325. どんな言葉をかけたらいいか分からなくても、電話してよかったんだ。
父は、今月頭に癌と宣告され、
中旬に患部を全摘する手術を受けた。
遠方に住んでいる私は何もできず、
どんな言葉をかけていいか分からず、
ずっと電話できなかった。
どんな言葉をかけていいか分からないから
電話するのが怖かったのだと思う。
でも、今朝、
というメールが母から来ていて、
背中を押してもらった。
実をいうと、
母からのメールを読んだ瞬間、
いろいろな気持ちが
一気に心の中を駆け巡った。
でも、母のメールのおかげで、
何と声をかけていいか、
その答えはまだ出ていなかったけど、
「今日、父に電話をする」
それだけは決めることができた。
そして、今日の午後、
やっと電話できた。
何を話せばいいか分からず、
テンパってしまったけど、
父の声は予想していたより、
ずっと大きく、元気そうだった。
そのことが何よりも嬉しかった。
そう話したら父は、
と、力強い声で言った。
たしかにそうかもしれない、と思ったけど。
父は生きようとしている。
少しでも長く生きようとしてくれている。
そのことが嬉しかった。
涙が出るほど、嬉しかった。
父は私の近況をたずねてくれたので、
1歳の長男の歩く距離が伸びず
ハイハイばかりしていて
心配していることを長々と話してしまった。
父はいつもどおり、
優しく私の話を聴いてくれた。
表情は見えない。
でも、父は、私の大好きな
優しい父のままだ、と感じた。
それが、とても嬉しかった。
電話してよかった。
何と言えばいいか分からなくても、
電話してよかったんだ
電話すればよかったんだ
そう思った。
私が父の元気そうな声を聴けただけでも
嬉しくてたまらなかったように
父も私の声を聴けてよかったと
思ってくれていたのかもしれないのだから。
むずかしく考えすぎずに、
元気な声を聴かせればいいくらいの気持ちで、
また電話しよう、と思った。
最後に
この記事を書きながら、
手紙でも伝えたそのことを
もう一度思いました。
父は手紙を読んでくれたんだろうか。
今日の電話では、恥ずかしくて訊けなかったけど。
ちゃんと伝わっていると信じている。
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