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日向坂46「卒業写真だけが知っている」で再構築されるエクリチュール

歌声がパロールとなり、歌詞、ミュージックビデオ、ダンス、ダンスフォーメーションがエクリチュールとなり、日向坂46ファンのおひさま、あるいは一般人にはどのような世界観が再構築されてくるのだろうか。それぞれ視聴者によって変わるものなのであろうか?


曲名

現在、学校では卒業アルバムをつくることに躊躇している学校も数多いらしい。自分は昭和時代の人間なので、小学から大学まで卒業アルバムがあるので、歌詞をナラトロジー的に解釈しても馴染めるものがあるが、現状の若者に「卒業写真」のキーワードはどれだけ、響くものがあるんかなあとちょっと思うところ。

歌詞とミュージックビデオ

歌詞の中で語り手となる人物がどんどん変わって物語性をつくっているところが、この曲の面白みとしているんでしょうね。また、最後の小坂菜緒の言葉は、「語りの演出」となっているのかな。歌詞全体として語り手となるのは「僕」であり、小坂菜緒の言葉は「私」となっている点が、この曲の答えとなっているでしょうね。

小坂菜緒の「私もすきだったのに」の台詞

MVの中では、学校のあらゆる場所から道へと具体的概念から抽象的概念へと移り、最後に小坂菜緒の「私も好きだったのに」との言葉で具体的概念に戻るパースペクティブとなっている。

「私も好きだったのに」という歌詞は、懐古的で、歌詞・ミュージックビデオの構成は色々な思い出をフラッシュバックさせるようなものとなっている。つまり、これまでの日向坂46の活躍を思い出すにはふさわしい曲なのかもしれないが、今後の活躍へとフラッシュフォワードさせてくれるような言葉が「私もすきだったのに」にあるとは思えない。卒業の場では別れがあり、それぞれの道に進んでいく。「私もすきだったのに」との言葉があっても、「僕」と「私」が一緒になることはなく、楽しい思い出があったねと語るものとなる。つまり今後の未来をワクワクさせてくれるような歌詞とはなっていず、過去を振り返る歌詞に終始している残念な歌詞となっているのが残念ですね。

日向坂46「卒業写真だけが知っている」で再構築されるエクリチュール

歌声がパロールとなり、歌詞、ミュージックビデオ、ダンス、ダンスフォーメーションがエクリチュールとなり、日向坂46ファンのおひさま、あるいは一般人にはどのような世界観が再構築されてくるのだろうか。それぞれ視聴者によって変わるものなのであろうか?

ただ、秋元康は次の歌はフラッシュバックさせる今回の新曲に対比して、次回にフラッシュフォワードさせる曲を胸の内に用意しているのかもしれないですね(そうあってほしいですね)。

歌・メロディーについて

新曲「卒業写真だけが知っている」を楽しみにしていた。昨日ミュージックビデオを見た時、少々がっかりしてしまった。楽曲は日向坂46らしい曲と言えるけど、あまり新しいものに挑戦したように思えない、面白みのない一曲だった。

サビの部分は秋元康らしく不安定な歌詞と伴奏で構成されていたが、音楽が空気を揺るがすことなく、ただ静かに流れていく。旋律はまるで霧のように薄く、耳に届く前に消え去る。力強いリズムの欠片さえも感じられず、音符たちはまるで生命を持たぬ影のように、聴衆の心に触れることなく滑り落ちるものだった

ミュージックビデオについて

ダンスは日向坂46らしいと言える。振付は CRE8BOYさん。ダンスは「こんなに好きになっちゃっていいの」と似ているなあと所々で感じるものがあった。

ミュージックビデオは日向坂46らしい作品となっていた。学校を舞台にし、美しい思い出を走馬灯のように省み、異次元の美しい世界へと日向坂46のメンバーを連れて行くというストーリー性のある作品だった。
ダンスが中心とされず選抜メンバーの素顔を順番に映していく特徴があるAKB48のミュージックビデオとは全くちがった性格のミュージックビデオではあったが、現世界と異次元を映し出すようなミュージックビデオを数多くつくっている=LOVE、≠ME、≒JOYなどのような作品による構成をオマージュして、日向坂46らしいミュージックビデオがつくられているのかもしれない。

「卒業写真だけが知っている」のそれぞれのシーンで、背景となる舞台のアングルが他のミュージックビデオに類似するものがいくつか見られた。例えば、日向坂46「君はハニーデュー」の1シーン、日向坂46「錆びつかない剣をもて!」、=LOVE「絶対アイドル辞めないで」、乃木坂46「17分間」などの背景と重なるものがあると感じたのだった。

日向坂46 「君はハニーデュー」

日向坂46(ひなた坂46)「錆びつかない剣を持て!」

=LOVE 「絶対アイドル辞めないで」

乃木坂46 「17分間」

楽曲・ミュージックビデオそのものの作品としては、悪くはない。けれども、この一曲が、他のアイドルグループやアーティストを寄せ付けず飛び抜けた一曲になったか?と言えば「どうかなあ?」と思わざるを得ない感じだった。

例えば、乃木坂46の『歩道橋』や櫻坂46の『I want tomorrow to come』を圧倒するような曲ととても思えなかった。

乃木坂46 「歩道橋」

櫻坂46 「I want tomorrow to come」

Youtube初日再生回数について

これまでのミュージックビデオの初日再生回数が、

81.8万回  月と星が踊るMidnight
61.4万回  君はハニーデュー
55.6万回  One choice
53.6万回  Am I ready?
45.9万回  絶対的第六感
34.5万回  君は0から1になれ

となっていた。日向坂46は、新作を発表しているが、その初日再生回数がどんどん減少する傾向にある(君はハニーデューで一時もりかえしているが、60万回どまりだった)。現在、22時間経過中で、340,794 回視聴となっている。このままでいくと、最も初日再生回数が低い作品になってしまう。「君は0から1になれ」を超えてもシングルとしては最下位となる可能性がある(12月24日5時現在)。

その後、24時間過ぎ、6時47分現在で再生回数は356,059 回視聴 となった。「君は0から1になれ」は超えたが、これまで発表されたシングルの中で、初日視聴回数が最下位となった。

最後に

日向坂46は紅白歌合戦に選ばれなかった。新たな挑戦のための大事な1曲となることから、どのような新曲になるのか楽しみにしていたが、あまり思わしくない。

やっぱりそうなってしまうのかっとちょっと残念だった。日向坂46らしさを追求しながらも、多くの人に好まれる曲を披露してほしい。
朝の番組で、新曲について小坂菜緒と松田好花が卒業シーズンにふさわしい曲としたいとコメントしていた。そうなってほしいと思う。

日向坂46は、今後のリハーサルダンス動画などの公開もあると思う。色々な活動によって、新曲を披露して頑張ってほしい。

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