紛争絶えない世界に訴える、物語論的視点から『世界の矛盾』を読み解く(22/7)【音楽】
22/7(以下ナナニジ)はポエトリーリーディングによる楽曲が数多くある。その曲の一つに「世界の矛盾」がある。「世界の矛盾」は世界平和や反戦を願う一曲となる。
「世界の矛盾」の歌詞は、世界では意見がぶつかり合い、戦争が起こっていることへの疑問を訴えかけ、敵・味方なく同じ時代を生きているものとして一緒になろう。最後に「たった一つだけの矛盾 神よ今すぐに解いてくれ そんな簡単なこと なぜに解決できないのか?」と。実現できていない世界の平和に対し、外向的に、解決を求めるように訴えかける力強い曲となっている。
これまでのナナニジの曲はなぜ自分が生まれたのか、どのように生きて行けばいいのかと内向的に自分に問いかける曲が多かった。
『世界の矛盾』はこれまでのナナニジの曲と異なり、外向的に世界や社会へ訴えかける曲となっている。また、「世界の矛盾」はナナニジの特徴であるポエトリーリーディングによる一曲で、22/7(ナナニジ)メンバーによる数多くの台詞は真の平和を求めて力強く訴えるものとなっている。
22/7(ナナニジ)は、グループの持つテーマでは内向的に訴えかける楽曲が多い中、外向的に世界へと訴えかける力強い曲となる。22/7(ナナニジ)のもつポエトリーリーディングの能力の高さによって、他のアイドルグループにはできないナナニジ特有の魅力的な一曲を披露ができているといえるかもしれない。
「世界の矛盾」はナナニジの2枚目アルバム「旅人算」に収録された新曲の一つ。2023年11月22日(水)発売。2023年当時、河瀬詩はある事件のため活動休止せざるを得なかったが、本アルバムのレコーディングには本人の意思確認の上参加できたものとなっている。
『世界の矛盾』の物語論的視点
語り手
『世界の矛盾』の歌詞に出てくる物語の登場人物は具体的に説明されていない。語り手が「私」と仮定と読み解くことのできる歌詞となっている歌詞と読み解くことができる。世界の矛盾の歌詞は、全体的に歌詞「私」が物語る「一人称物語」となっている。
台詞が数多く含まれており、その表現方法は「直接話法」を利用し、ミメーシス性が高いものになっており、自分がもつ「世界の矛盾」に対する疑問へともう1人の自分が冷静な応答が繰り返されている。
歌詞の語り手は、「一人称物語」となっている。歌詞の中で
日常生活での矛盾だけでなく世界での争いまでの紛争を視野に入れた疑問が問いかけられている。台詞は自分(語り手)の問い掛けに対する自分(語り手)への回答となっている言葉となっている。
1サビ、2サビ、大サビでの歌詞は、歌詞の語り手は、「一人称物語」となっていることは変わらない。歌詞の中では、
世界の紛争の解決を求めた、世界あるいは神への叫びとなっている。
物語言説の時間、順序
『世界の矛盾』の歌詞は、語り手が自分への問い掛けと世界への叫びとなる歌詞となっている。物語順序は、物語内容と物語言説の時間的順序はほぼ同じである。過去の物語、現在の気持ち、未来への出来事へと行き来するようなものではない、単調的な順序で構成されており、ジュネットの言う錯時法は使用されていない。
しかし、ブリッジの部分のみは、「あの日」という言葉から始まっており、過去の事実が語られる物語となる部分となっている。
頻度
物語内容における出来事の生起の回数と叙述の回数については、1サビと大サビにて、同じ歌詞が繰り返し歌われている反復法を使用し、印象的なメッセージとなる歌詞である。「一人称小説的」な表現によって、「みんな一緒なんだろう
終わりなき争いなど いつの時代も意味はない」と世界の矛盾に対する悲しみと「たった一つだけの矛盾 神よ今すぐ解いてくれ」へと問題解決へと神へ祈りが歌われている。
パースペクティブ・焦点化
物語世界の情報を把握するために誰の視点を採用するか(あるいは採用しないか)ということを扱う領域である。内的焦点化 は、 ある登場人物を「視点人物」として、その人物によって知覚された事柄のみが描かれるものとなる。外的焦点化 - ある対象(特に登場人物)を描く際に外面のみを描くもの。思考や感情は窺い知れないものとなる。
『世界の矛盾』は、語り手の世界の矛盾に対する気持ちが表現されており、主観的な感情を表す表現が、言葉数豊かに表す内的焦点化された一曲となっている。
歌詞そのものからは、語り手一人から語られているような構成であることから内的固定焦点化とされたものである。しかし、『世界の矛盾』の楽曲としては、ナナニジメンバーによる歌割によりそれぞれの言葉がメンバーによって歌われていることから、同一の出来事に対してさまざまな視点から語るタイプとなる内的多元焦点化のような歌声となっている。
『世界の矛盾』の歌詞
ライブ
『世界の矛盾』は、2023.11.07 227 ANNIVERSARY LIVE 2023で披露された。
この曲は、歌詞にあるメッセージ性と激しいダンスの美しさが目を引く素敵な一曲となっていと思う。特に、ナナニジメンバーによる台詞から訴えかける言葉が胸に響くものがある。台詞を語っているのは、西條和、天城サリー、麻丘真央、椎名桜月、相川奈央、望月りの、月城咲舞、四条月、涼花萌となる。
その中で、個人的に特に心響く言葉となるのは、希望ちゃんこと望月りのの「もう一度 愛を信じてみるのはどうかな」との言葉である。望月りのは色々な曲で台詞を担当しているが、彼女の歌声は大変美しいと何度も思う。
ダンスは、天城サリーと西條和がフロントになって、メンバーを引率するような形となっている。歌詞に対応するようにパワフルなフリを行いながらも、くるりと回転などをして、美しく力強いダンスとなっている。
ナナニジメンバーが語る『世界の矛盾』
ナナニジメンバー(麻丘真央、西條和、椎名桜月)が『世界の矛盾』について語ったインタビュー記事がある。
おわりに
『世界の矛盾』の歌詞は、世界では意見がぶつかり合い、戦争が起こっていることへの疑問を訴えかけ、敵・味方なく同じ時代を生きているものとして一緒になろう。最後に「たった一つだけの矛盾 神よ今すぐに解いてくれ そんな簡単なこと なぜに解決できないのか?」と。実現できていない世界の平和に対し、外向的に、解決を求めるように訴えかける力強い曲となっている。
サビの部分については、楽曲としてもアップテンポなもので緊張感あたえ、曲の盛り上がりを見せているのと同時に、歌詞の中では、自分から世界・神への世界平和への叫びがとなる歌詞となっている。
パースペクティブについて『世界の矛盾』は内的焦点化された歌詞となっている。しかし、歌詞の中の台詞は自分の問い掛けに対する答えとなる言葉が用意されている。また、サビについては、世界や神への祈り・訴えが行われているような歌詞となっている。
曲の構成は、ナナニジらしく、ソロパート、歌割、ユニゾン、台詞を組み合わせた曲である。
このように、多様な工夫をいろいろ組み合わせながら作り上げた一曲となっている。
ナナニジはポエトリーリーディングによる楽曲が数多くある。その曲の一つに「世界の矛盾」がある。「世界の矛盾」は世界平和や反戦を願う一曲となる。
『世界の矛盾』はこれまでのナナニジの曲と異なり、外向的に世界や社会へ訴えかける曲となっている。また、「世界の矛盾」はナナニジの特徴であるポエトリーリーディングによる一曲で、22/7(ナナニジ)メンバーによる数多くの台詞は真の平和を求めて力強く訴えるものとなっている。
22/7(ナナニジ)は、グループの持つテーマでは内向的に訴えかける楽曲が多い中、外向的に世界へと訴えかける力強い曲となる。22/7(ナナニジ)のもつポエトリーリーディングの能力の高さによって、他のアイドルグループにはできないナナニジ特有の魅力的な一曲を披露ができているといえるかもしれない。