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移行する「語り手」、22/7「曇り空の向こうは晴れている」を歌詞考察中。

22/7の歌の中で、歌の構成が複雑に組み込まれているものに「曇り空の向こうは晴れている」がある。
語り手となる人物は、固定していず、歌詞それぞれによって入れ替わる複雑な構造となっている。22/7の歌声は、
今日の私(B)、
今日の私に語る未来の「私」(C)、
そして希望にたどり着いた第三者「僕」(D)
が登場する。


「曇り空の向こうは晴れている」の登場人物の関係

「曇り空の向こうは晴れている」の22/7の歌声はシーンによって、語り手が変わっていく歌となっている。
全体的に、
B→C→B→D→(C=D)
へと移り変わっている。

1Aメロ・1Bメロ・1サビ・2Aメロ・2サビは、
B(「私」=「君」)
の気持ちを主観的に言葉数多くその感情を示している。

一つ目の台詞では、
将来起こることが予想される出来事を表すために使用されるフラッシュフォワード(先説法)を用いて未来の私が現在の「私」に語られるであろう言葉を歌っている
C(未来の「私」)
となっている。

二つ目の台詞では、
「あの頃の僕は君と同じだったんだ」との台詞があることから、新たな人物
D(「僕」)
が登場していることが分かる。

登場人物を時系列でその関係性を表した構図は以下の図のようになる。

時系列から見た登場人物の関係


1番・1台詞

基本的な語り手を「私」とする。歌詞の移り変わっている。1メロ・1サビでは、今現在(今日)の悩み・苦しんでいる
「私」(B)
の気持ちを歌っている。
次の台詞では
未来の「私」(C)
からの語りとなっており、フラッシュフォワード(先説法)を使用して表現され、未来の自分が語るであろう言葉となっている。

その象徴的な台詞は西條和の台詞にあり、
「そんな強くなんてなれないよね
だから 今はそのままでいいから・・・」

西條和

との一言は、今の苦しみを知っている自分であるからこそ、語ることのできる台詞となる。

2番・2台詞

2Aメロ・2サビの語り手は「私」となり1番と同じになり、歌詞の語り手が移り変わっている。1メロ・1サビとおなじように、今現在(今日)の悩み・苦しむ
B(「私」)
の気持ちを歌っている。

2台詞では、
宮瀬玲奈による「あの頃の僕は君と同じだったんだ」との台詞があることから、
新たな人物D(「僕」)
が登場し、「私」に対し「君」と語っていることが分かる。

麻丘真央が「だから、一年後、今度は君が僕のように」との言葉が出てくることによって、1番でB(「私」)へと語っていた
C(未来の「私」)は、一年後の「私」である
ことを導く、キーワードとなっている。

麻丘真央

望月りのの「希望っていうのは、人から人へ繋げて行くものなんだ」との台詞によってこの曲はクライマックスをむかえる。この歌の中で最も大切な一言となっていると言って過言ではないだろう。

望月りの

大サビ・3台詞

大サビは1サビと同じ歌詞となっているが、2番・2サビでD(「僕」)の登場によって1サビとは全く違った響きを持つ歌詞となっている。

1サビは自分が自分に語っているに過ぎないものだった。しかし、大サビではD(「僕」)とC(未来の「私」)が一緒になってB(「私」=「君」)へと送るメッセージ性の強い歌詞となっている。

死にたかった 死ななくてよかった
窓から射す 陽の光にそう思った
曇り空の向こうは晴れ間が出て 風は思ったよりやさしい
死にたかった 今日までの自分
生きることに疲れちゃったのかな
何だか苦しく感じてきたら
瞼(まぶた)閉じて そっと 深呼吸するんだ
さあゆっくり 息を吐いて・・・

22/7「曇り空の向こうは晴れている」大サビ

苦しみを知っている未来の自分(C)と、苦しんできた「僕」(D)が共に、B(「私」=「君」)へと語りかける力強い歌詞と変貌していると感じるものがある。

この後に続く台詞である

次の人へ
「伝えて欲しい」

がソロパートによる台詞ではなく、ナナニジメンバー全員で語っていることから、多くの視点から応援している一言となっていることが感じられるといえる。

「歌い手」が先輩メンバー(宮瀬・白沢)から後輩メンバーへと引き継がれた台詞

あの頃の僕も今の君と同じだったんだ」
 (宮瀬玲奈)
「だから、一年後、今度は君が僕のように
 (麻丘真央)
「絶望している人に伝えて欲しい
 (白沢かなえ)
「希望っていうのは、人から人へつなげていくものなんだ
 (望月りの)

22/7「曇り空の向こうは晴れている」2台詞と担当者

この「曇り空の向こうは晴れている」を大きく展開させ、クライマックスへと迎えるターニングポイントとなるのが、この台詞となるのだろう。コンサートでは、望月りのの台詞の後に観客から必ず歓声が立ち上がる。

「曇り空の向こうは晴れている」の発売は
2022年6月20日
となっている。
この台詞を語っている初期メンバーは宮瀬玲奈・白沢かなえである。
宮瀬玲奈は2023年5月に卒業し、
白沢かなえは2023年7月に卒業した。

白沢かなえの卒業は一年ほど前から用意をして卒業したとの話があることから、この曲を歌っていたころには、白沢かなえは卒業を視野に入れて活躍していたものと思われる。
つまり、「曇り空の向こうは晴れている」の発表後、ほぼ一年後宮瀬玲奈・白沢かなえは卒業したと言える。

この台詞の中、麻丘真央が「一年後、今度は君が僕のように・・・」と語っている。

22/7(ナナニジ)メンバーの活躍に注目するのであれば、麻丘真央の台詞は、
「一年後、今度は君(後輩メンバー)が僕(宮瀬玲奈・白沢かなえ)のように・・・」
言葉を語り伝えて欲しいと言っているようにも感じるものがある。

宮瀬玲奈

宮瀬玲奈は「あの頃の僕も今の君と同じだったんだ」と語り、白沢かなえが「絶望している人に伝えて欲しい」と歌っている。つまり、卒業メンバーとなっていた二人が新しく22/7に加入したメンバー対し、メッセージを残した歌詞になっていると感じることもできるわけである。

白沢かなえ

その点に、注目すると望月りのによる「希望っていうのは、人から人へつなげていくものなんだ」との台詞も、22/7のメンバーの台詞(「希望」)が先輩メンバーから後輩メンバーへとその歌声がつなげられ、語られていると感じることができるのである。

現在、アニラ2024で披露された「曇り空の向こうは晴れている」では、宮瀬玲奈のパートは相川奈央が引き継ぎ、白沢かなえの言葉は麻丘真央が語り伝えている状況となっている。

まとめ

「曇り空の向こうは晴れている」の語り手は、固定化されておらず、シーンによって移行している。
その移行は

1 番:B(「私」)→ C(未来の「私」)→
2 番:B(「私」)→ D(「僕」)→
大サビ:C(未来の「私」)+D(「僕」)

へと移り変わっている。
したがって、様々な視点から歌詞がつながることによって、「曇り空の向こうは晴れている」の歌詞がドラマティックに変貌を遂げる要因の一つとなっている。

また、台詞の中にある言葉から、ナナニジメンバーの活躍を省みると、宮瀬玲奈は「あの頃の僕も今の君と同じだったんだ」と語り、白沢かなえが「絶望している人に伝えて欲しい」と歌っている。
つまり、卒業メンバーとなっていた二人が新しく22/7に加入したメンバー対し、メッセージを残した歌詞になっていると感じることができる。


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