文章を要約してみてください。なお、内容は気にしないで下さい。ササエルの勝手なでっち上げ文です。

 『法律の学び方』
 法律を学ぶ際には、憲法から学ぶことが一般的である。何故だろうか?それは、憲法が国家の最高法規であり、重要な役割を果たしているからだ。この為、多くの法律家を志す学生達は、まず、憲法から、その学究を開始する。
 しかし、憲法は、抽象的で一般的な原則を規定している、特殊な法である。このため、具体的な法的問題に対する直接的な解決策は、他の具体的な法律も参照しながら、理解を深めていく必要がある。であるが、当然のことながら、初学者はこのような知識を持ち合わせてはいない。そう考えると、憲法から学ぶという常識を、一度、疑ってみる必要がないだろうか?
 ところで、民法や刑法などは、基本法と呼ばれる。これは、日常的な法的問題に対する具体的な規定を含んでいることに起因する。これらの法律分野を学ぶことで、法的問題に対する基本的な知識とスキルを身につけることができるのだ。
 具体的に見てみよう。民法は契約、財産、家族、相続などの民間法的問題を規定している。学生は、民法を学ぶことで、日常生活で遭遇する契約や財産取引についての理解を深めていくであろう。また、刑法には、犯罪行為とその罰則を規定されている。刑法を学ぶことで、法的規範を守るための基本的なルールが、理解されるはずだ。
 一方、憲法はどうであろうか。抽象的な理念の集合体でしか、ないのではなかろうか?例えば、『学問の自由は、これを保障する。』とは、一体何を保障しているのだろうか?学問とは何か、自由とは何か、こうした基本的な事項から、定義付けを行わなくては、なんら実質的な意味をなさないであろう。もしかしたら、勝手に研究していいということだと考える人もいるかもしれない。そうではなく、権力からの干渉を受けないことだと認識する人もいるはずだ。このような、抽象的な理念から出発すると、思考は迷いの森を彷徨うこととなる。
 もちろん、法律を理解する上で、こうした憲法の抽象的な原則を理解することは、必要不可欠であろう。だが、その前提として、民法や刑法などの基本法に立脚した、極めて具体的な法知識を身に着ける必要があるのだ。こうした具体的な法知識を基礎とすることで、初めて憲法に書かれた条文の、本当に意味するところが見えてくる。
 憲法から学ぶという常識を、一度、見直す必要があると考えるのは、私だけであろうか?

要約問題の答え  

 いかがでしょうか?では、ササエルの要約事例です。

 要約事例1:
 『法律を初めて学ぶ時は、まず具体的な法知識を身に着けた上で、抽象的な原則を理解するのが良い。』
 一言で、言い切れますね。もちろん、もう少し長く書いてみいいですよ。

 要約事例2:
 『憲法から法律を学び始める学生が多いが、まずは、基本法である民法や刑法から学ぶほうがよい。なぜなら、憲法は抽象的な原則をまとめた特別な法であり、それを正しく理解する前提として、民法や刑法で学ぶ具体的な法知識が必要となるからだ。』
 
 いずれにせよ、要約に絶対的な正解はありません。ですが、一読して意味がわかり、かつ、課題文が伝えている内容を忠実に写し取ったものが、良い要約なのです。次章では、いよいよ、ササエル式の要約手順を具体的にお伝えします。

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