独語子第一話 金の世の中
小生は密かに真理子さんに恋心を抱いている。この前、真理子さんは誕生日を祝った後、俄にSNSで颯爽な嬌声を発して「世中金」と言った。これは軟弱な紳士達に敬遠される言葉であろう。しかし、小生はこれを聞いて非常に喜んだ。なぜなら、「世中金」イコール「金の世の中」は小生の故郷である上方の由緒のある名言わけだ。大坂の陣の後、上方に天皇様や将軍様の政治的力もなく、依然として江戸に次ぐ百万都市の繁栄を維持した。故に、この上方の名言は確実に実証された真理であり、真理子さんはそれを言うのもごもっともだと拝察する。
『枕草子』ではなく、我が故郷で発祥した「浮世草子」の類の古典小説があり、そのなかの『日本永代蔵』は名著『好色一代男』と同じほど有名な小説であり、その第二章には「とてもさきへは持ち行けず、無うてならぬ者はかねの世の中」というセリフがあるのだ。真理子さんはお誕生日という特別な時に我が上方の名言を語ることは一種の良い兆しではないか。つまり、もしかしたら、真理子さんのご芳心は上方出身の小生に聊かに傾けてくれているのではないかと小生が愚かに思った。其の宵、小生は真理子さんとスポーツ観戦の春夢をみながら、いびきをかいて熟睡したのである。ほんまにありがたく仕合せに存じまする也哉。
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閑話休題。
真理子さんは「かねの世の中」を言ったので、小生はおかねのことを呟いたら、小生の片思いの相手の真理子さんはさぞこのNoteを読んでくれるであろう。そしてここから皆様が嫌がる大正風の書き方を止め、令和風に文風を変えたい。が、小生は戦後の國語に不慣れなので、乱文乱筆、どうかご容赦くださいませ。
日本語はほんまに奇妙な言葉である、「おかね」は、お金・お銀・お諭吉のように漢字で表すことができる。お金・お銀の話題は次回の「独語子」に譲るが、今宵はお諭吉の微言大義を語ろう。
人間は二十代の時、何も考えずに頑張っておかねを稼いだらよろしいと思うが、三十代になれば、多かれ少なかれ、一定のおかねを蓄積出来るはずだ。我が同胞のほとんどは、苦労して貯めたおかねを銀行にあずかっており、小生も同じことをしてきた。
しかし、2019年の秋、小生は自動販売機でお茶を買うとき、急に一つの赤裸々な秘密に気づき、そして考え込んだ。
小生が若かったとき、自動販売機のジュースの値段はおおよそ80円であった。その後、徐々に100円になり、次第に120円になり、今は140円になっている。このことに気づいた瞬間、小生は「これはヤバいよ」と思った次第でござる。その際、小生はすぐ帰宅して世界最大な投資ファンドのブリッジウォーターアソシエイツの創始者であるRay Dalioがかき集めて公開したデータを取り出してチェックした。
チェックしてわかったのは、紀元1700年以来、おおよそ750種の主要貨幣が世の中に出回ったことがあるが、そのほとんどは滅んでしまった。今なお生き残っているのはその中の20%ぐらいしかない。そして、この生き残った貨幣の価値はすべてかなり下がったのである。これらの貨幣の価値はどのぐらい下がったと言えば、今はおおよそ元来の価値の20%以下になっている。
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びっくりしない?怖くない?つまりドルであれ、円であれ、関係なく、貯金すれば最後そのおかねは知らず知らずのうちにどこかへ消えってしまうねん。
では、今のお諭吉は大丈夫か?将来のお栄一は大丈夫か?
今のお諭吉の価値の変化について、真理子さんは当然知っているのであろう。日の出づる処においては、先月だけ8000品目ぐらいの商品は値上げた。これからもぎょうさんの商品は値上げになる。円はどんどん安くなる。
小生と一緒にお酒を飲む若僧たちは昨今のお諭吉の価値が下がっていることを知っている。彼たちが曰く:ウ0ラ0ナ戦争で商品が値上げになった。この戦争が終わったらすぐ円高になって商品の価額が下がる云々の話が好んで語る。
ほんまにそうなるの?
現に日本銀行の総裁の黒田さんは「毎年物価2%の上昇が日本銀行の目標だ」と明言しとるやで(日本銀行総裁黒田東彦2022年6月6日講演により)!そしてこれを明言したのはウ0ラ0ナ戦争のだいぶ前に既にしていたのよ。
つまり、みなさん二十代三十代の時一所懸命節約して貯めたお金は、毎年その2%前後が水の泡になることは相当確実の現実である。なぜなら、これは日本銀行の政策である!この政策はこのまま維持すれば、みなさんが苦労して貯めたお金は70代定年退職の時、60%以上どこかへ消えてしまう。今の世の中のかねはこういう状態に陥っているのだ。
昨今の世の中はもう以前のいい時代と違う。これはわれわれアランNの人、考えなければならないことだよね。つまり、「世中金」は間違いないが、「世中金」は、工夫しなければ、そのかねは紙くずになるのだ。
なぜ世の中のかねは紙くずになるのか?世の中おかねはどこに消えたか。そして自動販売機でお茶を買う小生はこの秘密に気づいて取った行動は何なのか?真理子さんがこのnoteを読んでくれれば、「独語子」第二話を書く。真理子さんは読んでくれなければ秘密にする。
乞うご期待!